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選択される世界
「死神を殺せる代わりに」
「大事なものから失っていく」
心臓がはねる
指先の感覚が少し薄い
(...もう、始まってるのか)
死神が立ち上がる
鎌を構える
俺は引き金に指をかける
視界の端で、彼女が微笑む
「ほら」
「やってよ」
「私のために」
...撃つ
乾いた音
死神の体が崩れる
...空気が静かになる
「終わり?」
彼女が首をかしげる
その顔を見て、違和感が走る
(...誰だ?)
心がざわつく
知ってるはずなのに、思い出せない
彼女が近づく
「ねえ、どうしたの?」
優しい声、でもどこか冷たい
喉が乾く
言葉がでない
「もしかして」
彼女は笑う
「もう消えてきてる?」
胸が締め付けられる
何か大事なものが
確実に、消えている
「いいよ」
彼女は俺の手をとる
「そのまま全部消えちゃえば」
微笑む、あの推しの顔で
...でも
もう、それを推しと認識出来ない...
「これで」
「全部私のもの」
その声は穏やかだった
何も変わらない風景
人が歩いてる、笑ってる
誰も気づいてない
街
信号待ちの人々
その中の1人が−−
ふらりと倒れる
誰かが叫ぶ
「ちょっと、大丈夫!?」
また1人
また1人
理由はない、前触れもない
ただ...
選ばれただけ...
「大丈夫。」
「ちゃんといい人は残すから。」




