最終話 試合後のトイレで
明斗は恵吾のチームメイトとキャッチボールをしてもらっている。それを見守りながらわたしは恵吾と話をする。
「ありがとう、来てくれて」
「うん」
「ただただ、見て欲しかっただけ。それ以上意味はないんだけどね」
ユニフォームは砂で汚れている。恵吾が、すっごく眩しかった。
「いやーうそ。ほんまは咲良ちゃんの心動かしたかったから。この1週間仕事と練習ばっかりに力入れてた」
わたしは明斗を見る。嬉しそうにボールを投げていた。わたしが幸せになるというのが、最大の復讐だというのなら……。
それは恵吾のプロポーズを受けて、《《本当の家族》》になって幸せに暮らすことだろう。
でもそこで、家庭で起こる幸せって本当のわたしの求める幸せ?
ずっととまったままだった、SNSの更新はF県に戻ってきてからまた更新を始めた。サレ妻=かわいそう。でももはやサレる方にも原因あるよね説。
そんなレッテルを背負いながら、わたしはこれからの人生を歩むのだ。だけど運良く、昔精子を提供してくれたサークル仲間に再会して、それでうまくいくなんて話……味気ない。
顔面レベル計り知れないぐらい高くて性格も穏やかで家庭的だったけど、幼馴染に夢中な類ちゃんか、顔面レベル低いけど高収入で本当の……? って本当かどうかって精子と卵子の持ち主によって決まるってこと?
DNA鑑定がない時代ならどうなんの?
そしてなにより事実を知っていたのはわたしだけだった。まあ恵吾は怪しんでたかもしれないけど。類ちゃんを諦めていいんか? あの超絶美女な幼馴染だけ幸せになってていいんか? もっと両親にもわたしが被害に遭ったこと言えばよかった。同情せんひとなんかおらんやろ。不倫されたひとを哀れんだり、同情したりするんが世間やろ?
恵吾をうまく利用できないだろうか。あのふたりを最高の形で陥れるような。最高の展開が欲しい。
とりあえず、類ちゃんのお母さんにでも会いに行こうかな。
恵吾をもっとわたしだけのものにして、利用して捨てちゃおう。
わたしは、恵吾を人気のない場所に誘導する。
「もうちょっとだけ時間が欲しい」
抱きついて、わたしは恵吾の肩に顔を乗せながらつぶやく。
「うん、もちろんやん」
「嬉しい……」
それからキスをして、多目的トイレに入って、セックスをした。鏡の前に手をついて、服を乱れさせパンツの隙間から恵吾の性器が入りバックから突かれた。
「んあ……あっ」
このまま子供でも作ってしまえばいいかもしれない。
「ああ、咲良ちゃん出そう‥…」
そして恵吾はそのままわたしの中で果てた。わたしはニヤッと微笑む。
絶対にわたしのことを裏切ったやつらは、許さへんねんからな。




