キョウナの料理教室 1
「貴方はもう好きじゃないわ!」
俺はそもそも相手にもしてない。
「だけど、私しばらくここに居ることにしましたわ!」
いや、帰れ。
「本当!じゃあぜひ私とまた飲んで!」
「それは絶対許さないですよお嬢様。また大惨事は勘弁してほしいです。」
「う゛。って言うかそのしゃべり方嫌です。」
「嫌ならはしたない行動はお控えください。お嬢様。」
チクチク執事モードで嫌みを言ってくるシュンにアイネスは怯んだ。
ここはグラウン家。
結局あのあとアイネスは激しくシュンからの愛をたっぷり注がれて昼過ぎまで寝てしまった。そして今アイネスとシュンは突然のキョウナの訪問に対応していた。
キョウナはお酒に強いらしく相当飲んではいたものの二日酔いなど全くないようで、元気に振る舞っている。
「あら!アイネスとはいつでも飲みますわよ!シュンは好きじゃなくなったけど、アイネスは大好きになりましたもの。」
「キョウナ!私も好きよ!」
キョウナに抱きつこうとすればシュンに首根っこを掴まれて制止される。
「はしたない。言った傍からこれですかお嬢様。脳みそは活動してますか?」
朝方の甘美なシュンはどこ行った?
ジトリとシュンを睨む。
「執事のシュンは嫌い。」
ビシッ
「優しいシュンがいい。五月蠅くて小言言うシュンが大嫌い。」
ビシッビシッ
アイネスのシュンは嫌い発言はシュンを固める。しかし、それは一瞬だけ動きを止めただけ。
「それならばお嬢様、今日の夜は好きにさせて見せますよ。」
また覚悟しておいてくださいと、どす黒い笑顔でシュンが囁く。相変わらず目は笑っていない。
「いや、あのそれは……。嫌いは嘘です。すいません。大好きです。ごめんなさい。」
もう既に朝充分過ぎるほど好きにさせられましたので…。とは言えないので、アイネスは直ぐに謝る。
「私の存在忘れないでくださる?」
「さっさと帰ったらどうです?」
「シュン!酷い!キョウナはまだ滞在してくれたら私は嬉しいな!」
「アイネスったら!もう!なんて可愛らしいのかしら!」
きゃあきゃあとはしゃぐ二人を尻目にシュンはため息がでる。
そんなシュンにキョウナが悪い笑みで言い放つ。
「それに私がここに滞在していれば貴方は私の国に戻って仕事しなくても良いんじゃなくて?お互いウィンウィンでしょう?それともまたアイネスと離れたい?」
「………確かに。」
シュンも悪い笑顔になる。
「キョウナ様事業が終わるまでごゆるりとおくつろぎください。」
「そうこなくっちゃ。」
なぜか二人はがっしりと握手していた。
「そう言えば、アイネスはお料理が得意なの?」
「得意じゃないけど、優しく教えてくれる料理の王子様がいてね。」
へへへっと頬を赤らめて話すアイネスにシュンはピクリと眉がつりあがる。
「そうなの?私もその方にお会いして料理の手ほどきを受けたいわ。流石に昨日クッキー位は焼いて見たいわ。私負けっぱなしは嫌いなの。」
キョウナの言葉を聞いてアイネスは首をかしげるがシュンは納得する。
昨日キョウナが焼いたものは悲惨だった。名前を言われなければそれは墨か石かと思うようなほどであった。
もちろんアイネス以外どんなものがきても食べることはしなかったが。
「うん。わかった。私の友達とクレンに聞いてみるよ。そしたら一緒にいこう!」
「一緒に?アイネスまた行くのか?アイツの所に?」
シュンが呟けばアイネスはそっとシュンを見る。
「シュンにいっぱい美味しいって言って欲しいの。」
お願いします。と瞳をウルウルさせて言われれば、う゛っと言葉につまる。
「あら?それともシュンはアイネスを信じられないし、アイネスが直ぐに他の男に取られちゃうほど自分に自信が無いのかしら?」
そんな訳ない。自分ほどアイネスを愛していて幸せに出来るやつなどいない。
そもそもアイネスを誰かに取られる事など許さない。婚約者であり、執事でも有るのはアイネスを立場的からも縛るため。
「………。わかりました。」
ため息が漏れる。
「そのかわりアイネス。必ず私が送迎出来る時だけ行くことにしてください。それはどんな事があっても絶対ですのでお願いします。」
2度とアイツにアイネスを抱かせるような隙など与えない。
「……貴方束縛意外に強いのね。ちょっとそこまでいくと変態見たいね。」
「アイネスが大切なだけです。」
キョウナが思ったことを呟けばすぐさまシュンの反論が返ってくる。
シュンの反応にため息をついてアイネスを見れば大切という言葉に反応したのか頬を赤らめている。
「貴方達似たもの同士ね……。」
キョウナは小さく呟いて思った。
私にもこんな春がいつか来るかしらと。
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「キョウナ!ナナ…じゃなくて私の友達もクレンも喜んでだって!」
「あら!嬉しい!ありがとうアイネス!」
「一緒に頑張ろうね!クレンは凄く優しくて素敵な先生だよ。年は私達と同じ………キョウナってそう言えばいくつなの?」
「私は今年20になりましたわ。」
「あ、私と同じ年ね!あ、ごめんね話がそれたけどクレンも年が近いんだよ。本当に素敵なひとで。」
シュンが居なければきっと恋してた人とキョウナの耳もとで話す。
まぁ!と二人でクスクス笑っていれば
「お嬢様?それ以上アイツの事を話すならその口塞ぎますよ。」
どす黒オーラのシュンが睨む。
アイネスはビクリとしていたが、本当にシュンは束縛魔だわとキョウナは呆れた。
何はともあれこれからアイネスオススメの素敵な先生との料理教室にキョウナはワクワクした。
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