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“数学で支える”──後輩たちとの冬季補習

月曜日・「先生」としての登壇

冬期補習期間。

数学部の3年生たちは、「特別講師」として後輩向けの演習講座を担当することになった。


高橋:「じゃ、俺は数Iの数列。

紅葉はベクトルで、凪は……確率かな」


凪:「……いいよ。確率、私、好きだから」


黒板の前に立つのは、思ったより緊張した。

でも、目の前の1・2年生たちの真剣な目を見て、凪は少しずつ声に自信をのせていった。


火曜日・「わかる」と「わからない」のあいだで

新山(1年):「この問題の“なぜその公式を使うのか”が、いまいちピンとこなくて……」


凪:「うん、それって、“式を覚えてる”状態と、“式が言いたいことを理解する”状態の差かも」


凪はチョークを手に、こう書いた。


「“公式”は答えじゃない。“問いのかたち”にすぎない」


その言葉に、新山は目を丸くして頷いた。


新山:「すごい……なんか、数学が“言語”みたいに思えてきました!」


凪(心の声):「教えてるつもりが、こっちが“初心”を教えてもらってるみたい」


木曜日・“うまく教えられない”悔しさ

紅葉:「今日、ベクトルの説明……自信なかった。伝わってなかったかも」


凪:「でも、紅葉は“伝えよう”としてたよ。

それって、ちゃんと“教える人の時間”になってたと思う」


紅葉:「……それって、数学部っぽい言い回しだね」


凪:「数学って、言い換えの技術だもん。人への言葉も、同じ」


金曜日・“バトン”としての数式

最終日。

1年の新山が、凪のノートを手に言った。


新山:「先輩たちみたいになれるかわからないけど、いつか私も、誰かに教えられるようになりたいです」


凪:「うん。わたしも、最初は“言葉にできない好き”だけだった。

でも、その“好き”が“誰かのわかる”になった時、初めて数学が“道”になった気がした」


数学部ノート(凪)

■高校三年生・第20週

・冬季補習=“教えることで見える自分”との再会

・凪:「わかりやすく伝えるには、自分の理解の“形”を言葉にしなきゃいけない」

→ 数学は、“教えることで深まる”。それは、自分の中の言語を耕す行為



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