Ⅰ 秘密
2025年4月15日
新生徒会長に任命された相馬 智也と新生徒会副会長の桜庭 結衣は放課後、生徒会室にいた。
始業式から1週間経過し、引継ぎ資料の確認がようやく終わったのだ。
「お疲れ様、副会長。」
「お疲れ様です、会長。」
「いやー、引継ぎだけでこんなにかかるなんてね。」
「えぇ、でもこれで明日から、生徒会の仕事に集中できるから。」
「ねぇ智也、少し甘えていい?」
「副会長さん、何を言っているのかな?」
「ここは2人しかいないし、もうきっと生徒は帰ってるわよ。」
「でもなぁ、、、」
「いいでしょ? 流石に疲れたよ~。甘えさせてよ~。」
「うーん、まあこんな時間だしな、、、分かったよ、おいで、結衣。」
久しぶりの智也の腕の中
安心する
去年の5月から、私、桜庭結衣はこの相馬智也くんと交際している
学校の規則では「男女交際禁止」
生徒会のトップ2なので、発覚したら普通の生徒より大騒ぎになる
でも、気持ちを抑えることは私にはできない
ましてや引き継ぎ業務で忙しかった
「結衣、俺達はさ、もう生徒会の会長と副会長だよ? これからは校内でこういう会話とか、その、、、接触は控えないと。バレたら停学どころじゃ済まないよ、、、?」
「えぇ~? 良いじゃん誰もいない時間だったら~」
智也は押しに弱い
私はそれを利用して、今まで校内でもこうして抱きしめてもらっていた
もちろん、誰もいないのは毎回確認していて、智也はなんだかんだ抱きしめてくれた
学校外でこっそりデートもした
スリルもあり、私は楽しんでいた
智也はやっぱりどこか気が気じゃない様子だったけど
「さて、結衣。俺達もそろそろ帰らないと。」
「うん。分かった。」
露骨に残念そうに言った
「結衣?」
「はい、すみませんでした。」
智也からの軽い注意が入る
もちろん本気で怒っているわけではない
「じゃあ、俺は先に帰るよ。結衣は10分くらいしたら帰る事。」
「うん。じゃあまたあした。」
手を振って智也を見送る
幸せなひと時
智也に久しぶりに甘えられた幸福感で浮足立っている
でもこれが幸せ
(ガチャ)
生徒会室のドアが開く
入ってきた人物を確認せず
「あれ、智也、忘れ物?特に見当たらなかったけど、、、」
振り返った先にいたのは智也ではなかった
「あ、れ、、、?神崎くん?どうしたの?」
マズい
確認してから言葉を発するべきだった
「いや、委員会の予算申請書を智也に渡したくて。もう帰った?」
「うん、会長は丁度帰ったとこ。私が受理しておくね。」
上手くごまかせたのか、、、?
「ありがとう。」
「いえいえ、どういたしまして。」
「ところで桜庭さん。さっき智也って言ってたよね?」
聞き逃してくれていなかった
「ええ? 言ってた? 言ってたかなあ? 聞き間違いじゃなくて?」
全身から汗が噴き出す
「いや、聞き間違いじゃないね。確かに言ってた。」
本当にマズい
神崎くん
同じクラスになったことはない
進級しても違うクラス
智也と仲が良いってことくらいしか知らない
「別に智也って呼ぶことは良いんじゃない? でも、誤魔化す必要はあるのかな?」
ハメられた
というか私からハマっていった
「いやー、、、それは、、、」
本当にマズい
新生徒会トップ2が新学期早々処罰は本当にマズい
なにより私のミスで智也に迷惑がかかる
「というか、まあ、そうですね、、、」
何だ、今度は何だ
「会話、外に聞こえてたので。」
頭が真っ白になった
あのイチャイチャを
聞かれていた
「アッ」
つまり全てを知った上で聞いてきていた
やっぱりハメられた
「その、このことは学校とか他の生徒には、、、」
「言わないで欲しい、かな?」
「はい。」
「何も無しで言わないで欲しいって言うのは、なかなか通らないんじゃないですか? 副会長殿?」
終始真顔の神崎くんは、とても同級生には見えなかった




