表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/2

第一話 目覚め

第一話 目覚め


暖かな春の日差しに包まれた部屋で、リュカは机に伏して眠っていた。


―満点の星空を眺めている夢を見た。


視線の先の星空に、宝石のように輝く流れ星が流れていく。


なぜか足が水に浸かっていたー。



 意識が夢からゆっくりと浮上してくる。

 リュカはそれに合わせて目を開け、ゆっくりと体を起こした。勉強中に眠ってしまっていたのだろう。机の上には、参考書やノートが広げられている。

 寝ぼけた思考でぼんやりと机を見ていたリュカの顔を、開けていた窓から入ってきた風が(かす)めていった。リュカは立ち上がり、窓辺に近づき、外を眺めた。

 さっき見た夢を思い出し、リュカはぼそりと、呟いた。

 「…予知夢(よちむ)…じゃないといいんだけど。」

 予知夢。未来で起きる出来事を見る夢のこと。

 物心ついた時には予知夢を見るようになっていたが、見始めた頃は予知夢とは分からなかった。

 だが、ある日、両親に夢で見た話をすると顔色を変えた。そして、母から決して夢で見た内容を話してはならないと言われた。それからは誰にもー両親にも予知夢の事は話さないようにした。

 リュカはため息をついた。

 そんなリュカの視界の端で、風に吹かれて揺れている植物が目に入った。

 「(つぼみ)を付けるのは、もう少し先かな。」

 そう言って、その植物の小さな葉を指先で優しく撫でた。

 ーリュウキンカ。雪がほんの少し残っている春の日、花屋を(いとな)む祖父母から送られてきた、春から初夏にかけて花を咲かせる植物の一種だ。水辺や湿原(しつげん)に生息するリュウキンカをうまく育てられるか不安ではあったが、祖父母からのアドバイスや学校の図書館にあった植物に関する参考書を読み、世話をしていったところ順調に成長してくれている。

 「もう少し勉強しよう。」

 大きく深呼吸して、リュカは椅子に座り、参考書に目を向けた。机に置かれている参考書には、治癒士(ちゆし)に関する内容が書かれている。

 リュカの両親は治癒士を生業(なりわい)にしており、そんな両親の姿を幼い頃から見てきたリュカは、その姿に憧れ、自身も治癒士を目指すようになった。

 「明日、図書館に行こうかな…。」

 ペンを持ち、明日の予定を立てながら、リュカは勉強を始めた。

 春風がリュカの横を掠めていく。そのおかげなのか、予知夢を見た時の暗い感情もなくなり、ペンが進む。

 その姿を窓辺で自身の名の由来となった植物が、日の光を浴びながら、風に揺られ、静かに見守っていた。

『夕の章~夢から覚めた世界で~』第一話を読んでくださり、ありがとうございます!


同時連載をしている『花の章』で、『新作を出します』と言って、数年が経ってしまいました…。すみません…。

『夕の章』を投稿し始めた経緯等に関しましては、追々お話できればと思います。


今後とも、『花の章』と一緒に『夕の章~夢から覚めた世界で~』もよろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ