▣葬憶隊名簿 & 音念図鑑⑤
●葬憶隊/その他
✿旺前 麒三郎
中部支部長。ロマンスグレーのオールバックに金縁のモノクルをかけた、愛想はいいが生活感のない、ちょっと胡散臭い男性。65歳。
元は音念研究者だったらしい。当時は今ほど社会問題化していなかったが、早くもビジネスチャンスを見出した照廈駒吉から出資を受けていた。その代わりに汚い仕事を引き受けていた……という噂がないこともない。
タケ、駒吉とともに葬憶隊設立の立役者。そのわりに地方支部長という中途半端な役職に就いているが、首都圏の本部長が彼に頭が上がらないとか、テルイエグループの膝元から動きたくなかったとか、やはりいろいろ噂があるもよう。
・好きなものは紅茶 支部長の執務室には私物の『素敵な』お高いティーセットがあり、自分で淹れているらしい
・科学者仲間だからか尉次とは気が合うようだ
✿大瀬 千尋
関西支部所属の特務隊員。元は中部支部の通常班員で、鳴虎と匡辰の同期。前者とは同じ道場で励んだ十数年来の親友でもある。
いわゆる女子校の王子様だった人。背が高めで涼しげな目鼻立ちのため、黙ってればシュッとしたイケメン女子に見えなくもないが、中身は関西訛りのセクハラねーちゃん(対めーこ)である。鳴虎を『めーこ』と呼び、人目も憚らず挨拶代わりにハグ&ぺろぺろするヤバい女。天敵は匡辰。
どうやら鳴虎への想いはガチのようだが、本人は結ばれる望みは持たず、鳴虎の幸せを第一に考えている。もともとかなり前向きな性格なので、関西では普通に恋人(女性)を作ったりもしていたようだ。
青みがかったロングストレートの淡い黒髪で、普段は後頭部で引っつめにしている。瞳は黄緑がかったグレーに近い淡褐色でやや三白眼。一人称はウチ。
・祓念刀の銘は『磯撫』
・戦闘スタイルは攻防速のバランスが取れた正統派のアタッカー
等級は★★★★★
・趣味は食べ歩き 晴れた日にテイクアウトのものを買って景色のいい場所でブラブラするのが好き
✿飯綱截彦
かつて中部支部に所属していた人物。最後は通常班の班長を務め、使用していた隊章は赤色のクラヴァットで、部下は萩森鳴虎と椿吹匡辰であった。
褐色肌に頬の刀傷が特徴。軽い調子のムードメーカーで周囲に好かれており、こと鳴虎に慕われていたが、任務中に運悪く大型の上級音念に遭遇した彼女を庇う形で殉死した。そのことが鳴虎と匡辰にとって深いトラウマとなっている。
隊員としては五来と同期。沼主ナギサともなにやら関係があったとかなかったとか……。
✿蛯沢玄能
中部支部科学部・医療チーム所属の内科医。心療内科と耳鼻咽喉科を兼任している。蛍の特別訓練のために選抜された『反音念チーム』のメンバーの一人。
温厚で快活かつ若手(三十代)なので看護チームからの人気は高いが、既婚者らしい。伴侶を「うちの奥さん」と呼ぶタイプ。趣味はフットサル。
✿御手洗完太
技術チーム所属の音響工学エンジニア。『反音念チーム』の一人。
ややオタク系。ひょうきんな性格でよく喋る。人懐こい印象の丸顔に太縁のメガネがチャームポイント。
釜寺とは同期入隊で仲が良い。既婚者で、伴侶を「嫁ちゃん」と呼ぶタイプ。趣味はゲーム。好きなジャンルはRPGとパズル。
✿釜寺文武
技術チーム所属の音響解析官。『反音念チーム』の一人。
生真面目で几帳面、おとなしくて寡黙。真逆な御手洗とは意外にも仲が良い。細面で優しげな顔立ち。
やはり既婚者で、伴侶を「妻」と呼ぶタイプ。趣味は映画鑑賞でレビューサイトの常連ライター。スリラーからコメディまで幅広く好む。
●テルイエとその関係者
✿照廈 尉次
照廈駒吉の次男。ワカシの叔父にあたり、蛍の身体であるつぐみの法律上の父親。
テルイエ技研の所長ほか、テルイエグループ内のいくつかの企業や部門に役職を持つ。経営者というより科学者の気質であり、幼いころから父と旺前の研究事業を見てきたからか、音念研究に深く傾倒している。反音念の発明者である。
人柄は温厚だが、研究第一でどうにも倫理観が怪しい。大富豪の次男なこともありとくに若い頃はなかなかモテたようだが、妻の留理子をはじめ歴代の恋人を悪意なく振り回し、疲れた彼女らを兄に寝取られるのが常態化していたという。
しかも本人はそれを気にするどころか「女の子はいつも兄さんと共有だよね」などと捉えている始末。そこに悪気があるわけでも諦観しているわけでもなく、ただ合理的すぎるだけである。一方で留理子が亡くなったあと後妻を迎えることはなく、彼女との思い出をやや美化しているロマンティストな一面もある。
一人称は公的には私、プライベートでは僕。
✿照廈 磯彦
照廈駒吉の長男。ワカシの父であり、つぐみの生物学上の父親でもある。
テルイエグループ内の企業の役員を複数兼任しており非常に多忙。こちらは根っからの経営者であり、そのワーカーホリックぶりは趣味と実益を兼ねているといった風情らしい。
女性関係のだらしなさに定評があり、十六年前に弟の恋人だった留理子に手を出して妊娠させた。十二年前には愛人が原因の火災で妻の清百合を失い、愛想を尽かした息子のワカシが跡を継ぐ気がないのが悩み。
つぐみの他にも隠し子がいる可能性はあるが、恐らく相続などの関係で認知していないので不明。立場が立場なのでアラフィフになった今もお誘いはあるようだが、さすがにサユリの事件が堪えたらしく、以来新たな愛人は作っていないとの噂。
一人称は公的には私、プライベートでは俺。
✿本俵藻助
照廈家に長年仕えている執事。使用人たちを束ねる、厳しくも優しい働き者のおじいちゃん。
幼いころから世話をしてきたワカシのことを今でもとても可愛がっている。もちろん主の磯彦のことも大切なので、二人になんとか和解してほしいと願っている。
✿温井順企
テルイエ技研の主任研究員。『反音念チーム』の技研側の担当者であり、ほぼ尉次の代理人といって差し支えない権限を持っている。
背が高く固太り気味で貫禄がある。性格はやや堅物なくらい真面目でストイック。おおよそ尉次とは真逆なのでよく振り回されているようだ。
伴侶を「家内」と呼ぶタイプ。
✿照廈留理子
尉次の妻でつぐみの母親。重度の発叫体質者で、尉次とは彼の研究の協力者として知り合った。
例のごとく尉次のエキセントリックな言動についていけず病んだ結果、うっかり磯彦と関係を持ってしまう。元より不貞を自責していたこともあり、生まれてきた娘が自分よりも重い発叫体質だったことに絶望し、思念自殺した。
ロングストレートの黒髪に紫の瞳の、地味で儚げな印象のほっそりした美人。
✿照廈清百合
磯彦の妻でワカシの母親。テルイエグループ役員を務めていたバリキャリで、こちらも夫に負けず劣らすのワーカーホリックだったらしい。夫の浮気癖は知っていたが、息子への影響を懸念してか、少なくともワカシの前ではとくに怒ったり諌めたりはしていなかった。
磯彦の愛人の一人・逸見の思念自殺に巻き込まれて亡くなった。(死ぬ間際に自身も音念を発していたが、あくまで息子を守りたい意思によるものと推察されるため、死因そのものは思念自殺ではなかった可能性が高い)
ダークブラウンのミディアムボブに灰褐色の大きな瞳で、人目を惹くオーラのある美女。
✿照廈つぐみ
留理子が磯彦と関係して生んだ娘。尉次が何事もなかったように認知したので表向きは彼の娘ということになっている。
母親以上の重い発叫体質だったため、ほとんど照廈邸か研究所しか知らずに育ち、留理子の代役として尉次の研究を手伝うことも何も疑問に思ってはいなかった。
反音念生成実験においてハナビを生み出して死亡。享年は弱冠六歳。
その後、遺体に反音念が定着。研究所近くの川に放り出され、納琴市に流れ着いて蛍となった。
✿照廈駒吉
テルイエグループ総帥。ワカシとつぐみの祖父で、磯彦と尉次の父親。
葬憶隊の設立に深く関わり、以降も続いているテルイエとの癒着関係の発端といえる人物。現在は夫人の病気療養のため海外に移住しており、直接関わることは少なくなっているが、ことあるごとに名前が上がる程度には存在感を保っている。
とくに終波タケに与えた影響は大きい、らしい。
●音念図鑑
✿No.6
標的名:『ギタリスト』
ハナビの命名は『ロック』
階級:騒念化した上級音念
外見:擬態型。金に染めた短髪にスカジャン姿の若い男の姿をしている
能力:『作曲』と『演奏』。ただしどちらも自力では完結できず、ハナビやセーラの協力を必要とする
『作曲』:事前に対象者の脳波を計測し、近似値をハナビの保有する音から抽出・組み合わせることで、自らの残留奏に仮想の人物情報を織り込むことができる。これにより配下の音念を特定人物を模した偽者として変化させる指令を楽曲の形で作成する
『演奏』:ギターに化けたセーラを使い、音を生み出す能力。『作曲』した偽音念の操作もこれで行う。音念にとっては生命線の「音」を自家生産できるので、これにより無限増殖を可能とする
処分状況:逃走中
✿No.7
標的名:『ギター』
ハナビの命名は『セーラ』
階級:騒念化した上級音念
外見:擬態型。髪を耳の下で二つ結びにした小太りの女子中学生の姿をしている
能力:自身の本体以外の人間や無機物を擬態によって『再現』する高度な変身能力。最低限の知識や情報があれば変身対象の制限はなく、詳しく想像できるものほど正確性が高くなり、道具であれば実際に使うことができるほど
ハナビと融合して『ダーリン』の妻・リカコに化けることで彼女の死を隠匿する、ロックが『演奏』に使うギターに化けるなど、仲間との連携による汎用性が高い。今後はより凶悪な用途に用いられるポテンシャルを秘めている
処分状況:逃走中
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