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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第一章~最初の一年前半戦~
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24.夏祭り

「よし、祭りに行くぞ。」

「……え?」


 今村は放課後になってもいつものように呪具を作っていたが急に祓にそう言った。当然祓は戸惑い、今村が説明を加える。


「マジックアーケードで夏祭りだって。……行かないのか?」

「……どうしたらいいですかね……?」


 理事長の言葉によって祓は今村と仲良くされるのを禁じられたので行きたいと素直に言うことができない祓は今村に判断を委ねる。今村はてっきり行くと思っていたので逆に聞かれて困った。


「……好きにしたらいいと思うんだがなぁ……そうだな……じゃあ行こうか。」

「はい。」

「んじゃ間違ってたらよろしく。『シルベル君』」


 今村の目の前に白い矢印が浮かぶと今村はニヤニヤしながら続けて言う。


「目的地マジックアーケード」


 そう言うと白い矢印は赤く変わり、一定方向を向き始めた。


「じゃ、行こうか。」


 二人は矢印に付いて行った。












「……何故にて魔法界でも祭りに参加するのはカップルばっかりなのか……」


 着くなり今村はそう呟いた。周りから見れば自分もカップルに見えることに気付いていない今村は周りの浴衣率の高さを見て祓に「ウェアーアップフレーム」を渡して言う。


「祓も浴衣着てみたら?」

「はい。」


 祓がウェアーアップフレームを通ると祓は黒の生地がベースの少し桜色の蝶が入った着物を身に纏う。今村はそれを見て感心したように溜息をつく。


「は~似合ってんなぁ。」

「っ……あ、ありがとうございます。」


(……は……初めて褒められた……)


 祓はその透き通るような白い肌をほんのり朱に染めて喜ぶ。今村はそれを見てじろじろ見られて恥ずかしがっている。悪いことをしたなと思った。そんな二人が何となく黙って歩いていると祓の方があることを思い出した。


(そういえば……浴衣とか着物って胸がない人が似合うって……それで、先生は前に水着を着たときには褒めてくれなかった……つまり……先生の好きな胸のサイズに私は足りてないってこと……?)


 全く違う。今村は和服が好きなだけで、胸の大きさなど見ていない。むしろ見たら目が泳ぐ。だが祓は天才なのに少し残念な思考回路でそう考えた。


(なら……頑張らないと……あ、でも仲良くしたら…………いや、仲良くなろうとしてるわけじゃない。スタイルを気にし始めただけ。先生は意識してない……)


 そんな言い訳を考えつつ身内のスタイルを思い出して頑張らなければこのままだと危機感を抱き始めた祓。そんな彼女を連れている今村は知りあいを見つけて突然声を上げた。


「お! ぜんぜんまんの勝君じゃん! よかったね! 生きてたんだ!」


 今村の声で正気に返る祓。正面を見るとそこには両手に美女を抱えたガニアンがいた。それを見て今村は歪んだ笑みを浮かべる。


「弱~い幻覚だなぁ……クスクス……剥がしてぇ……」


 その言葉で美女たちの顔が一瞬だけ歪む。祓は何となくガニアンの女たちに対抗するように今村の横に立った。だが、何故かガニアンが一人逃げ出した。


「……酷ぇなぁ。」


 今村はそう呟いて拍子抜けした感じになるが、ガニアンはすぐに誰かを連れて戻って来て下卑た笑いを浮かべる。


「はっはぁ~……テメェ……ここで会ったが百年目だっ!」

「ん? 会ったの六月だったよな?」

「はい。今で2ヶ月目ですね。」


 冷静に返す今村と祓。しかし興奮した様子のガニアンにはそんな突っ込みは聞こえていない。


「九行先生! お願いします!」

「他人任せかい……」


 呆れるように今村はそう言い、九行と呼ばれた男を見る。


(……爺だな。いかにも術師タイプの……剣は扱えなさそうだが……まぁ一応警戒しとくか。)


「場所を変えるぞ若いの……」


(……少なくともこいつに若いの呼ばわりされる精神年齢はとっくの昔に過ぎたんだがなぁ……)


 前世のことを考えながらそんなことを思う今村。けれども祭りに影響を与えるのは本意じゃなかったので九行に付いて行き、祭りから離れた。




 ここまでありがとうございました!


 天才と何かは紙一重…

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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