クノイチと一つ屋根の下 2
「クノイチ、だと・・・」
唖然とする俺。
「涼太お兄ちゃん・・クノイチの、格好・・見てみたい?」
三日月は胸元に手を当て少々頬を赤らめている。
半信半疑になりながらも、取り敢えず思ったことを言っておくことにする。
「そうだな、まあ、最後に見ときたいかな。」
「最後にって・・お兄ちゃん、わたしはずっと一緒にいるよ?」
「だって、お前は本当の家族じゃないだろ。別次元の世界とかやらに帰るんじゃないのか。」
「帰らないよ。涼太お兄ちゃんが幸せになるまで。」
そっと、俺の両親と妹のお墓に手を揃えて祈っている。三日月と俺の家族の間に何か関係があったのだろうか…。
風がいきなり強くなり、木葉が空を舞う。
墓の前に居たはずの三日月がいない・・・
と、思ったら手指に暖かい感触がある。
「ここだよ、お兄ちゃん。」
俺の手を握って、クノイチ姿の三日月が立っていた。
全身が黒一色で統一されていて、体のラインがわかるくらいの薄い生地。首から胸元にかけては通気性の為か網タイツみたいになっていて、三日月の大きな胸の谷間が強調されているかのようだ。
下は短めのスカートになっている。長いポニーテールはお団子になって一つにまとまっている。
ただ、俺はその格好に見とれていた。エロ可愛いじゃないかよ。三日月・・・
「驚いた? クノイチの装束は気配を消しやすいの。でも、こうすれば・・」
俺の右手を掴んだまま、三日月の胸の中心に当てる。俺の指先は三日月のネックレスに付いている勾玉に触れている。
前屈みになり、俺の右手を大事に抱き締めているかのようにしながら何かを唱えている。ムギュッと胸の谷間に押さえられる感覚・・右手はまさに、三日月の両胸によって挟まれている。
暖かい温もりと柔らかい感触で心臓がドキドキする。
三日月は顔を上げ、
「どう、かな? これで私がクノイチの姿しててもしっかり見えると思うけど。」
「確かに、さっきよりよく見える。」
まじまじと見られているのに恥ずかしいのか、顔を赤くして目を反らす。
「暫くは、一緒に住んでてもいい?」
隠してたのは色々理由があるのだろう。それに、8年間も一つ屋根の下で共に生活してきたのだから、三日月にそれなりの愛情がある。
「当たり前だ。三日月・・・」
三日月はこれからも俺と一緒に居れることを無邪気に喜んだ。
それから数日間は、いつも通りの生活を兄妹として送っていた。
特に俺は三日月の事情に深入りしないつもりでいた。実の妹ではない事実が、少しだけ三日月を女の子として特別な目で見ることになろうとは気にしないでいようとしてた。




