面倒臭い嗜み
「アイネスちゃん。バース家のお嫁さんお仕事よ。富裕層の嗜み、もとい悪趣味の会に行きましょう。」
ぴらぴらと面倒臭そうにイディスは一枚の招待状をアイネスの前でヒラヒラさせている。
「悪趣味の会?」
「そう、皆嗜みって言うけれど私から見ると悪趣味の会だわ。面倒臭い。」
ぷくっと頬を膨らませる彼女は何処かレオにも似ている。
「?」
義理母である彼女の意図する意味がわからずアイネスは首を傾げる。
「何時もなら断るんだけど、今回はケイドの事業と関わってるからむげに出来ないし。というか、むげにしたいのにこう言うときに国の権力持ってくるし。本当陰険なヤツ。あんなヤツ大っ嫌い。」
イディスはアイネスの存在を忘れたかのように1人でぷりぷり怒り出した。
「義理母様?」
「あ、ごめんねアイネスちゃん。この招待状隣の国の王様からなのよ。本当面倒臭い男でケイドが居るのに私に求婚までしてきちゃうバカなのよ。大っ嫌い。いつもなら断るんだけど、今回は厄介なことにケイドが前々から楽しみにしていた事業の一環に関与してて……。アイネスちゃんここは腕の見せ所よ。初仕事デビュー戦よ。でもこの悪趣味の会。適当に切り上げて来てもいいから。ね?」
仕事?
今までは学生だったため、まだ卒業したばかりのアイネスはバース家の仕事に関わったことはない。
「わかりました。シュンに聞いて…」
「あ、シュンには内緒で。」
「え?」
「あの子には内緒で。この招待状1人だけなのよ行けるの。ね?アイツ陰険でしょ?ケイドの存在ガン無視しようとしてるのよ。まあいいわ。妻で有る者としか書いてないし、妻で有れば誰が来なきゃ行けないとは書いてないもの。エレンちゃんは産後だからちょっと言えなかったし、ナナちゃんはまだ未婚だしね。明後日の夜開催だから明日の朝出れば間に合うわね!そうだ!キョウナちゃんの所に行ったことにすればいいわ!あ!そうねドレスも取り急ぎ買わなきゃ!うんうん。明明後日には帰ってくればいいわ。よし!シュンは私に任せて!いい?シュンには内緒よ?」
「え?あ?あの……。」
笑顔でものすごくまくし立てられアイネスは何も言い返す事が出来ず強制的にイディスに部屋を出された。
……シュンに秘密かぁ。
でもシュンのお嫁さんとしての初仕事デビューかとも思うと少しワクワクしてしまう。
だけど、秘密に出来るかなぁと密かにアイネスは思いながら部屋へ戻るも、その日はシュンの仕事が立て込んでいてシュンは真夜中にしか戻ってこず、朝もアイネスよりも早く起きて仕事に出てしまっていたため結局秘密は保たれた。
そしてシュンが仕事で居ない間にイディスはアイネスの身支度を整え、ご丁寧に専属メイドまでつけてくれ隣国にむけて送り出してくれた。
バース家の特殊な乗り物のお陰で隣国にはその日の夜につくことが出来た。そして、その日の夜は義理母が手配してくれていたので有ろう。キョウナの屋敷に泊めさせて貰うことになった。
「アイネス!久しぶり!」
「キョウナ!」
2人は結婚式以来に会うためその日の夜は久しぶりに話に花を咲かせた。
「でも驚いたわ!まさかキョウナがお母様になるなんて!」
アイネスはキョウナのふっくらとしたお腹に手を当てた。
「そうなの!私もびっくりしたわ。クレンなんてわかったときは泣いてたし。だから今のクレン主催の料理教室なんてもっぱら妊婦さんに優しい料理内容ばっかりよ。まぁ、それも民間には受けてお陰で事業も軌道に乗ってクレンもこの屋敷の次期当主らしくなってきたのよ。」
「うふふ。じゃあ王子から王様になる日も近いのね。」
「そうね。所で、アイネス?貴方の王子様はよく明日のこんなパーティーに参加を許してくれたわね?」
キョウナはアイネスから受け取ったパーティーの招待状をぴらぴらとさせる。
「うーん。シュンには内緒なのよ。義理母様が全部支度してくれて……。バース家のお嫁さん仕事だって。」
「………。あの方ならやりかねないわね。だけど、これ私も妊娠してなかったらアイネスとちょっとだけ行ってみたかったかも。」
イタズラっぽくキョウナは笑う。
《仮面舞踏会》
招待状に書かれた文字をキョウナは呟きニヤリと笑う。
「これは確かに言えませんわね。イディス様。」
「ん?何?」
「ううん。独り言。それよりアイネス。明日は楽しんできてね。だけど、危ないと思ったら直ぐ帰ってくるのよ!家の車は会場に置いておくし、あと甘いジュースは飲んじゃダメよ。それと、行ったことは貴方の旦那様には内緒にしておいた方が良いわよ。」
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アイネス初仕事デビュー。
仮面舞踏会。
ちょっと続きます。




