別にいいのと、良くないこと、の話
自分は、書き手でもあるし、読み手でもある。
読み手としての自分は、書き手としての自分とは切り離されていたりする。
なので、自分の中のルールと比較はしない。
読む時には、読み手として没頭したいから、書く時のことは考えてないのだよ。
そこで、読み手として、気になることがある。
以前、自分の書き手としての「誤字」に対しての考えを書いたことがあった。
それとは違って、読む側の立場としての「ここ、気になる」っていう気持ちだ(笑)
ものすごく気になる「間違い」「間違え」問題はさておき。
気になるのは、漢字が、まんま意味になっている言葉の「誤用」だ。
おそらく雰囲気≒ニュアンスで使っているのだろうと思われる。
実は、こういうのは、さほど気にしないほうだ。
読む時には「たぶん、こういう意味で使ってんだろうな」くらいのもので。
頭の中で変換して読むことのほうが多い。
だが、例外もある。
それが「漢字が、まんま意味になっている」場合だ。
ここからは、たとえ話であり、実際に書いている人がいたわけではない。
それを前提として。
彼は自分を褒め称える姿に、彼らを見返せたと感じ、とても不満足だった。
これ、かなり「ん?」となりません?
なんで不満足なの? ていうか「不満」ではなく、なぜに「不満足」?
その後の文脈の中で、この2つのハテナが解消されることを期待するのだが。
たいていは、ない。
ほとんどの場合は「満足」と「不満足」を取り違えている誤用。
※いや、ここまでの人はいませんよ? あくまでも、たとえということで。
仮に、これが書き手の「意図」であったとしよう。
その場合、まず見返せたと感じているのに「不満足」である理由がほしい。
そして「不満」という塊の感情ではなくて、あえて「不満足」とした理由。
あえて「なにか満足していないことがある」といったニュアンスに感じられる。
満足という部分を「不」で否定して強調しているっていうのかな。
なので、そこも「あえてそうした」ことを納得させてほしくなる。
まぁ、いずれも引っ掛かりを覚えるってことだな。
けして、多くはないが、時々、こういうことってあるのさ。
テレビのクイズ番組とかで、繰り返し「間違え易い言葉」として出題される系。
その中でも、全然、難しくないもの。
いや、言葉通りですよ、みたいな。
典型的なのを、ひとつ。
【役不足】
いや、これさ、そのままじゃん?
役が不足してますよ、って意味しかなくない?
役が不足してるって、自分で言う場面て「自信満々」しかなくない?
「この俺様なら、そんな簡単な役目、軽々とできてしまうわい、わははは」
ですよ?
だって「役」が「不足」してるんですもん。
他者が言うんならいいよ。相手を高く評価しているってだけのことだからね。
そして、自分で言うにしても、文脈が通ってるなら、それもアリだ。
けどね。
謙遜で使う言葉ではない。
ここだけは注意してくれ、頼む。
ん? おやおや? あれあれ?となって、少しテンション下がる。
なんていうか……申し訳ないが。
本当にテレビのクイズ番組でも、散々やってきている初級問題クラスなので。
未だに、これやっちまうのか……と、がっくりきちゃうんだよな。
いや、意味を取り違え易いものって、いろいろあってさ。
これは間違えてもしょうがねーだろってのも多々ある。
正直、もう間違えてたっていいよってものだってある。
典型なのはこれ。
【おっとり刀で出かける】
おっとりって言われたらさあ、のんびりしてるイメージしかないんですけど?
平仮名表記に改めたのが悪いんデショ。
元は「押っ取り刀」だもん。
漢字にすると、ほら、イメージちょっと違うじゃん。
平仮名には、そもそもゆったりした雰囲気がある。
そこに「おっとり」ですよ。
そりゃ、のんびり悠々と出かけて行った、って雰囲気にもなるわ!
「腰に刀をさす間もなく手に取って出かけた」ってイメージ描くほうが困難だろ。
漢字で「取り」が出てくれば、まだしも「手に取った風」な印象はある。
けど「押っ」てなに?みたいな感じするよね。
これは当て字というか「オッ!!」と同義。
まぁ「おったまげる」の「おっ」と同じで、強調的意味合い。
つまり「慌てて・急いで・勢いよく」取る、これが「押っ取り」なのだよ。
わからんわ。
これもう「彼は鼻歌まじりに、おっとり刀で出かけて行った」でもOKだろ。
自分なんかは、これを誤用とするのは厳し過ぎると思っている。
なので、読む時には、なんら引っ掛かりを感じない。
こういうもののほうが、現代日本語では多いとも思っている。
失笑≒苦笑い いいじゃない、別に。
檄を飛ばす≒気合いを入れる なんとなく、そんな感じするじゃない。
確信犯≒悪いと知っててやってる これも、そんな雰囲気あるじゃない。
こういうのって、かなりある。
漢字からも類推しにくくて、字面と意味とが結びつきにくいんだよな。
だから、ニュアンス読みするが、たいていは誤用だとされるほうだったり。
「笑いを失う」って見た目から「結果として笑った」には結びつきにくいだろ。
笑いを失っているのに?みたいな感じになるじゃんよ。
「檄を飛ばす」の「檄」ってそもそもなに?「激励」みたいな感じ?てなる。
漢字も似てるし、音からすると「激情」的なほうに引っ張られてもしかたない。
「確信犯」て、そもそもの意味ほど重くなくても、かなり近い部類だよ。
悪いことをしている意識はある、って雰囲気は漂ってるわけだから。
こういうのも多いので、誤用のハードルは低くていいと思っている。
誤字とは違うし、文法的な問題でもないし。
誤用というのは、言葉の「意味」の用い方が違う、ということなので。
それでも、こんな自分でも引っ掛かるものがあるわけだ。
最初にも書いたが「漢字が、まんま意味になっている」もの。
これは、もう逃げ場がない。
だって、見た目通りなんだもん。
いいかね。
「役」が「不足」しているのだよ。
それが「役不足」
まんまじゃん!!
謙遜するなら「自分には能力がない」すなわち「能力不足」
よって「力不足」
まんまじゃん!!
謙遜する場面で「俺様」が出て来てはいけない。
内心では、どう思っていようと!
そういうものも、数は少ないが、多少はあるので注意が必要だと思う。
無意識レベルで間違えてはいけない。
漢字が見た目で訴えているからね。
「えっと、見た目まんまな意味なんですけど……」と申し訳なさげな顔してる。
と、まぁ、許容範囲にも限界はあるって話。
※ もちろんキャラクターが「謙遜しているつもりで誤用している」のはOK。
周囲から「あいつ、あれで謙遜してるつもりかよ」と思われてるとかならば。
これが文脈で分かれば、別にいいのだよ。
そうではなく、無意識レベルではいかんよ、ってこと。




