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戦場立志伝  作者: 居眠り
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トラファルガー会戦

二話です

パーシー少将は夢を見ていた。最高級のワインを片手に皆に武勲を称賛されているという夢を。

だがそれは部下の怒声でかき消されそうになった。

「閣下!閣下!起きて下さい!司令官たる御方が戦闘中に寝ていてどうするのです!?」

パーシー少将の副官であるマクファーデン中佐が彼を揺り起こしていた。

しかしそれでも彼は起きない。飲んでいた酒が体中にまわったからである。マクファーデンは舌打ちし全艦隊への通信パネルのスイッチを押した。こうなったら副司令官に指揮を執ってもらうしかない。

「私はパーシー少将の副官、マクファーデン中佐だ。やむを得ない状況で私が副司令官の到着まで艦隊の指揮を執る。全艦隊、砲戦準備!空戦隊、出撃せよ!!副司令閣下、急ぎ旗艦へお越しください!」

その通信を聞いた副司令官が困惑した声で応答した。

「何があったか知らんがとにかく私の艦をそちらに向かわせる。しばらく待っていてくれ」

これを聞いて中佐は安心した。だが、敵が攻撃してくる事実は変わらない。彼は気をより一層引き締めた。


ユランガルのオペレーターが指揮官に敵が射程距離に入ったことを告げた。

それを聞いたウィリバルトは右手を上げて勢いよく下げ、射撃開始の合図を発声した。

「アプシーセン!!」

ゾラ連合艦隊の攻撃が始まった。

ゾラ連合艦隊のほとんどはミサイルを主砲としている。その理由はかつてガンダー帝国とゾラ連合に分裂する時開発されていたビーム兵器を帝国側の研究者達がそのデータを持ち出し、残ったデータを消し去ったのだ。

本格的に戦争が始まった時には流石に連合側もビームを開発し直していたが全艦隊配備には未だ漕ぎ着けていない。

だが帝国の所有する艦隊数を上回る数を連合は揃えているので戦線は未だに拮抗しているが。

しかしミサイルにはビームにはない特性がある。誘導性能である。ビームは基本的には直線にしか進めない。だがミサイルは敵味方の区別もつき、可能な範囲ではあるが曲がる事ができる。その為このように空戦隊と敵艦隊が入り乱れる戦闘をしても誤射せずに援護射撃ができるのだ。


戦闘開始から僅か二十分でアルベルトとアンハルトは三機ずつ撃墜している。

パトリオットは帝国の戦闘機"エリザベス"や連合の"エアハルト"と違い、両翼からビームサーベルが出てきて近距離からでも攻撃が可能なのだ。

そのため敵の戦闘機をすれ違い様にズバズバ切り刻む事ができるのである。そのサーベルを使ってアルベルトはまた一機を火球に変えた。

「アンハルト!まだ三機か?俺はもう四機目だぞ!」

「私もそろそろ四機目さ。…ほらっ四機目!」

そんな軽口を言い合っている二人の前に帝国軍の戦艦が現れた。

「アンハルト!落とすよな!?」

「もちろん!」

二機は一気にスピードを上げる。それを見た戦艦の指揮官は慌てて指示を飛ばす。

「敵の戦闘機が来るぞ!対空戦闘用意!!」

戦艦の対空砲がパトリオットを狙って乱射する。それを避けつつアンハルトはミサイルの発射スイッチを押した。発射された四発のミサイルは対空砲火の中を突き進み戦艦の艦首部分に全弾命中した。

「艦首に敵ミサイル全弾命中!!」

うろたえた声でオペレーターが被害状況を指揮官に報告する。報告を受けた上官を落ち着きを取り戻せない時に新たな報告が来る。

「敵機、急接近!!」

その敵機こそアルベルトの乗ったパトリオットであった。

「食らえ!!!」

その一言と共にサーベルが展開され音も無く戦艦の艦橋を二つに割いた。


「戦艦…アレクシス…が……撃沈され……ました………」

通信士官の悲壮な声がマクファーデン中佐のもとにつたえられた。戦艦アレクシスとはアルベルトとアンハルトが撃沈した船のことだ。その船には例の副司令官が座乗していた。報告を聞いて中佐の顔は青くなっていく。この時点でゾラ連合艦隊は生存艦艇においても戦術的にも圧勝していた。


感想待っちょります

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