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オンラインゲームで知り合った友達が同じ高校のTOP4美少女達だったけど、僕は本当に友達のままでいていいの?  作者: しょぼん(´・ω・`)
第九章:過去、現在、未来

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第33話:夢物語

 ……え? 何で泣いたの?

 僕の驚いた顔を見て、瑠音(ると)さんもやっと涙に気づいたんだろう。


『み、見ないでくださいまし!』


 思わず両手で顔を隠すエモートをし、涙顔を見せなくする。

 ただ、彼女の泣き顔は、僕の心に強く焼き付いて離れない。


「えっと、今のって……」

『ご、ご安心くださいませ。ただの嬉し泣きですもの』


 瑠音(ると)さんの少し震えた声。

 それは、泣くくらい嬉しかった証にも感じる。


 これって本当に演技、なんだよね……。

 正直、いまのを見て演技って思える人、どれくらいいるんだろう。

 実際僕だって、瑠音(ると)さんを泣かせちゃったことにはっきり焦りも感じたし、嬉し泣きって言われたことへの驚きもあった。


 今もその衝撃で心臓がバクバク言ってるし、背中に変な汗を掻いてる。

 これがゲーム内じゃなかったら、本気でヤバかったと思う。


『お、お待たせしましたわ』


 涙を拭いたであろう瑠音(ると)さんがエモートを解くと、恥ずかしそうに僕を見上げてくる。

 その艶っぽい表情が凄く魅力的に見えて、僕は目を逸らせずにいた。


『あ、あの。わ、私達(わたくしたち)、お、お付き合いできますのね?』

「う、うん」


 せ、設定上は、そういう事でいいんだよね?

 さ、流石に本気で捉えられてはいないと思うんだけど、僕が頷いたのを見て、心底嬉しそうに微笑んだ彼女の顔を見ると、やっぱり真に受けてるんじゃないかと疑いたくなる。


『で、でしたら、こういう事をしても、よいのですわね?』

「……え?」


 僕の返事を待つことなく、瑠音(ると)さんはさらに一歩前に出ると、そのまま目を閉じ顔を一気に近づけてくる。

 え……え? もう!? いきなり!?


 完全に虚を突かれた僕は、その場で固まってしまう。

 それでも、彼女は止まることをせず、僕に顔を寄せてくる。

 キ、キス……そ、そうだ! キスしないと!?


 咄嗟に目を瞑った僕は、困惑しながらも唇を少し突き出す。

 目の前が見えなくなったから、これでいいのかすらわからないけど、それでもそのままでいると。しばらく互いに無言が続いた後、ちゅっという甘美な小さな音が聞こえた。


『……優汰(ゆうた)様。もう、いいですわよ』


 恥ずかしそうな瑠音(ると)さんの声を聞き、僕はゆっくりと目を開く。

 未だ目と鼻の先にいる彼女は、耳まで真っ赤になっている。

 そこにあるのは、何かふっきれたような満足げな微笑み。悲しげな感じは一切ない。


 ただ。


『残念ですわね』


 瑠音(ると)さんが口にした言葉は、表情とは裏腹の言葉だった。


「え、えっと、残念?」


 そう聞き返してしまった僕に、彼女は小さく頷く。


『ええ。もし、これが現実でのことでしたら、(わたくし)貴方様(あなたさま)にもたれかかり、そこにある優汰(ゆうた)様の存在を確かめられましたのに。それが叶わないからこそ、これが嘘の夢物語にも感じてしまうのよ』

「嘘の、夢物語……」

『ええ。まあ、もし現実に口づけの感触を味わっていたら、(わたくし)も感情が抑えきれなかったでしょうけど』


 そ、そっか。

 実際、嘘告白からのキスで、これだけドキドキさせられたんだ。

 勘違いしちゃうようなことも……あれ? そういうことがあるの?

 ふわふわしたままの頭のせいか。そんな疑問が頭を過るけど、それが正しいのか間違ってるのかすらよくわからない。


 僕の困ったような顔を見て、肩を竦めた瑠音(ると)さんはくるりと僕に背を向ける。


『さて。これで(わたくし)の夢のような時間はおしまい。次に譲るわね。ごきげんよう』

「あ、うん」


 こちらに顔を向けることなく、瑠音(ると)さんはそのままゆっくりと教会の入り口に向かって歩いて行く。

 華やかなウェディングドレス姿。だけど、それは少し淋しげにも感じる。


 ……最後のも、演技なんだよね?

 キスをした後から一変したように感じる瑠音(ると)さん。

 その背中をじっと見つめていたけれど、結局彼女は最後までこちらを見ることなく、教会の扉を開け外に去っていったんだ。


      ◆   ◇   ◆


 教会に一人残されてから数分。


優汰(ゆうた)。そろそろいくぜ。いいか?』


 ふわふわしている頭を冷ましたくて、部屋のエアコンを強くしつつ飲み物を口にしていた僕の耳に、未だ姿を見せていない喜世(きよ)さんの声が聞こえた。


「うん。わかった」


 平然を装ったけど、今でも瑠音(ると)さんから受けたドキドキは収まりきってない。

 最初からあれだけ衝撃を受けたんだ。この先も恥ずかしさに耐えられるといいけど……。

 コップをパソコンデスクに戻したのとほぼ同時に、教会の扉から赤いドレス姿の彼女が現れた。


 喜世(きよ)さんも既に頬が赤い。だけど、その表情は普段の彼女らしい笑顔。

 ゆっくりと歩いてきた瑠音(ると)さんと違い、喜世(きよ)さんは普段通りの歩き方で颯爽と歩いてくる。


 そして、僕の数歩前で足を止めた彼女は、ふっと照れ笑いを見せた。


『へへっ。やっぱ俺には似合わねえよな。こんな格好』


 彼女はそう言いながら、ドレスのスカートを両手でつまみ、くるりとその場で回るエモートをする。

 表情はいつもに近いけど、その仕草はどこか可憐。

 華やかに見えるドレス姿も、そんな喜世(きよ)さんに合ってると思うんだけど。


「そんなことないよ」

『そ、そうか?』

「うん。喜世(きよ)さんって赤いドレスをビシッと着こなしてるし、スタイルもいいから凄く合ってる。だから、自信を持っていいよ」


 素直にそう口にした僕を、少し踊りたような顔をした喜世(きよ)さん。

 でも、そんな表情はすぐに呆れた笑顔に変わり。


『まったく。ほんと、お前はいい奴だな』


 喜世(きよ)さんは屈託のない笑顔で、僕にそう言ったんだ。

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