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終章
生ハム戦記 終章
かくして原木は、全て食べ、使い尽くした。
Sは正直、ここまで大変だとは思ってもいなかった。
楽しく、美味しく食べ終えるだろうと思っていた。
それは始めの内、否、生ハムが取れている内のことで、脂や骨になるとそうでもなかった。
だが、食べ終わって一年もすれば、全て楽しく、美味しかった思い出、記憶に変わってしまうだろう。
よって、ここに記録物語として、原木を買う所から、骨で出汁を取り、飲み尽くし、脂を食べきるまでの全てを書き記した。
原木との戦いは、旨さと喜びがあり、それに続く長期戦を覚悟しなければならない。
戦いを安易に始めては、いけない。
後日、Sはイタリアのプロシュートを買った。
それは原木ではなく、原木から切り出した塊で、骨はなかった。
しかし皮と脂が付いていた。
皮と脂。
戦いは、繰り返された。




