クラスでの平和を作りましょう
早速桜子様に近付こうとした私ですが、表面上はにこやかに接しながらも、冷たい目をした取り巻きにさりげなく離されてしまいました。
う~ん……流石、中心人物だけあります。
まだ信頼の置けない外部の者はそうそう近寄らせないということですか。
取り巻きの人の態度を見る限り、やはり新学期からの私の扱いは、少々不安な面があります。
なので、入学式までには、クラスで平和に過ごせるようにしておきたいので、早く桜子様を堕としてしまいたいのですよね。
そう思い、もっと本人に近付こうとして、もともと知り合いだった麗香様に紹介していただきました。
麗香様も、連日の調教が効いたのか、すんなりと紹介してくださいました。
それも、かなり好印象を抱かせるような紹介の仕方でした。
麗香様、私のことがだぁすきですものね。
うまく出来たので、その日はご褒美に、最高の声で『ありがとう』を耳元に囁いておきました。
よっぽど嬉しかったようで、悶絶していましたが。
鞭ばかりではいい子になりませんし、たまには飴も必要だと思っていたので、ちょうどよい機会でした。
ですが、知り合いにはすんなりとなれたものの、桜子様の取り巻きが多くてなかなか二人っきりになれません。
取り巻きがいるなかで堕とそうとすれば、確実に取り巻きたちも私に堕ちるでしょうし。
まだ盾ができていない状態では避けたいですよね。
そんなことを考えていたら、まだほとんど交流ができていないのに、明日が入学式になってしまいました。
ああ!私の平和が!
……仕方ありません。
麗香様に呼び出していただきましょう。
『麗香様、お願いがあるんです。』
「何でしょう?綾香様のお願いでしたら、私、頑張って叶えますわ!」
いい子ですねぇ。
私、いい子は大好きです。
『私、桜子様ともっと仲良くなりたいんです。二人で話したいので、この部屋に招待して欲しいんです。』
「……桜子様と?……この部屋ということは、そのお声で話されるの?」
『やっぱりこの声って変かな?』
「そんなことありませんわ!とっても素敵なお声です!!!」
『それならお願いできます?』
「……でも……今までは私だけに聞かせてくださっていたのに……桜子様にも……?」
ああ、うっとうしくなりそうですね。
ちゃんと調教はしていたのですが……。
失敗でしょうか……。
『嫌ですか?』
「その……あまり好ましくは……」
『……へえ?……なら仕方がないですね?』
「あっ……綾香様!?」
う~ん……私、私の言うこと聞いてくれない人って好きじゃないんですよねぇ……。
これだけ調教しても駄目だったということは、見込みがないということでしょうか?
……別に麗香様にこだわる必要もないですしね。
もう一回お願いしても駄目なら、他の人を堕として利用することにしましょう。
その気持ちが、声にも出たのでしょうか。
麗香様が震えだしました。
私が苛立っているときの声も、影響力が大きいのですよね。
よく、“美人が怒ると夜叉になる”と言いますが、“美声が怒りの声になると人外の声になる”そうです。
人外って失礼ですよね。
この声を出すと、皆さん凍りつかれるところから、そう言われるようになったそうですが。
なまじ、いい声なので、心臓にぞくぞくくるそうです。
「桜子様。」
「あら、麗香様。どうなさいました?」
「もしご都合がよろしければ、私の部屋に来てくださいません?ぜひ桜子様に見ていただきたいものがありますの。」
「まあ、何でしょう?」
「ふふっ、それは見てのお楽しみですわ。」
「それは楽しみですわ。」
『ありがとう、麗香様。』
「いえっ!綾香様のためでしたら何なりとっ!」
『本当?嬉しいな。』
結局、麗香様は私のお願いを聞いて、桜子様を呼び出してくれました。
いい子ですねぇ。
あとで誉めてあげます。
でも今は桜子様です。
部屋の中では、いつもの声で過ごしているので、桜子様も最初は誰の声か分からなかったようです。
私の声に蕩けそうになっている表情の中にも、少しの驚きがみてとれました。
「え……綾香様?」
『そうです。私が、桜子様ともっと仲良くなりたくて、麗香様にお願いして、ここに来ていただきたいたんです。』
「私と……仲良く……。」
『はい。……嫌ですか?』
会話をするだけでも、桜子様が私の声に更に夢中になっていきます。
もう確実に堕ちたでしょうか?
でも、入学式は明日。
失敗は許されないので、念のために最後に、少し掠れさせた低めの声を出しておきました。
そこら辺の男の子に見せたら、絶対に襲いかかられそうな顔になりました。
いや……下手をしたら女の子でも襲いかかるかもしれません。
……よかった。この様子ならば完璧です!
無事に、堕ちてくれたようですね。
これで、明日から始まる学校生活は一先ず安心です!
明日の入学式が楽しみになってきました!




