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【完結】最強王弟殿下の花嫁  作者: 瓊紗(旧:夕凪.com)


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英雄王陛下

※残酷描写を含みます<(_ _)>


―――英雄王・ラーシュ=エリク・シュリュッセル陛下。


その名はこのシュリュッセル王国のみならず、宗主国の帝国や周辺諸国にまで名がとどろくほどの我が国の英雄だ。何せ、帝国の皇帝陛下が毎年英雄王陛下の在位を祝うパーティーに顔をだすほどだから。


彼の名が一躍有名になったのはおよそ20年前の魔物の大規模討伐・“いくさ”だった。当時16歳という若さで討伐団を率いる団長として派遣された彼は自ら陣頭に立って戦い、多くの戦友たちと戦い、失い、それでも王国のため、帝国のため、民のために戦った。

それを間近で支えたのが今は神官長となったルークさま。ルークさまは当時12歳だったと聞く。それでも戦というけがれた地を踏むことができないという当時の聖女の代わりに“聖者”として英雄王陛下に追従したのだ。

はて、聖者がよくて聖女がダメって何なんだろうと当時歴史を学んだ私は思ったが。


しかし、ルークさまが献身的に英雄王陛下に仕え、そして戦場で多くの命を救ったことには変わりはない。私が12歳の時に同じことができたかと問われれば決してそうは言えないだろう。


そして、英雄王陛下は側妃さまの御子で、ルークさまは正妃さまの御子。つまり彼らは異母兄弟だった。しかしながら異世界ファンタジーおなじみの正室と側室のぎくしゃくはあのおふたりにはないらしい。何せ戦場で命を預けながら戦い抜いた仲だ。きっと血のつながり以上の絆が彼らにはあるのだろう。


英雄王陛下が魔物の“巣”を壊滅させて、魔物の大量発生を鎮めたのはその4年後。今回の2倍かかった。英雄王陛下は20歳、ルークさまは16歳になっていた。その頃には4年前に出立した騎士の多くが亡くなり、または戦地離脱し、そして新たに派遣された騎士はほとんどいない。それでもボロボロの状態で王都に凱旋した英雄王陛下たちを待っていたのは・・・。


自死したルークさまのお母さまである正妃さまの遺体と、精神的な病で倒れ廃人同然となった先王陛下だった。


そして暫定的な王として即位した英雄王陛下の異母兄あに君でルークさまの実の兄君は、戦場に行くことを拒否した聖女と結婚していた。更に不当な税率を敷き、魔物被害で苦しむ民を見て見ぬふりをして圧政を強いていた。


だからこそ英雄王陛下は自ら異母兄である“王太子”の首をねた。そして聖女を縄で縛りそのまま宗主国の皇帝陛下にその首と聖女を差し出したのだ。


当時の帝国も“戦神せんしん”と呼ばれた帝国の英雄のおかげで何とか魔物から勝利したが帝国内も荒れていた。そんな中、享楽にふけり税をむさぼった王太子に対して怒りをあらわにしたそうだ。更には戦場に行けばけがれるなどと言った理由でいくさに行くことを拒否しておきながら、帝国の領土を穢したとして聖女の首もねさせた。


聖女は尊き御心を持ち、魔物被害からひとびとを救う気高く希少な存在であった。しかしながらそのように自ら穢れを好み、貪った聖女はもはや聖女ではないとしたのだ。


むしろ戦場を英雄王陛下と共に駆け、時には帝国軍の助けにもなったルークさまを気高き“聖者”として祝福し、帝国が認める聖者として褒章を授けた。


だからこそルークさまは、帝国に認められたシュリュッセル王国の国王陛下として英雄王陛下が即位したのに合わせて王族籍から離れ、神殿に神官として仕えることを選んだ。今では神官長である。神官は神に仕えるものの、基本的には結婚も認められている。

過去には神殿所属の聖女と王族との縁を結ぶため、王族との婚姻が推奨されてきたのも理由の一つだし、聖女が産まれた家系には聖女が出やすいとも言われてきたからだ。


(無論、寄生虫一家のオックス家はその家系ではないはずだが)


そして、ルークさまは“聖者”である。ルークさまと婚姻を結んだ場合、次代に同じく聖者や聖女を授かれる可能性は増える。ただ、ルークさまは英雄王陛下の地位を乱すような存在を生み出すのは好まず、自らがそうなることも好まなかった。

だからこそ、帝国からの褒章を盾に今でも独身を貫いている。


なお、英雄王陛下の兄君であった王太子は、次期国王が決まるまでの暫定的な王だったが帝国が認めた国王ではないためシュリュッセル王国としても“国王”には数えられず、むしろ反逆者として王籍から抹消されている。


だから、英雄王陛下のお父君である先王陛下の次代国王陛下は英雄王陛下御自身である。


さて、ここまでが現実のシュリュッセル王国の歴史である。

この知識と原作小説のシュリュッセル王国の国王陛下に関し、違う点があるのだ。


―――それは、国王陛下自身だ。


原作小説でザカリィが誕生した後に“国王”になったのは、ザカリィの異父兄で長子の王太子である。なお、原作小説では他の兄弟についての記載はなかったはずだ。


しかしながら、英雄王陛下はザカリィとは血のつながりがない。

何故ならザカリィは正妃の御子。

英雄王陛下は側妃と先王陛下の御子。


ザカリィは魔晶を埋め込まれた正妃の御身から産まれた。つまりは父親は先王陛下ではないとされている。なお、ザカリィの出生についての事実は原作小説の知識から拝借している。


となれば、先王陛下とザカリィの産みの母・先王正妃さまの血を引いているのは、現在神官長となったルークさまである。けれどルークさまは先王の第3王子だった。長子ではないし、王太子でもなかった。


であれば答えはひとりしかいない。

原作小説で国王陛下として登場した人物は、英雄王陛下に首をねられた偽王である先王の王太子。


この現実と原作で登場する国王陛下がそもそも違うのだ。


―――そして、ザカリィ。


ザカリィは原作の知識を引用するのならば、大規模な魔物の被害が出始めた20年前に誕生したはずだ。つまりは英雄王陛下とルークさまが戦地に赴いた歳に産まれた。

そして4年後、英雄王陛下が戦地から帰還した後、ザカリィはどうしていたのか。


少なくとも私がザカリィに夢の中で出会ったのは、私が5歳くらいの頃だ。

だからザカリィが9歳の頃。

その頃のザカリィは、とても悲しそうな顔をしていた。

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