訓練授業
今日は訓練授業だ、各クラス同士合同で行う事が多い
合同になったクラスは、A-1クラス、ジェラルトが居るクラスだ
全員が初段専用の城内で使われるグラウンドに集まり、兵士の隊長のような風格の人が歩いてくる
「私が初段訓練担当官のガルだ、よろしく頼む」
ゴツイ体型の竜人が出てきて全員に一礼する
ガル教導官が説明する「ここの訓練とは君達が大人になった時、人間や魔獣から身を守る為に必要な知識と戦闘能力を身に着けてもらう事にある、我々魔族は本来戦う事を生業としてきた物が多い、戦闘でそのスキルを十分に生かしてくれ。
ルールは簡単だ、まず各個人の戦闘能力を把握する為に最初は全力で私の攻撃を見せてくれ」
なるほど・・・つまり全力でぶつかっていい相手なんだな?
そしてA-1クラスの生徒の竜人がガルに殴りかかるが、ガルは片手で拳をつまんで優しく投げ技を御見舞して投げ飛ばす「まぁこんな物だろうな、次!」
そして次々生徒達が軽々と見切られて流されていく、そしてジェラルトの番
ジェラルトは深呼吸して拳を構え
ガルに突撃する、腰の入ったキレの良いパンチで、ガルを吹き飛ばしてガルを両手でガードさせる
生徒達から歓声があがる「流石ジェラルト!!」「やっちまえ!!」
ジェラルトは地面を強く踏み込んでガルに重いパンチを食らわしてガルも地面を強く踏み踏ん張って耐える
両手でしっかりとガードしている
「すげぇぞジェラルト!!やっちまえ!!」
歓声もあがりジェラルトはもう一度突撃するが
ガルも頷いて感心し「流石魔王様の息子・・・でも」
ガルがジェラルトの足を引っかけて、ジェラルトの首を掴んで、力を流れを利用して地面に叩きつける
「がはっ!」
見事に返されていた
ジェラルトが悔しそうに地面を叩いて「クソッ!」
ガルが笑って「しかし筋が良い・・・鍛えれば良い戦士になるぞ」
ジェラルトは立ち上がって順番は回って行く
そしてB-1クラス・・・俺らの番だ
ギゲルも案の定な感じで、片腕で返されてしまい、セミルなんか両手をブンブン回してポカポカする程度で、ガルも笑って頭を撫でている始末
デジガも最初のタックルで少しだけガルの位置が動いた程度で投げられてしまう
そしてメロルの番
「あ、あのガル先生・・・魔法はいいですか?」タクトを手に取るとガルは頷いて「盾を使わせてくれるならな」
ガル教導官は盾を持って始まる
「エアスラスト!!」メロルがいきなり魔法を展開してガルの盾に傷をつける
連続して「エアスラッシュ!」両方向からの攻撃
ガルは左右から迫りくる空気の斬撃を見て盾をジャストタイミングで薙ぎ払い、風の刃を落す
だがその瞬間メロルが大きい魔法を唱え
「エアブラスト!!」空気の砲撃がガルを直撃して爆発が起きる
全員から歓声が上がる「すげぇぇ!メロルってあんなに強かったの!?」
「ジェラルトでも歯が立たなかったのに!」
だが俺はガルがガード仕切っている事に気が付いた「メロル!」
メロルが俺の声に反応してガードするとガルの腕が寸止めでメロルの首筋を捉えていた
「あ、あう・・・」メロルが落ち込むとガルが笑い「ハハハ!良い、将来は良い魔導師になるなメロル!」
「あぁ・・・はい・・・」メロルが歩いてきて、俺はメロルの肩をポンと叩いて「頑張ったよ、お疲れメロル」
「レギオン君の前で油断なんて情けない・・・うぅ・・・」
さてと・・・次は俺の番だな・・・
俺は地面を強く踏み
大気のマナの感覚を感じる
マナの状態良し・・・魔力の安定・・・良し・・・行ける!!
体全身に魔力を滾らせて、筋肉の伸縮を意識して強化する
筋肉をバネのように強力にする・・・つまり身体強化魔法、俺の体は非力である為、魔法で強化して強くする事を編み出した
周囲に魔力が放たれて全員が唖然としてその様子を見守る
ガルが驚いて「杖無しとは・・・フリーハンズマジック・・・見事な物だ・・・これは私も礼儀として本気で立ち向かわねば」
本気でないと危ないと判断したのか姿勢が低くなり俺を敵とした目で見ている
「ガル教導官・・・本気でいいって言いましたね?私も全力で向かわせて頂きます!!」
俺が蹴っ飛ばした地面は軽くヒビが入り、砕ける
体感速度は、およそ60kmぐらいは出ているだろうか
その速度でガルの盾を全力でぶん殴る
盾が砕け散り、全員驚愕する
「なっ!盾が壊れた!」
「どんだけ怪力なんだよっ!」
ジェラルトが悔しそうにその様子を見ている
ガルがカウンターでパンチを繰り出してくる
「っつ!!エアブラスト!!」至近距離で空気を爆発させて衝撃で間合いを開く
綺麗に受け身を取り、着地するとガルが笑って「フフッ見事な物だレギオン王子、既に実戦でも戦える実力が備わっている」
俺は次の魔法の準備で指から魔力を出して術式を書いて
「もう終わりなんですか?私の全力はまだまだです」
ガルが笑って「いいだろう!行くぞ!!」
俺も走って魔法を展開する
メロルが叫ぶ「駄目!!発動のタイミングが早すぎるわレギオン!!」
「フレイムブラスト!!」正面に爆炎が放たれ、ガルが急停止して攻撃をかわし
「ハッ!展開が早すぎたようだな!!」
だが俺の狙い通りだ
「うぉぉぉぉぉ!!!」全力を乗せた拳
そうさっきの爆発は相手の視界から俺の姿をかき消す為のフェイク
本命はこっち
ガルが驚愕して驚いて無防備で立っている
その無防備な顔面にストレート拳をぶち込み、ガルが人形のようにぶっ飛んで地面に叩きつけられながら転がってぐったりと倒れる
しばらく沈黙が続いて、歓声が上がる
「すげえぇぇぇ!!レギオン王子が教導官を倒しちまった!!」
「あれが・・・レギオン王子・・・」
「ハァハァ・・・な、何とか倒せた・・・」
訓練フィールドの側で待機している医療班が駆けつけてガル教導官の様子を見ている
俺もかなり魔力を無理に使用した為、反動で体に力が入らなくなり、その場に座る
メロルが駆けつけてきて「全くレギオン君・・・あの爆発に、更に身体強化魔法で挑むなんて・・・いくらレギオン君の魔力が膨大だからってまだ私達小さい体なのに無理しちゃ駄目だよ」
「あぁ、すまないなメロル、しかし・・・俺の精一杯をぶつけたつもりだ・・・」
ジェラルトがズカズカ不機嫌そうに歩いてきて「レギオン・・・俺は必ずレギオンを越えて見せる」
俺は疲れた顔で「あ、あぁ・・・俺も負けないように頑張るさ・・・ハァハァ・・・今は・・・ゆっくりさせてくれ」
俺が休息していると、ガルが医療班をどけて起き上がり頭を振って意識を取り戻すと
立ち上がって歩いてきて「見事だ、流石は魔王の息子・・・あの爆発のフェイクは私も予知できなかった・・・私の油断が、戦いの中で考える事を止めていた……君は将来魔王軍の運命さえも左右させかねない程の強さになるだろう、だが精進は怠るな」
俺も頷いて「はい、教導官殿・・・」
ガルが全員に言う「よし!全員はまず基礎体力をつけるぞ!レギオン以外グラウンド10周!!」
俺は地面にへばっている中、クラス員の皆やジェラルト達がグラウンドを走り始める
―――――――
ガルが生徒をグラウンドに走らせている間に離席してシュベルト校長の所へと赴く
シュベルトが本を読んでいる中、ガルが入り
「失礼します、やはりレギオン王子には特別な授業が必要かと」
シュベルトは本を閉じ、笑って「あぁ、魔力の感じ方でそう思ったわ・・・あの娘・・・エルフのメロル君だったかな?」
ガルが頭をかしげて「メロルですか?確かに優秀ですが・・・」
シュベルトが窓を見て「レギオンも共に学ぶ生徒が居る方が本望じゃろう、メロル君もワシの授業に加えるように」
ガルが頷いて頭を下げ「畏まりました・・・それでは今後訓練の時間においては・・・課外授業という事でレギオン王子とメロルをお呼びいたします」
シュベルト校長は一息ついて「ガルよ、もう下がって良いぞ」
「はい・・・失礼いたします」
ガルが部屋から去るとシュベルトは嬉しそうにニンマリと笑い
「優秀な魔導師の子供が2人も・・・フォフォフォ・・・大魔導師オルベガ・・・お前を必ずやあの私の大図書館から叩きだしてやるわ・・・お前なんぞに魔導に道を取られてたまるものか・・・」
シュベルトの笑顔は狂気を帯びて笑っている
そしてシュベルトは城を見渡して「あの馬鹿な魔王であれば、レギオン王子を手なずけるのも容易・・・さてそろそろ動くとするかのぅ・・・」
シュベルトが立って本棚から古い本を取り出した・・・




