卒業試験
「お嬢様……。これは流石に……。」
「うう、言わないで。」
シュンはアイネスの目の前に何枚かの紙をひらつかせる。
「返して……。」
項垂れたままアイネスはシュンから数枚の用紙を奪い返すとその紙をそっとまとめて折りたたんだ。
卒業試験。
そう、アイネスは今年で21になる。
そろそろ卒業が待っている。学校ではただ、時が過ぎれば誰でも卒業と言うわけには行かない。
曲がりなりにも学業を極めたと言う証のためにも試験があり、それを通過出来なければ卒業にもたどり着けない。
アイネスが折りたたんだ紙は試験のテスト。本日返って来たばかりの結果は酷いほどの惨敗だった。
これでは卒業にはほど遠い。
「け、結婚式とか文芸会の準備で忙しかったし!色々してたらあっという間に卒業試験だったし……。」
「ナナはクリアしてたぞ。」
「………。」
俯きながら言い訳を並べていたアイネスに追い打ちをかければアイネスはもうぐうの音も出ない。
はぁ……。
シュンはため息を突くともう一度アイネスから惨敗結果となったテスト用紙を受け取り眺める。
「追試の試験はありますよね?」
「うん……。ある。」
「いつですか?」
「……2週間後。」
「今回落としたのは何教科ですか?」
「4……。」
「落としすぎです。」
シュンはもう一度ため息をつく。
それでも、確かに結婚式を急がせた自分のせいでもあるかとシュンは項垂れたままのアイネスを見る。
「まぁ、でも頑張れば間に合いますよ。お嬢様、今日から特訓ですから。」
「……お願いします。」
はぁ……。
本日何度目かのため息を盛大にシュンははいた。
ーーーーー
「シュンー!!!」
朝どんよりとしながら登校したわりにはアイネスの帰りの足取りは軽い。
ーーーこれならテストはクリアしたか?
実は追加のテスト迄の期間シュンも本当に頑張った。
アイネスはテストの為に勉強していた、してない以前にそもそも内容を理解していなかった。いや、もしかしたら理解以前の前に授業すらちゃんと聞いていなかったのかもしれない。
愛おしいと思う反面、バカだバカだとは密かに思ってはいたが……。心の中でなったばかりの妻を毒づく。
なぜ今まで追試の試験なく通過できていたかなぞだった。もしくは奇跡が連発していたのかもしれない。
実際過去に受けたテストを遡らせて見ればいつも追加テストになるスレスレでしかなかった。
そのため、アイネスにまず振り返りをさせ理解を得てから応用でテストへと牛歩の歩みを進めることになった。だけど、2週間でキチンと身になるようスケジュールを組んで。
勿論その間シュンは仕事をいつもよりも倍量早めにさばきアイネスに時間を割く努力を強いられたというのは秘密だが……。
それでも、アイネスの為なら苦にならないのが不思議だとシュンは苦笑いしてしまう。
「見てみて!シュンのお陰で追試は余裕だったわ!」
頬を紅潮させアイネスがシュンに報告する。
「いや、それより前に追試にならないようにしておいてください。」
「うっ、もし次が有るときは頑張ります……。」
「全く……お願いしますよ。で、勿論今日は…。」
「今日は?」
俺にお礼のご褒美あるんですよね奥さん?
シュンはアイネスの耳もとでわざと呟く。
「え?あ、いや……今日はやっとテスト終わったらゆっくり寝たいなぁーなんて……。だめ?」
アイネスが首を傾げて上目遣いで見上げればシュンは満面の笑みで答える。
「だめです。世の中give-and-takeです。」
今夜は久しぶりに楽しめそうだとシュンはほくそ笑んでいた。
ここまでお読みくださりありがとうございます!
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なんだかバタバタしていて更新出来ていずすいませんでした。
そんななか………
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