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堕とす人を決めましょう

部屋の片付けをしている内に麗香様に聞き出した内容で、堕とす相手が絞られてきました。


私が、ほかの人に興味をもっていることに多少不満を抱いたようだった麗香様でしたが、私の声で“お願い”をするとイチコロでした。






その中で、私と麗香様が同じSクラスだということも判明しました。


ちなみに、この学校は、各学年5クラスに分かれています。

完全に成績順で構成されていて、上から特S、S、特A、A、Bです。

クラスは1年間の成績をまとめ、1年ごとに入れ替わりがあります。

そして、普通はクラス発表は入学式の後であるものなのに、なぜもう知っているかというと、この学校は入試の結果が出て、入学説明会後にクラス発表が行われるからです。

クラスが悪かった場合は、春休み中に挽回しろということです。

さすが名門かつ進学校。

勉学だけでも嫌になってきました。

大変そうですね。


そして、なぜA~Eまでではないのかというと、Aの人はよくても、DやEのお坊っちゃまお嬢様はプライドが傷つけられて立ち直れないからだそうです。

まあ、いいお家の人が多いこの学校です。

そんなお家の跡取りやお嬢様が再起不能になったら困りますもんね。




ちなみに、高等部からの入学生は少数で、そのほとんどが、特Sクラス入りだそうです。

そして、内部進学者は、外部には学力で敵わないためコンプレックスを抱き、外部進学者も、内部進学者の家柄のよさや金銭感覚の違いにコンプレックスを抱くようで、両者には溝が生じているようです。

……1人でSクラスに在籍するのは居たたまれないでしょうね。

そうそうに、クラス内での平和を確保しないといけなさそうですね。







麗香様からの情報を纏めると、条件①お金持ち、条件②美形を満たしている人は、各学年10人前後いました。

さすが名門校。こんなにいるとは思いませんでした。


残りの条件③ヤンデレ・ストーカーになりそうにない、というのは大変重要なので、自分で見極めるしかありませんね。





入学式があるまで日があり、暇なこともあり、麗香様に教えてもらった人たちの中で、寮に入っておられる人たちの観察を始めることにしました。

声以外は地味な私です。

黙ってさえいれば、全く目立たず、思う存分観察できます。

大して苦労はしなくていいでしょう。

むしろ、麗香様が私について来ないようにするのが大変かもしれません。

カフェに出てきて分かったことですが、麗香様は、幼稚舎から進学ということで、知り合いも多いようですし、お嬢様で、容姿もよいことから、一緒に行動すると目立つんです。

そんな麗香様に話しかけられているのに、無視なんてできやしません。

でも、意識して出した声でも、いろんな人たちを虜にするほどではないとはいえ、充分いい声なんです。

まだ、私の思い通りに動く駒が麗香様だけでは、興味をもたれたり迫ってこられたりしても防ぎようがありません。

実際、こんなカフェにいてすら、さりげなく離れようにも、私のことが大好きな麗香様は、私から離れようとしませんし私の興味が自分以外に行かないように話題に気を使ったり周りにさりげなく牽制したりしていました。

それに気づいて、やめさせようも、周りに人がいるので、声を使うこともできないですしね。




それでも、4~5人は観察できました。

その内、1人だけ条件③にも当てはまる人がいました!


名前は綾小路桜子様。

お家は華道の家元で、お母様は元公家のご出身。

容姿も、日本的な美人さんです。

みたところ、周囲から一目おかれています。

性格は、お嬢様らしいおっとりしたもの……でも、プライドの高さはエベレスト並みです。

このプライドの高さを上手く利用すれば、ヤンデレやストーカー化は避けられるでしょう。

都合のいいことに、私と一緒のSクラスで、麗香様とともに、Sクラスの中心人物になりそうです。

この人ならば、私の思い通りに動いてくれるでしょうし、味方につけてしまえば私のクラスでの1年間は安泰です。

麗香様と二人っきりでいると、もし麗香様が私から離れなければいけなくなったときやお休みのときが心配ですし、麗香様が私にべったりしすぎてしまう恐れもあります。

その点、3人ならば、お互いに牽制しあって、私は無事でいられるでしょう。




そうと決まれば、さっそく桜子様を堕としてしまいましょう。


麗香様には、これから桜子様を堕とすのに邪魔されても困りますしね。

仕方がないので、先に部屋に帰っていただきましょう。






「綾香様、カフェはどうでした?」

「とてもおいしかったです。ところで、麗香様、私ちょっと用事があるのでこれで失礼しますね。」

「ご用事ですか?では私も一緒に。」

「すぐ終わりますので、先に戻っていてください。」

「でも……。」


仕方がありません。

『麗香様。』


「分かりましたわっっ!!先に戻っております!!!」



言うなり踵をかえして、部屋へ戻っていきました。

ほんの少し耳元でボソッと呟いただけなのに、効果覿面ですね。








では、桜子様。

私の1年間のクラスでの平和な生活のために、私の声に堕ちていただきます!!


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