父と子
………で、どうしてこうなってる?
仕事の案件を終わらして屋敷に帰ってきた頃には既に夜も更けていた。
カイ夫婦は夜も遅いと言うことで近くに宿を取って宿泊するらしい。
シュンはもちろんアイネスの傍に居たくて泊まらずに帰ってきていた。
屋敷についてすぐ、アイネスはもう寝てしまっただろうと部屋に急ごうとすれば懐かしい声に呼び止められサロンに連れて行かれる。
そしてそこで、目の前にはなぜか寝ているだろうと思っていたアイネスと………母が二人で酔っている光景をみせられた。
「イディス。シュンが帰ってきたよ!」
朗らかにケイドがイディスを呼ぶ。
「あ!シュン!!ちょっと!あんた嫁1人留守番させてなにやってんのよ!ケイドやカイやレオを見習いなさい!3人は鬱陶しい位嫁にピッタリ張り付いてるじゃない!そのくらいしなきゃ!なんの為にあんたを1度執事にしたとおもってるのよ!くっつくためでしょ!」
ね!アイネスとイディスはアイネスの頬にキスをする。
「にゃー。」
酔っているようで間の抜けた声をだすアイネスにシュンはため息をつく。
………アイネス、これ以上飲まないでくれ。
「それにしても、これは………?父さん………母さん出来上がってますよね。止めないんですか?」
グッタリして隣を見れば隣にいたケイドはニッコリ笑いながら答える。
「まだ大丈夫だよ!みて、あのイディスの楽しそうな顔。綺麗だよね。」
「いや、見るとこそこじゃなくないですか?」
シュンはさらにグッタリと肩を落とす。
ーーーーー面倒臭い。
「まぁ、まぁ。僕らは嬉しいんだよ。君からアイネスちゃんと結婚するって来た時はイディスなんて泣いてガッツポーズしてたし。だから飛んで帰って来ちゃった。」
………。母さん、ガッツポーズって。
「それにさー。カイも赤ちゃん出来たっていうし、レオもレオで卒業と同時に結婚出来るよう早めたっていってたし。皆良い子に恵まれて、ちゃんと大きく育ってくれてて僕らは本当に嬉しいよ。」
よしよしと大きな手がシュンの頭をなでる。
「あ、でもカイから聞いたよ。シュンは自分の事カイの予備だと思ってたの?」
唐突に聞かれればシュンは苦笑いしてしまう。
「シュンはカイの予備なんかじゃないからね。シュンはシュンだよ。君もちゃんと僕らの大事な息子さ。ごめんね、そんな風に君を思わせてしまっていたことに僕らは気づけなかった。」
「父さん…。」
「ほら、僕一人っ子でしょー。だから仕方なく1人でバース家継いでたんだけどさ。このうち大き過ぎるんだよ。小さくしようと頑張ったんだけどなんか思ってたのと違う方にいっちゃって。カイが1人の時はこんな苦労を継がせるなら本気で家潰そうと思ったもん。」
ケイドはそう言って近くに有ったグラスに酒をつぐ。
「でもまぁ、そのお陰で君がイディスのお腹に来てくれた時、僕は君たちに平等にこの家を分割できたんだけどね。君らが苦労しないように、だけどやりたいことが出来るように。あ、でもレオにも分割しようとしたんだよもちろん!だけど、イディスのお家も跡継ぎなくって困ってたからレオにはそっちを任せただけだよ。」
だから君は予備というよりはこの家の救世主かな?
ケイドはそう言ってケラケラ笑う。
「父さん……ありがとう。」
シュンが呟けばケイドが微笑む。
「お礼はグラムに言って。アイツも君やアイネスちゃんが幸せになってくれるならって家のことに凄い理解してくれてたんだから。アイツと僕くらいじゃない?幸せに勝るものはないって家潰そうとしたの。お陰で気があうから楽に付き合えるんだけどね。」
ケイドはシュンにも酒の入ったグラスを手渡す。
「何はともあれ、おめでとうシュン。アイネスちゃん泣かせないようにね。」
そう言って2人は静かに乾杯した。
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