神官
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馬車の入口の外に顔を見せたのは、ミルクブラウンの髪に群青色の瞳をした優し気な男性だった。しかしながら、その服装は神官が纏う神官服っ!!
神官と言うことは神殿に仕えるお方と言うこと。神殿は聖女のホームグラウンド。縄張り!つまりはそこに仕えるものも敵!聖女の手先っ!
私が思わずザカリィに身を寄せたのが分かったのか、ザカリィが私を更にぎゅぅっと抱きしめてくる。ひぇっ!?そ、そう言うことじゃなくって、ちょっと身構えただけなんだけど!?
「こんなところで陛下みたいなことしないでくださいね。本当に、似なくていいところまで似るんですから」
え?どゆこと?
ザカリィに顔を向ければ。
「リューリ♡」
うっとりとした表情で、私に頬ずりを再開するザカリィ。
だ、だから、違うって!
「そう言うのは夜にベッドの上でしなさい」
「むー」
と、ザカリィが唇を尖らせている。いや、神官さま。そう言う問題とちゃうと思いますけど。てか、この神官さまは一体何をしに!?ひょっとして聖女を瀕死の状態にさせた私たちを罰しにきたとか!?いや、ザカリィは悪くない!いや、やったのはザカリィだけども原因はそもそも私だ。
「ざ、ザカリィは悪くありません!そもそも聖女を亡き者にしたのは私です!私を罰してください!」
てか、国の宝、帝国からも特別扱いされる聖女を亡き者にしたら、普通死なないか?処刑されないか?あぁ、私。自分で破滅ルートを踏んでしまった。けれど、その代わりにザカリィが幸せになってくれるんなら私は・・・。
「聖女なら死んでいませんよ。そもそもあれは聖女(仮)ですからね」
え?まぁ、ザカリィは殺さないと言っていたけれど?
てか、“(仮)”ってなに!?
「“聖者”である私自ら、この屋敷の中の方々は治療しましたから誰も死んでいませんよ」
え、聖者?ってことはこのひとっ!
「神官長さまっ!?」
「はい、神官長ですよ」
そ、そんなっ!まさか神殿のトップがここにいるだなんて!しかも聖女の手先の大ボス!むしろこのひとが私的には真のラスボス!
「ルーク兄上」
「何ですか?ザック」
“ザック”と言うのはザカリィの本名である“ザカライアス”の愛称だよね。
そして“兄上”ってことはやっぱり神官長さま=ザカリィの異父兄!!英雄王陛下の異母弟君~っ!
「ルーク兄上だからとは言え、いつの間にどこでリューリと会った。そんなことは聞いてない」
何このデジャヴ。
「お会いしたのは初めてですね。リューリさんは16歳の成人の儀の際に神殿にお顔をだされなかったので」
そりゃぁそうだ。何故なら寄生虫一家に監禁されていたんだから。
「でも、私のことは国中、いえ、帝国民ですら知っていますよ?」
まぁ、有名だもんね。英雄王陛下の右腕左腕どっちだったか忘れたけどそんな風に呼ばれている方だから。
「教科書に載っているようなものです」
確かにそうだけどっ!少なくとも私が読んだ教科書には神官長さまのお顔は載ってませんでしたー。国王陛下のお顔なら、母さまと一緒に行ったパーティーでお見かけしたし肖像画でも見たけれどね。
そう言えば、神殿には行ったことがなかったなぁ。
「さて、定期的に治癒魔法はおかけしていましたが、念のため診療をしてもよろしいでしょうか?」
「え、治療魔法なんて私、かけてもらってませんよ?」
あの聖女が私にそんなことをするはずがないし。
「いえ、しっかりと密偵が忍び込み、あなたに治癒魔法をかけていましたよ。そうじゃなきゃ、今頃どうなっていたかわかりません」
「あの、まさかとは思いますが、水やリンゴを?」
「えぇ。密偵が忍び込んでからは徹底的にあなたのことをガードしておりましたから」
「どういう、ことなんですか?」
「そうですね。まずは診療をしてゆっくりとお話しましょうか。で、ザック。そろそろお膝からおろしなさい」
神官長さまが馬車の中に入って来て、私たちの向かいの席に腰を下ろした。
「嫌だ」
「こぉらっ」
コツン。神官長さまがザカリィの額をコツンと軽く叩けば、ザカリィが渋々私を横の席に降ろしてくれた。わぁっ!座席がふっかふかぁ~。なにこれ、高級ソファーかなにか!?でもザカリィが腰を引き寄せてめっちゃくっつけてくるんだけどぉ~。




