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お迎えに上がりました


(ど、どうしよう……!)


急な展開に大パニックの夢姫はしばらくその場に呆然と立ち尽くしていた。


(はっ!とりあえず着替えなきゃ!)


夢姫は早足で更衣室に向かった。



ーーーーーーーーーー



(はぁ〜。これからどうしよう。そもそも、あの二人は本気なのかな?大河さんは私の反応を楽しんでいるだけな感じがするけど、神風さんはなんだか違う気もするし。それに「約束」って、あれは一体……?しかも、お泊まりやらハグやらで毎回距離が近いし、本気なのかな?ってこちらも勘違いしちゃいそうだよぉ、うぅ。)


考え込みながら支度をしていると、夕日が更衣室に入ってきた。


「あれぇ?ゆめちゃ〜ん♡どこに行ってたのぉ?」


「あ、ユウユウ。お疲れ様です。あれ?マーサさんとルリさんは一緒じゃないんですね。」


「そうなのぉ〜。二人に『この後スイーツ食べに食べに行こぉ♡』って誘ったのにぃ、『昨日ずっと飲んでたから早く寝たい』って帰っちゃったのぉ〜!……あっ!ゆめちゃん、この後空いてるぅ?スイーツ食べに行こぉよぉ〜♡」


「……えっと、実は予定が入っちゃって。」


「えぇ〜!ゆめちゃんもぉ?じゃあ、私もぉ今日は大人しく帰ろうかなぁ。あ、駅まで一緒に帰るぅ?」


「あ〜、ごめんなさい。待ち合わせをしているから、駅まで一緒に行けないんです。」


「……え?それってひょっとして、うちのメンバーの誰かと待ち合わせ?」


「へ!?いや、あの、その……。」


夢姫が言葉に詰まっていると、夕日が悪戯好きの子供のような目をしながら、ニヤニヤと笑いながら夢姫に向かって話かけた。


「……へぇ?ふーん。なるほど、なるほどぉ。私はお邪魔虫のようねぇ。ふふっ。」


「え!邪魔なんて、そんなこと!」


「いーの、いーのぉ!気にしないでぇ。次の時に誰だか教えてねぇ♡うふふ♡」


「ゆ、ユウユウ!違うんです、これには深い訳が……!」


「きゃははっ!ゆめちゃん、動揺し過ぎぃ〜。大丈夫ぅ、うちのサークルは恋愛自由だしぃ♡そ・れ・よ・り!いいのぉ?早く行かなくてぇ。」


「…あっ!」


夢姫は慌てて時計を見ると結構時間が経っていた。


(マズいぞ、結構時間が経ってる!待たせちゃってるかも!)


「ちょっと急ぎます!ユウユウありがとう!」


夢姫は荷物を無造作にバッグに突っ込むと、慌ててその場を後にした。


「はぁい♡またねぇ、ゆめちゃ〜ん。」


夕日はヒラヒラと手を振りながら、慌てて出て行く夢姫の背中を見送った。



ーーーーーーーーーー



「はぁ、はぁ……。あ!神風さん!」


夢姫は休憩棟まで駆け足で向かい、奥のソファで座っていた神風に向かって声を掛けた。


「ゆめちゃん。」


呼ばれた神風はソファから立ち上がり、こちらに向かって歩いてきた。


「あ!脚痛めてるのにいきなり立ち上がっちゃダメですよ!」


夢姫は慌てて神風のところまで走った。

……が、神風にあと一歩という距離で、夢姫は段差でつまづき前につんのめった。


「ゆめちゃん!」


(あーーれーーー!!久々のこの展開!!)


夢姫は床とこんにちはをするだろうと思い、咄嗟にギュッと目を瞑ったが、いくら待っても床はやってこない。


「……全く。ゆめちゃんはよく転ぶね。小さい時から全然変わっていない。」


神風は咄嗟に手を伸ばし、夢姫を抱き止めていた。

大きい手に、鍛え上げられた腕と硬い胸板。

そして、神風の持つ香り。

その全てが夢姫の鼓動を早めるのには充分だった。


「か、神風さん……。」


(だ、誰かに見られたら、どうしよう!)


夢姫は両手を神風との間に入れて手を突っぱねようと身動ぎをする。

神風はそのまま夢姫の動きを封じるかのようにギュッと強めに抱きしめ、そのまま夢姫の髪に顔を埋めた。


「『ゆめきちゃん、迎えに来たよ』」


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