手紙
「おはようございますお嬢様。」
「……。眠い。」
シュンに起こされてアイネスはボーッとしている。
朝日に照らされるシュンの髪は薄紫色になりとても綺麗だ。
「……シュンって、綺麗ね。お姫様みたい。」
もし、シュンの髪が長くて、ふわりと風にたなびくドレスなんて着たら多分とてつもなく美しいんだろうなとアイネスは思ってしまった。
「………。アイネス。」
ペシンとアイネスの額に軽く痛みがはしる。
「ん!」
「寝ぼけてないでいい加減起きてもらえますかお嬢様。」
ニッコリ微笑むシュンにアイネスは背中がぞわりとする。
シュンの目は笑っていない。
アイネスは急いで起きて支度をはじめた。
ーーーーー
「アイネス。すまない。今日は家の仕事の方で兄さん達とちょっと視察に行かなきゃならなくなった。帰りは家の者が来るし、夕食迄にも帰れそうにないから1人になってしまうけど大丈夫か?」
学校に送ってくれる途中シュンが今日の予定を教えてくれていた。
だから学校が終わって帰ってきてからアイネスはバース家で1人でお留守番中だ。
ここにキョウナがまだ滞在していてくれたら楽しかったのにとボンヤリ思ってしまう。
キョウナはクレンと恋に落ちてからあっという間に国にもどり、父親を説得し結婚までこぎ着けたらしい。そんな手紙がこの間アイネスに届いた。
彼女の行動力は凄い。本当にアイネスは尊敬してしまった。特に国一財閥の御嬢様がどこの馬の骨かも解らない男を連れてきたとキョウナの父親は相当反対したらしいが、キョウナはそれをキチンと和解させたと言うのだから素晴らしい。
そもそも、シュンにくっついてこの国に1人で来たその行動力なんて尊敬以外の何物でも無い。
「私はそこまで出来るかしら………。」
アイネスは1人で夕食を頂いたあと、シュンの部屋でポツンとソファーに座っていた。
1人はつまらないわ。
そう思い何か読める本はないかと難しい本だらけのシュンの本棚を物色してみるも本はひたすら難しいものばかり。
それでも諦めず本を探すと本にばかり気をとられ本棚近くの隅にひっそりと置いてあった小さなテーブルに気付かずぶつかってしまった。
テーブルにはシュンにしては乱雑に書類や手紙が置かれていたせいで、バサバサと音を立てて全て床に落ちてしまった。
「あぁ、シュンに怒られる。」
慌ててアイネスは書類などを拾っていると、乱雑に丸められた一枚の手紙を見つけてしまった。
なんとなく、その手紙を手に取り中を読んでしまいアイネスは後悔して肩を落とした。
手紙にはアイネス、もといグラウン家に関しての誹謗中傷とそんな下流の人間ではなく家の娘とぜひ結婚をと言う内容が書かれていた。
気にしないと思い違う書類を拾えばそれもまた手紙で、それは別の人からのおもむろなお見合いのお誘いの内容であった。
何これ……。
しかも手紙は今日届いた様であった。
この間の大量にサインした手紙の返信かしら。
つまり私を、バース家の……シュンの妻として認めたくはないのね。
手紙を持ちフラフラとアイネスは彷徨うように部屋を後にした。
ここまでお読みくださりありがとうございます!
久しぶりにキョウナさんのお名前出てきました!
というか、出したかった!
ブックマークありがとうございます!
ノロノロ運転でがんばります!




