確信に迫る、軽トラ女子
クリームシチューを作った次の日。
残ったシチューを温めながら牛乳でのばし、冷やご飯を入れて更に温める。
グラタン皿に移して、とけるチーズと玉ねぎスライスを乗っけてトースターにぶち込めば簡単ドリアの完成。
明朝。
ザザン、ザザンという音で目が覚めた。
頭がボーっとする。
フラウティアに来てから4日目。
ぶっちゃけるともう、ここではやることが無い。
【めぐり逢いの桃源郷】もクトレー商会とゼバニガ商会におまかせだしな……。
あ、初日の夜に襲ってきた2人組はあの後どうなったのか聞くの忘れてた。
まぁいいや、私的にはもう終わったことだ。
ぱしゃぱしゃと顔を洗い、パジャマのまんま外に出る。
「おぉ、見事な朝日。」
なんとなく、拝みたくなる。
さて、次はどこに行こうか?
フラウティアがこの大陸の南東の端っこだから、海沿いから東に行ってみるか……。
クトレー商会の地図を広げて見てみるが、やっぱり字が読めないとよく分からん。
「ナビちゃん、東の端っこの方は何て書いてあるの?」
《【港】と書かれております》
「なら、船があるんだね。」
もしかしたら他の大陸との貿易もしているかもしれない。
珍しい品物、仕入れに行こうか。
《戸倉様。どこに向かうにせよ、一度ルーゼンに戻る必要があります》
「え、何で?ぐるっと回って行けないの?」
《地図に記載されている、ルーゼンから八方にのびている線は山や絶壁、深い谷を示しています。》
「じゃあ、隣の区域にはそのまま行ける道も無いの?」
《はい。それぞれの地域から他の土地へ移動する際は、必ずルーゼンを通過しなければなりません》
そういや、前にジステリアさんもそんな事言っていたな。
ルーゼンは門の街だとか何とか。
前々から考えていた。この大陸のこと。
ナビちゃんは、私が聞かないと教えてくれない情報が多い。
でも、聞けば答えてくれる。
ちょっと踏み込んでみるか、この世界の真実に。
「ねぇ、ナビちゃん。」
《はい》
「この大陸って地図を見る限りじゃほぼ、八角形だよね?」
《そうですね》
「地殻変動で自然に出来たんじゃないんでしょ?」
《戸倉様のご想像の通りです。この大陸はこの世界が明らかな意志をを持ち、整えた箱庭です》
やっぱりか……。
世界の意志ってのはよく分からんけど、出来過ぎてるんだよ。形も、環境も。
「この大陸は何の為に作られたの?」
もしかして、私の……
はらり
ほらり
ふわり
ぽとり
その時、空からそれは舞い落ちてきた。
【戸倉恵子様へ】と日本語で書かれた手紙が。
けーちゃんのお母さんから貰った、軽トラックの鍵。
普段から持ち歩いているキーケースに入れてある。
「御守りとは、ちょっと違うけどね。」
もし何処かで、持ち主不明の軽トラックを見掛けたら……
なんて有り得ない妄想を抱いてるのは、私がアニメ脳だから?
アニメ脳ついでに、【もしも】な事を色々と想像しそうになる。
【軽トラックに轢かれて異世界に転生】
【魔法とかスキルで無双】
【技術&お料理レシピで大金持ち】
【神様より強くなって……】
「帰っておいでよ、けーちゃん。」
こんな妄想話こそ、けーちゃんに聞いてもらいたかったよ。




