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悪魔の隣りでお昼寝させて~幼い私があなたをお慕いしていることは誰にも内緒です~  作者: 吉沢月見


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18.おはよう

 子どもだから、それをいいことに私はわからないことは何でも聞くことにしている。聞かぬは一生の恥と言うらしいから。


「恋は素敵って言う人とそうじゃないと憂う人がいるのはなぜなの?」


 ライゾン様に尋ねても、

「難しいことを聞くようになったな」

 とほくそ笑むだけ。


「笑い事じゃないわ。知らないと次の仕事に支障が出るかもしれない」

 と食い下がってみたものの、

「その類は勉強ではわかりかねますから」

 とライゾン様の身支度をするスティーブさんに窘められる。


「そもそも男が着替えている部屋に入るなんてどういう了見なんだ?」


 ライゾン様はたまに意地悪。


「そうですよ、キリーナ様。淑女のすることではございません」


 ライゾン様だっていい歳してスティーブさんにいつまで身支度されるされるつもりなのかしら。


「ちぇ。こんなときだけ女扱いして」


 しぶしぶ私はライゾン様の部屋を出た。ライゾン様が寝間着からぴしっと凛々しくなる姿を見ているのが好きなのよね。



「じゃあ、行ってくる」


 ライゾン様、今日は会社へご出勤。


「いってらっしゃいませ」


 スティーブさんとシャーロットさんは毎朝見送る。私も最近は毎日。


「キリーナ、しっかりと勉強するんだぞ」


 と馬車で出かけてゆく。行ってくるという言葉は帰って来るという約束をしているようで好きなの。手を振ると振り返してくれるところも。


 家庭教師が来たので私は言いつけ通りお勉強に勤しむ。そのあとはお花を愛でて刺繍をした。本当に令嬢みたいな生活。退屈だけれど、飢えることはない。時間になれば紅茶が運ばれてくる生活だ。


 あの頃とは違う。でも私はまだ、心のどこかで怯えている。毎朝目覚めたとき、今までが夢だったと言われたら納得する。でも、

「おはようございます」

 とシャーロットさんが起こしに来てくれて、その日の服も用意してくれるの。髪を結び、私を令嬢もどきにする。   ライゾン様はいたりいなかったり。いれば必ず、

「おはよう」

 と言ってくれる。

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