ドレス
「んー……。ねぇシュン?どっちがいいかな?」
クローゼットの前を陣取るアイネスはソファに座って優雅にお茶を飲んでいるシュンに話しかける。
シュンがチラリとアイネスを見れば、アイネスは淡いピンク色のドレスと黒いレースのドレスを持って今度は鏡の前に立っていた。
ピンク色のドレスは柔らかくとてもアイネスを引き立てるが同時に艶っぽく女の色気を漂わす。そして、何よりも背中や鎖骨が割と大きく見えてしまう。
黒いレースのドレスはアイネスを大人っぽくつつむが、あちらこちらにふんだんにレースが使われているため肌が見えそうで見えない、なのに若干の露出もあり何とも言えない妖艶さがにじみ出る。
どちらのドレスを着てもアイネスは艶やかになり似合うだろう。そうは思うけれど……。
「……どちらも似合いません。」
冷ややかに告げればアイネスは頬を膨らます。
彼女は今年22才になる。もう、完全に大人の女ではあるのだが普段の仕草は若干の少女の面影を残す。そんな彼女もついに今年学生を卒業する。
立場的にも完全に大人のとなる。
「えー。これ卒業式の時に着ようと思ってたのに。」
………こんなの俺が居ないときに着せる訳がないだろう。
他の男に見せたくない。
ただの独占欲。
「じゃあ、何着れば良いのよー。」
アイネスはプリプリ怒ってまたクローゼットに向き合う。
ただ、無難に質素なドレスを着れば良いじゃないかと提案すればあり得ないと怒られた。
あり得ないがあり得ない。他のヤツが言い寄ってきたらどうするつもりなんだか。
思わずシュンはため息をつく。
「うーん。いいや!エレンさんに相談しよっと!」
「義理姉さんならアーチェリーの世話で疲れたって休むって言ってたけれど?」
嘘。
あの人が出てくるとろくな事にならない。
「えー。じゃあナナの所に」
「レオが今日は結婚式の打ち合わせでナナと出かけるっていっていたぞ。」
これは本当。
「………。」
「アイネス?」
アイネスが黙って考え込むと大抵ろくな事が起こらない。アイネスに考える隙を与えさせないようにしようとシュンがソファから立ち上がるのと同時に部屋の扉が勢いよく開く。
嫌な予感。
振り向けば仁王立ちになって居る母さん。
「話は聞いたわアイネスちゃん!」
「母さん……誰も何も話してませんが?」
「アイネスちゃんが可愛くなるように私はがんばるわね!」
「母さん……俺の話は無視ですか?」
「じゃあいくわよ!アイネスちゃん!」
「………。」
もはやため息しか出ない。
余計な事しなくていいのに……。
シュンはこめかみを押さえると早々に手を打つべく立ち上がった。
ーーーーー
「シュン!卒業式はこれを着ていくことにしたの!義理母様が選んでくれたの!」
ニッコリ微笑みシュンの前でクルクルまわってドレスをきるアイネスにシュンは黒い笑みを顔に貼り付けて立ち塞がる。
「これは当日絶対着ていっては行けません。」
「え?」
アイネスが着ていたのは淡い藤色の総レースで出来たドレス。胸の谷間を強調し、背中は腰までオープンになっている。ただでさえアイネスの白い肌を際ただせる淡い藤色のドレスなのに、ご丁寧に総レースで作られているせいで前の方も大事な所意外は見えそうで見えない最大級にアイネスをエロく見せるドレスだった。
だけど、母さん……良い仕事してるじゃないか。
これはこれで今晩美味しく頂こう。
シュンは黒い笑顔を更に深く黒くする。
多分これはイディスのシュンに当てつけたイタズラ。こんなアイネスが全開でエロいドレスをシュンが当然着せるわけも無く。
卒業式当日はちゃんとシュンがアイネスのために一番可愛く見え、かつ品の良い露出の全くないドレスを用意していた。そして、それを着せられてそつなく卒業の日を終えたのは別の話。
ここまでお読みくださりありがとうございます!
ブックマークもありがとうございます!
こちらも亀ペース更新でやってますが、忘れてる訳じゃ無いですゴフゴフ(-""-;)"
ただ、今はオッサンだって悪役令嬢出来るもんを更新してて………。
ゴフゴフ(-""-;)"
すいません。
こちらも頑張りますので引き続きよろしくお願いいたします!




