第6話 空島の指輪とやるべきこと
鳥の鳴き声で僕は目が覚めた。
ベッドから出て自分でつけた日数の紙を見つめた。
「今日でココに来て13日か....」
来た時より僕は落ち着いていた。
いつものようにドリスと食事を取り僕らは暖炉でこれからのことを話し始める。
「村の案内で2日間お疲れ様じゃのう。さてこれからのお主のやるべきことじゃ。まずは力を付けねばならん。」
「力ですか?」
「そうじゃ元の世界に戻る為に果てしない冒険をすることになるじゃろう。そうなると色んな魔物や魔神などと遭遇するかもしれん。身を守る為にも力は付けとく方が良いじゃろう。」
「どこに行けば元の世界に戻れるんですか?」
「それはワシも分からないんじゃよ。戻れる方法が分かればいいがのう。」
「そうなんですね。」
「それと力を付けたらギルド協会で登録手続きをしておくのじゃ。旅をするにもお金がかかるからのう。」
「分かりました。ところで移動はどうしたら良いですか?この村を見るからにかなり広大だと思うんですけど....」
「ふむ。そうじゃのう。この村で生活してる者は基本的にココから出たりしないからのう。」
「そうなんですね。」
「すまんのう。旅支度に関してはパウロの店で準備すれば大丈夫じゃよ。後は魔法の習得じゃな。」
「魔法はどうすれば良いですか?」
「ふむ、魔法に関してはワシが教えるか、それとも学校で習うかじゃな。」
「学校?」
「そうじゃ小さい学校じゃがそこの先生はかなりの実力者での。バロンという先生が教えておる。」
「魔法が使えるかどうか分からないですよ。」
「そうじゃな。そしたらお主にどちらの教えの方が良いのか少し見てみるとしよう。」
ドリスはそう言って杖を振って指輪を出した。
指輪は銀色で小さく水色のダイヤらしき物が着いている。
「コレを指にはめて外に出てみなさい。」
僕はドリスに言われた通り指輪を右手の指にはめて外に出てみた。
ドリスは家からスタスタと歩いていき僕も後をついていった。
ある時ドリスの足がピタリと止まった。
「ふむ。ここなら大丈夫じゃのう。」
ドリスは何もない場所を指差した。
「ココ?」
僕の頭はチンプンカンプンだった。
「そうじゃ魔法とはいっても使い方を間違えれば危険なのじゃ。それを肝に命じておきなさい。」
「分かりました。」
「それじゃぁ始めるぞい。ワシの後に実際に呪文を唱えて魔法を出しなさい。」
「はい。」
ドリスはそう言った後、いつもの優しい表情とは違った真剣な表情をしていた。
ドリスは気を集中して杖を振りそれまでサンサンに晴れていた風景に雲が現れる。
雲は黒く電流が至るところに走っている。
「サンダーボルトライトニング!!」
ドリスがそう唱えた後に雲から地面にドォーンと雷が落ちる。
「すごい迫力!!」
僕は驚きのあまり息を飲む。
「次はお主がやってみる番じゃ。」
「はい。」
僕はドリスがやってときと同じく気を集中した。
しかし雲は現れなかった。
「ふむ、どうやら魔法は使えないらしいのう。過去にここに迷い込んだ者もそうじゃったのう。」
「すみません。」
僕は申し訳ない表情をしている。
「あまり気にするでない。」
ドリスはそう言って杖を振り僕の指輪に魔法を掛けた。
すると指輪が突如光だした。
「わっ!!」
僕は驚いた。
「今のは?」
「お主の指輪に魔法を掛けたのじゃ。この空島にいる限り魔法を使える魔法じゃ。」
「空島にいる限り使える?」
「そうじゃ。効果が切れることもないからこれから指輪をはめている限りお主は魔法を使える状態になる。」
「わぁ〜!!」
僕はちょっと嬉しくなる。
「これでさっきと同じ様にやってみなさい。」
「はい。」
僕は再び気を集中し始める。
すると雲が表れるがすぐに消えてしまった。
「あれっ?」
「ふむ、やはり学校で学ぶ方が良さそうじゃな。家に戻るとしようかのう。」
ドリスはそう言ってスタスタと家に向かって歩き始める。
「わかりました。あの学校は入るのにいくら掛かるんですか?」
「いくら?」
「人間界では学校に入るのに学費っていうお金がかかるんです。」
「そうなんじゃな。お金は掛かることはないから安心しなさい。」
僕はそれを聞きホッとする。
「ほれ家に着いたぞい。話の続きは暖炉のところで話すとしよう」
「わかりました。」
僕とドリスは暖炉のところでイスに腰掛ける。
「さて話の続きじゃな。学校に入るんじゃったら場所も案内しないといけないのう。」
「学校はどんな感じなんですか?」
「学校は魔法の基本や応用などを一通り教えておる。」
「そういえば学校の名前はなんていうんですか?」
「ウォールじゃよ。」
「魔法学校ウォール...」
「そうじゃよ。魔法学校は他の子もおってのう。大体5、6人くらいじゃのう。」
「そうなんですね。すぐに入れるんですか?」
「すぐには難しいかもしれんのう。今教えている子が終わらないと入れないからのう。じゃが登録手続きだけはしておくほうが良いかもしれんのう。」
「登録手続きした後はいつ入れるのかどうやって知るんですか?」
「それは俊足の鳥が手紙を運んでくるんじゃ。」
ドリスが話していると窓をコンコンと叩く音が聞こえる。
ドリスはその音を聞き窓に向かって歩き出した。
「お〜ちょうどいいタイミングじゃのう。見てみなさい。」
ドリスは僕に手招きした。
僕はドリスがいる窓に向かって歩き出す。
僕は窓の鳥を見つめていた。
見た目はツバメのようだ。
「普通の鳥に見えるけど....」
「まぁ見てみなさい。」
ドリスはそう言って窓を開けて鳥の口から手紙を取り出す。
鳥から手紙を取り出した後、ヒューンと目にも止まらぬ速さで飛んでいった。
「はっ?」
僕の目は点になっていた。
「フォッフォッフォッこれがこの世界でのお知らせの方法じゃ。」
「あの鳥の名前はなんて言うんですか?」
「キーウじゃよ。あちこちで手紙などを運んでおる。」
「凄いですね。」
「さて話が逸れてしまったのう。」
ドリスはそう言って再び暖炉の前へ戻り、イスに腰掛けた。
僕も同じように自分の席へ座り直す。
「話の続きじゃ。まずお主がしなければならないことをまとめよう。」
ドリスは杖を振って羽のペンと紙を出し何かを書き始める。
「ほれ。出来たぞい。」
ドリスは何かを書いた紙を僕に差し出した。
僕は紙に書かれていることを読み始める。
「これからのやるべきこと?」
紙にはこれからしなければならないことが書かれていた。
1、魔法学校に通うために登録手続きをすること
2、学校を卒業し魔法習得すること
3、ギルド登録手続きをして旅支度の準備をすること
4、ファーストタウンを出発し元の世界へ戻るための手がかりを探すこと
紙にはそう記されている。
「ファーストタウンってなんですか?」
「この村の名前じゃよ。お主には言い忘れておったのう。」
「ここを出発する時はドリスさんは着いてきてくれるのですか?」
「わしは導く役目はあるがここから離れられないのじゃ。村の様子も見ないといけないからのう。」
「えっ?」
僕はその言葉を聞き不安になる。
「大丈夫じゃよ。出発するときにお主にコレを渡そう。」
ドリスはそう言ってローブから十字架のペンダントを取り出す。
「コレに魔法を掛けておってのう。ワシもそこから見ることは出来るしいざという時は分身が出るからお主は1人ではないぞ。」
僕はその言葉を聞き安心する。
「さて長いこと話してしまったのう。もう夜じゃから明日魔法学校の登録手続きをしにいくとしよう」
ドリスはそう言ってイスから立ち上がってどこかへ歩いていく。
そしていつものように料理が運ばれて食事を取って寝室に向かった。
僕はベッドに入って少し考え事をし始める。
「やることは山積みだな。そういえば買った本もまだ開いてないな。時間が出来たら読んでみよう。とりあえず今日は寝るとしよう。」
僕はそう言って眠りについた。




