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傭兵である俺がエロゲーの世界に転生した件について  作者: エージェントK
第2章 中学生編
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第22話 生前火葬

半グレとの戦闘を終え今回は後始末回です。


 いつの時代も何かをやらかすよりやらかしたことの後始末の方が大変だったりする。それは殺人という行いに対しても例外ではない。


「か、金なら幾らでもやるから、び、病院に連れてってくれ……ゲホッ!」


「まだ元気じゃないか…傷口を押さえてろ。終わったらすぐに助けてやるからな」


 血の臭いが立ち込めるプレハブ小屋、痛みに呻く金一の声をBGMに俺は死体から武器や金目の物を漁っていた。


 武器はドスが数十本、日本刀(打刀・小太刀含めて)が5本、M-36が4丁、マカロフが3丁、トカレフが2丁、ベレッタSO5(銀二が所持していたショットガン)とスコープ着きのレミントンM-700(金一が所持していたボルトアクションライフル)そしてそれらの弾薬と弾倉(マガジン)を大量に手に入れることが出来た。武器以外にも先のカバンの大金や半グレ共が身に着けていた財布(ブランド品)や腕時計や指輪等の装飾品を手に入れた。盗品等の訳あり商品を扱ってくれる裏の業者ならそれなりの値段で買い取ってくれるだろう。だが一番の収穫はこれだな。俺は机の引き出しから取り出したファイルを開き内容を見て笑みを浮かべそうになる。このファイルは足利から金を借りた債務者の情報が記されたリストだ。このようなリストは闇金業者に高値で売れる。何故なら闇金なんかから金を借りるような奴は借金の返済が出来てもまた闇金から借金をする確率が高いからだ。そのような客の情報が前もって知れるのは競争の激しい闇金業界において他の闇金業者より有利なることを意味する。故にこのような債務者リストは高値で売れるのである。そんな債務者リストファイルをめくっていると村人の名前が幾人か記されていた。おそらく泣く泣く足利に借りた人達だろう。流石に彼らの情報も売り払うのは気が引けたので彼等の情報は破り捨てた。


 武器と金……俺が今必要としている物を大量に収穫出来て大変満足なのだが一つ問題がある。それは……。


「重い……」


 そう、収穫物が多過ぎて1人では持ち運べなかったのだ。無理をすれば運べなくもないが家に帰るまでに時間が掛かる。只でさえ薫達を待たせているのだ、出来れば早く帰りたい。そこで俺は奴等の車をパクって帰ることを思い付いた。しかし……。


「空気ないじゃん……」


 奴等の車のタイヤは俺が空気を抜いたので走行出来る状態ではなかったのだ。奴等を逃さない為にタイヤの空気を抜いたが、頭に血が上った奴等が逃げるどころか反抗してくる奴ばかりだった。結局の所、タイヤの空気を抜いた意味はなかった。完全な蛇足である。


「orz……」


 自分の無駄な努力に俺は崩れ落ちてしまったが、落ち込んでいても仕方が無い。幸い車両は1台に付き一つのタイヤしか空気を抜いていなかったので(1輪だけ空気を抜いただけで車は走行困難になるので面倒くさかったこともあり1輪しか空気を抜いてない)共食い整備で別の車両のタイヤを着けることにした。十分間の格闘の末なんとかタイヤ交換を完了した(前世ぶりのタイヤ交換に焦るアホ)。車のトランクに工具箱が無かったらタイヤの交換すら出来ずに終わってたわ。ちなみにタイヤ交換した車は足利 金一のゴツいクラウン。





 クラウンに戦利品を詰め込み後は車を走らせるだけだが……あと一つやることがある。




 

 このプレハブ小屋には自家発電機があり、それによってこのプレハブ小屋の電力が賄われている。発電機の燃料はガソリンだ。俺は発電機の近くからそのガソリンの入ったポリタンクを手に入れると再度小屋に戻る。


「た……頼む……た、助けてくr……ゴホッゴホッ!」


「なんだ、まだ生きていたのか」


 ポリタンク片手に執務室に入ると先程より顔色の悪い金一が相も変わらず俺に助けを求めていた。てっきり出血多量でもう死んでると思ったが意外としぶといな。


 ブゥーーン、ブゥーーン


 おや?電話だ。携帯をポケットから取り出し相手を確認すると我が家の家電の番号だ……ってヤバ!もう昼近くじゃん!携帯画面の時間表示はすでに昼を示そうとしていた。昼近くなっても帰ってこない俺を心配した理子達が連絡して来たに違いない。ヤバイな……言い訳の言葉を考えながら俺は電話に出る。


「もしもし……」

 

『おっそーい!征男今どこに居るのッ!?』


 電話に出た途端、大音量で薫の声が聞こえ思わず携帯を耳から離してしまう。


「すみませんトレーニングに夢中になってしまいまして……今から帰る準備をするのでもう少し待って貰いませんか?」


 待たせてしまったのは事実なので俺は誠心誠意謝罪する。


「頼む……た、助け……」


「シー」


 俺が通話中だと言うのにわめいている金一、腹が立ったので携帯を耳と肩ではさみ、右手に握ったマカロフを金一に向け左手の人差し指を立て口元に運ぶ所謂『黙れ』のサインだ。全くこちとら恋人との電話だと言うのに空気の読めない奴だな。幸い怒っている薫には気付かれなかった。


『もう!征男が中々帰って来ないから私だけじゃなくて理子も留美心配したんだからね!』


「それは申し訳無いことをしましt……え?留美さんも来てるのですか?」


『えへへ、私と理子だけじゃあ寂しかったら留美呼んじゃった♪』


 明るい調子でそんなことを言う薫、マジか……俺の恋人が3人共揃ってしまったか、こりゃ彼氏として早く帰らなきゃな。


『……ん?ああはいはい、征男、留美が電話替わって欲しいって言うから替わるね』


『もしもし征男君?留美だけど勝手にお邪魔しちゃってごめんね』


 薫から留美に電話相手が替わる。


「いえいえお気になさらず、それよりこちらこそ待たせて申し訳無い」


 マカロフを金一に突き付けながら通話相手の留美に頭を下げる俺……実にシュールだ。


『そう?なら良かった。今3人でお昼ご飯作ってるんだ。征男君の分も作ってるから早く帰って来てね』


 1人1人の料理スキルの高い彼女達3人が作る昼食か、これは早く帰らねばな。


「それは有り難い、解りました帰る支度が終わりましたらすぐに帰りますのでもう少しだけ待っていてください」


『うん、解った。早く帰って来てね征男君。それじゃあ切るね』


「はい、失礼します」


 通話が終わる。さて、昼飯の為、俺を待っててくれる彼女達の為にもさっさと仕事終わらそう。俺はポリタンクの蓋を開け中身を執務室にぶち撒ける。


「ハァ…ハァ、な、なにやってんだよぉ!グホッ」


「見て分からないか?証拠を燃やす準備だよ」


「なら、俺をこの場から出せよ!グホッゲホッ……お前俺を助けるんじゃねぇのか!?」


「はいはい、これが終わったら助けるからな」


 喚く金一を適当に足らいながら俺はガソリンを執務室、中部屋、玄関口とプレハブ小屋全体にばら撒く、稲穂の廃村の時と同じくこの場所も村外れということもあり村人に銃声が聞こえることはまず無いが、今回は派手に暴れ過ぎたので証拠隠滅の為にもこの場所を燃やす必要がある。故に部屋だけでなく死体にもタップリとガソリンを掛ける。死体だと思ってガソリンをぶっかけたら息を吹き返して状況が解らずパニックなっている奴が出てきた。ん?ああ、思い出した!プレハブに乗り込んだ時にガスガンで撃ったは良いけど肩と胸に当たっただけで仕留め損ねてしまった奴だ!乱戦に次ぐ乱戦ですっかり忘れてしまっていた。どうやら撃たれた痛みで奴は気絶していたようだ。


「クソ痛ぇ…痛えぇよぉ!!」


「ならもっかい気絶してろ」


 目を覚ましたら傷口にガソリンが掛かりその激痛でのた打ち回るその男があまりに煩かったので蹴っ飛ばしてもっかい気絶させる。


 プレハブ小屋全体にガソリンをばら撒き終えると俺は再度執務室に戻る。


「や、やっと……来たか……ゴフゥ!……は、早く俺を病院に連れてってくれ」


「………」


 戻って来た俺を見て安堵の表情を見せる金一、そろそろ出血多量で死ぬと思っていたんだが意外にタフだな……。まあ、生きているのならこっちとしても好都合なので別にいっか、俺は安心仕切っている金一に残ったガソリンをぶっかける。


「ぐああっ!な、何をする!?」


「何って、最後の仕上げだよ」


 ガソリンが傷口に染みたのか、苦痛の悲鳴を上げる。それに対して構わずガソリンを掛けながら俺は淡々と答える。


「ちょ!?ちょ、ま、待ってよ!ゴホッ!た、たた助けるって約束したじゃねーのかよ!ガハッ!」


「何言ってやがる。腹撃たれて苦しんでる。お前が楽に死ねるように今、助けてるじゃねぇか……しかも火葬の手配までしてんだ。感謝しろよな」


「な、なな何言って……やがる!俺に散々金……ゴホッ……出させといてゴホッ……焼き殺す気か!?ふざけん……じゃねぇ!さっさと……病院に連れてけ!」


 腹に散弾を喰らったというのにギャーギャーと喚く金一、ここまで生に執着するような奴とは思わなかったのでかなりゲンナリしている。まぁ、それも最後だから良いんだけどさ。


「何寝ぼけたこと抜かしてんだ、この出血の量じゃお前病院に着く前に死ぬぞ」


「なっ!?」


 この出血量では金一は助からない、今まで喚いていられたのが奇跡なくらいだ。


「実際、今、夏だというのに寒く無いか?それは出血による体温の低下だ。保って後10分かな?」


「そ、そんな、やだ死にたくない、死にたくねぇよ!グフッ!ゲボゲボ」


 自分の死を受け入れられない金一は無様に喚く。


「お前も寒さの中で死ぬのは嫌だろう?最期は暖かくして寝かせてやるよ、火葬次いでにな」


 俺はそれだけ言うと踵を返しプレハブの出口に向かう。


「ま、まま待ってくれ!焼き殺すのだけは勘弁してくれ!おい……おい!」


 背後で奴が喚いているが無視をする。弟を殺した相手に命乞い?ケッ!全く、ここまで生に執着した奴は前世以来だ。胸糞が悪い……。


「なあ!おいて行くなよ!待"っ"でぐれ"よ"ぉ"!ゲボゲボ」


 プレハブから出ても金一の惨めな声がする。俺は半グレの死体から奪ったオイルライターに火を点けるとガソリンをぶち撒けたプレハブの中に投げ込んだ。


 オイルライターの火はガソリンに引火し、辺り一面を炎で覆う。プレハブ全体に燃え広がるのも時間の問題だろう。


「ヒィ、火だ!あ、熱い!熱い!こっち来るな!あ、あ、あ"あ"あ"あ"!」


 腹に受けたケガ(+出血多量)のせいで満足に動けない金一は逃げることも出来ず炎に飲まれたようだ。奴の悲鳴が外にいるこっちにまで聞こえる。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああああぁ………」


 奴の悲鳴が聞こえなくなった。生前火葬は終了だ。


「……帰ろ」


 俺は金一の矢鱈ゴツい改造が施されたクラウンに乗り込む。車内はキツイ香水が使われているようで鼻が曲がりそうだ。


「足利も終わりか……」


 金一からパクった。鍵でエンジンを掛け俺はプレハブから離れた。













 金一のクラウン内装は派手で砂利道を走行するにはやたら車高が低く運転するのに骨が折れたがなんとか我が家近くまで向かうことが出来た。


 我が家の近くには隣町に唯一通じる道路、いなほ道がある。俺はそのいなほ道の入り口に車を止めると先程まで着ていた血塗れのジャージ上下を脱ぎ捨てバックパックに前もって入れて置いた。スポーツウェアに着替える。


 先程まで運転していたクラウンには俺の毛髪が落ちている可能性があるのでプレハブ小屋にあった残りのポリタンクのガソリンを車内と俺の血塗れジャージそして半グレ共の免許証を初めとする身分証にぶっかける。


「重っ……」


 今回の戦利品が詰まったバックパックとカバンを持ち上げ。奴等から奪ったマッチに火を点け車内に投げ込む。


 ボオオオオオ


「……」


 炎に包まれるクラウン、それを確認した俺は静かに帰路に着いた。







「フィ〜着いた着いた」


 重たい戦利品を背負った俺は誰にも見られることなく自宅に着いた。流石に理子達がいる自宅に戦利品を持ち込んだら面倒なことになるので俺の工房と呼べる車庫内に隠すことにした。彼女達が帰った後にでも自室に持ち込もう。


「ただいま」


 何食わぬ顔で家に上がる俺。


「「「おかえり(なさい)(なさいませ)征男(様)(君)」」」


 リビングから薫、留美、理子がやって来て俺を出迎える。


「もう!なかなか帰ってこないから心配したんだからね!って、スゴい汗!征男どんだけトレーニングしたの!?」


 薫が驚くのは無理もない。半グレ相手に大立ち回りしたせいか俺は緊張と疲労で大量の汗をかいていた。途中で着替えたとは言っても汗を拭いた訳では無いので俺とスポーツウェアはグッショリと汗で濡れている。


「いやー、久しぶりだったので熱が入ってしまいまして時間を忘れて打ち込んでしまいました」


 3人はトレーニングに熱が入ったと思っているだろう。実際は久しぶりの戦闘で熱が入り時間を忘れたのだ。これは反省しなければならない。


「征男君、体を鍛えることも大切だけど無理はしないでね」


「ご心配おかけしました」


 忠告をする留美に俺は申し訳なさそうに頭を下げる。全く、恋人を待たせるとは俺もまだまだ修行が足りないようだ。


「征男様、お風呂沸かしておきましたので、昼食の前にお風呂で汗を流しては如何ですか?」


「それは有り難い!ですが昼食の時間が遅くなってしまいますが、皆さんよろしいですか?」


 正直理子の申し出は有り難かった。汗でグショグショな状態で昼飯なんて食いたくなかった。しかし俺が風呂に入ればその分昼食が遅くなる。すでに彼女達を待たせているこの身からしたらこれ以上待たせるのは気が引けた。


「ご心配には及びません。私もお二方もまだ昼食の仕上げが終わっていないので仕上げが終わるまでの間は征男様にはゆっくりと疲れを癒やして頂きたいのです」


「クンクン、こ、これが征男のニオイ⁉」


「薫ちゃん何してるの?」


 ん?俺の背後で二人がなんか話しているな……理子と話していたので聞き逃してしまった。まあいいか、それより理子がこれまた嬉しい申し出をしてくれた。そう言えば今日の昼食は3人で作ると言っていたな…3人のことだそれぞれ得意分野の料理作っているから時間が掛かるのかな?まあ俺からしたら有り難い申し出なのでそれを受ける。


「そうですか、解りました。3人には申し訳ないですが、風呂に入らせて頂きます」


「かしこまりました。衣服は後で洗濯しますので洗濯籠にお入れください。着替えはもう準備しておりますのでご心配なく」


「スンスン、これが征男君の汗のニオイ……汗臭いのに幾らでも嗅げちゃう……スンスン」


「でしょ〜クンクン、私も癖になりそう……クンクン」


 また背後で二人がなんかしている。今度は会話の一部が聞こえて来たような気がしたがあまりにも変態チックな内容だったので俺の気のせいだろう。


「何から何までありがとう。昼食楽しみにしているよ……理(・)子(・)」


「ッ!?は、はい!ご期待に添えるよう全力を尽くします!薫さん、留美さん、征男様の匂いを嗅ぐのはそれくらいにしてキッチンに戻りましょう」


 久しぶりに呼び捨てにされたせいか顔を赤く染めた理子はそれを誤魔化す為に俺の背後にいる薫と留美に声を掛けた(可愛い)そしてさっきの背後の会話は気のせいではなかったようだ(白目)。


「ギクッ……い、嫌だな。理子ちゃん、わ、私が他人のニオイを好んで嗅ぐ変態さんみたいじゃない」


 理子の発言を否定する留美、しかしそのキョドりっぷりからして嗅いだのは間違いないだろう。


「えぇ〜もう少し嗅ぎたかったなぁ〜」


 一方、薫は嗅いだことわアッサリ認めた。その潔さは関心するが少しは隠してほしかった。てか君達いつから匂いフェチになったの?原作はおろか今までそんな素振り一切なかった筈なんですけど……俺の体臭で新たな性癖が目覚めたなんてトンデモ展開はごめんなんですが……


「……とりあえず、お風呂に入りますね」


 ハァ、今日は色々あって疲れた。彼女達の性癖のことは後日考えよう……俺はやや現実逃避気味に風呂場に向かった。











「いや〜良い湯じゃなぁ〜」


 体を洗い汗を流した俺は爺臭い口調で湯船に浸かっていた。


「今日は色々と学ぶことが出来たな」


 今日は得る物が多かった反面、反省することも多かった一日だった。まず最初の反省点はケチって装備をあまり持ち込まなかったことだ。弾を無駄遣いしたくなかったが為に拳銃を持たず。間に合わせの飛び道具で対処しようとしたら飛び道具が必要な場面で使えなかったというマヌケなザマを晒すことになった。あの時拳銃を装備していればあんな半グレ如きに銃を突き付けられずに済んだかもしれない。


 次の反省点は俺の警戒力の無さだろう。あの時、拳銃を持った半グレの存在をギリギリまで気付かなかったのは自分でも呆れるばかりだ。俺が幾らあの時拳銃を持っていなくてももっと早くあの半グレの気配に気付けていたら、無様に手を挙げなくても済んだ可能性もあったのだ。奴があの時、俺を生け捕るつもりだったからこそ俺はこうして生きている訳だが生け捕りではなく最初から殺すつもりだったら俺は今頃風呂には入れなかったであろう。


 ブランクのせいか些か詰めが甘くなっているように感じる。今回は相手が半端モンだったから何とかなったものの原作に出てくる本格的な敵であった場合俺はともかく理子達、果てはまだ見ぬ原作ヒロイン達を危険に晒してしまう。それだけは避けたい、今回の戦いは今の俺に不足しているものを示す良い機会と言えるこの経験を心に刻みこれかも精進しよう。


「少し逆上せたな。出るか」


 火照った体を湯船から上げる。オリジナルの体に憑依したばかりの頃と違い俺の体に贅肉と呼べる物は一切ない、変わりに俺の肉体には原作のオリジナルにはまず存在ことがない筋肉が堂々と存在している。贅肉燃やして筋肉に変換するのは大変だった。正直憑依したばかりの頃は泣けたが努力の甲斐もありここまで成長することが出来た。だが、俺の努力に関係なく成長を続ける存在もある。


「原作開始時並みにデカくなったな……」


 俺は股間を見て思わず独り言を呟いてしまう。憑依したての頃は44マグナムサイズだったのに今ではアンチマテリアルライフルにレベルアップしていた。


 このような立派な愚息を持っているがまだ使用はしていない、所謂宝の持ち腐れ状態というやつだ。俺もコイツを彼女達相手に活躍させたいと思うのだが流石に中学生相手にコイツを使うのは気が引けた(そもそもおっさんが中学生に手を出してはならんと前世頃より培われた道徳心が邪魔をする)。せめて彼女達が中学を卒業してから……と思うのだが、今でも理子が小学生の時のように一週間に一度俺の隣に添い寝してくるので俺の理性が……その、危ない。


 あの時と違い理子の体は出る所は出て、引っ込む所は引っ込んだ。大人の女性に成りつつあり理子が俺に抱き着く度に理性が吹っ飛びそうで戦々恐々としている。


「……変なこと考えてないでそろそろ出よ」


 添い寝してくる理子の感触を思い出していると愚息が臨戦態勢になりかねないので風呂の扉を開けた。












「すみません長風呂になってしまいm―――どうされました皆さん?」


 俺が着替えてリビングに入ると皆の様子が可笑しかった。留美は不安そうにテレビを見つめ、薫は真剣な顔で自身の携帯で誰かと通話し、理子は窓から何かを確認するように外を眺めていた。


「あ、征男君、よくわからないんだけど村外れで火事だって……今テレビで放送してるよ」


 留美がテレビを指差す。確かこのチャンネルは東北のローカル放送の筈だ。


『―――現在火災は地元消防団の懸命な消火作業が進められていますが、依然火の勢いは凄まじく出火元のプレハブ小屋は炎に包まれております!』


 画面には上空から撮影したと思われる火災現場の映像が流れレポーターの臨場感溢れる報告がされていた。火災の報道なんてよくあることだが今、報道されているのは俺が先程までいたあのプレハブ小屋だった。そう言えば風呂入ってる時に消防車のサイレンの音が聞こえて来たような気がしたが気のせいではなかったか。


 プレハブ小屋は俺が火を放った時と比べ完全に炎で包まれており素人目に見ても全焼は確実だった。


「テレビ付けたら近所が火事になってるからびっくりしたよ」


「ええ、まさかご近所で火災とは私も驚いています」


 留美に対して白々しいことをほざく放火犯(俺)、あの勢いなら証拠になりそうな物は全て焼き尽くされるだろうな。神妙そうな顔をして内心安堵する俺がいた。


「うん、わかった……じゃあね……お!征男、風呂から出たんだ」


 通話を終えた薫は通話に夢中だったせいか今頃俺の存在に気付いたようだ。


「誰と話していたんですか?」


 電話相手が気になったので薫に聞いてみた。


「私の父さん、火事どうなったかな?って気になったから電話した」


「そう言えば、薫さんのお父様は消防団に所属していましたね」


 薫の発言にさっきまで窓の外をを眺めていた理子が答える。薫の父親は秋穂村の消防団に参加している為、今回のような火災では消火作業に駆り出されることがあるのだ。火災を起こした張本人からしたらとても申し訳ない気持ちだ。てか薫、消化作業中の父親に電話すんなや……。


「ニュースでやってるプレハブの火事はすぐ鎮火出来るから問題ないって」


 まぁ、あの辺プレハブ以外に燃える物は無いし風も強くないから余程のバカしない限り延焼なんてことにはならないだろうな。


「ただ……」


「どうしたの?薫ちゃん?」


「なんか、いなほ道の方でも車が燃えてるんだって……そっちの方も消火してるけど征男の家って近いじゃん?だから一応気を付けろって父さんが言ってた」


 俺が燃やした金一のクラウンだな。あれも全焼だろうな。


「まぁ、近くと言ってもそれなり離れているのし風もないので大丈夫でしょう。それより朝食を抜いたのでお腹が……」


 近場で火事と聞いて不安そうな理子達にフォローをいれる。まぁ腹減ってるのは本当だけどさ……。


「それもそうですね。かしこまりました。お食事の準備は整っておりますのでこちらにどうぞ」


 理子の案内でテーブルに誘導される。テーブルの上には和食、洋食、中華と様々な料理が列んでおり、それらの料理から漂う香りは仕事終わりで空腹な俺の腹を刺激する。


「これは、また豪勢ですね……。何かのお祝いですか?」


「申し訳ございません。皆さんと一緒に作っていたら盛り上がってしまいまして、気がついたら……こんなに……」


 驚く俺に謝罪する理子、どうやら皆と楽しく料理をしていたら作り過ぎてしまったようだ。


「いえいえ、たまにはこういう豪勢な昼食も有りだと思いますよ。それにしてもどれも美味しそうですね」


「フフン、そりゃあ留美や理子そして料理の鉄人であるこの私が作ったからね美味しそうなのは当然なのだよ征男くん!」


 自称料理の鉄人こと薫が無い胸を張ってホームズ口調で自慢する。


「私も腕によりをかけて作ったから食べてくれたら嬉しいな♪」


 料理を見て喜んでいる俺を見て喜ぶ留美、彼女達がそこまで言うんだ食べなきゃ失礼ってもんだ。


「それは楽しみですね……なら早速頂きましょう」


 俺が席に着くと皆も各々の席に着く。


「「「「いただきます!」」」」


 



 こうして俺は先の鉄火場から普段の日常に帰還したのだった。

 

 








次回、中学生編ラストお楽しみに

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