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Zwischen den Zeilen

 一度だけ少年が溜息を吐いた。それはきっと幸せだったから。幸せ過多というやつなのだろう。だから逃がさないと爆発しそうになってしまうのだ。ったく、一体何を見せられているのか。少年と彼女が一緒に暮らし始めて既に一か月が経過した。その中で何度も何度も体を寄せ合ったのは言わずもがなではあるが、一つこれだけは言及しなくてはならない。夢害という存在について。彼女の出掛ける十回に一回は遭遇するのだ。ありえない確率だ。夢害はそこまで活発に動いている訳じゃない。最近だと、夢にだけ現れ、そして意識を奪い命さえも奪うという凶悪な夢害も現れた。その対処方は明らかになっておらず、多大な犠牲を払っている。ただ、不安であった。何もここまで遭遇する物なのかと。そういう不安じゃない。それはもっと決定的な物だ。シャルム・ドラハは、夢害を寄せ付ける。嫌な予感がしてならなかった。だってそうだろう。少年にとって彼女はその命に代えてでも守るべき物だ。それと同時に守りたいもの。彼女の幸福が彼の幸福だと言ってもいいくらいに。でもこれが立証されてしまった場合、彼は一体どうやって彼女を救うというのか。夢害の対処は殆ど未解明のままだ。


「どうしたの?」


「いや、なんでもない。俺がどうにかして金を得ないといけないんだよなって思っただけだ」


「夢害退治だけで結構なお金になってるけどね」


「あぁ。そうだな。そうなんだが、そのお腹の子供の分を考えるとどうしても不安になる。あって困らないしな」


「………正直な話するとさ」


 と彼女は彼と真面目な顔をし向き合った。これはきっと重要な話だ。


「ボクから言わせてもらうと、夢害退治なんて危ない事して欲しくないんだよ。幾ら、ボクに回復術の心得があるとしても死んだ者は蘇らない。禁忌に触れるというのは絶対にダメなんだ」


「……………俺に出来る事はそれしかないんだ」


「うん。解ってる。君にしか出来ない事だって事も解ってる。だからこれはただの我儘なんだ」


「シャルム……俺は大丈夫だ。前とは違う。キャパシティの増幅も既に済ませてある。お前のおかげだ。お前が居なければ今見たいな形成魔術は使えなかった」


 そうだ。彼女のおかげで鍛錬にもなり、それなりの物を形成出来るようになったのだ。おかげで夢害退治で金を稼げている。シャルムの言う通りこれは危険な事だ。少年はその事もしっかり理解している。けど、それしか稼ぐ方法は無い。貴族の娘を嫁に貰ったからにはそれなりの稼ぎが必要になる。それに彼女は今妊娠中だ。栄養ある食事をさせなければなるまい。だから少年はその身が潰えようと構わないと思ったのだ。


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