おいでませ、軽トラ女子
今夜は煮込みうどんだ。
鰯の缶詰めを出汁にして、きしめん煮込むぞ。
グツグツだ。
異世界モノのお約束、ギルド。
1番有名で代表的なのが冒険者ギルド。
みーちゃんが新しい作品の話をする時に必ずと言って良いほど聞く名詞。
『冒険者ギルドに登録しに行くと主人公の強さを示す用の殴られ役が絡んでくるんだよ。かわいそう。まあ、ストーリーを進める為の貴重な生贄?踏み台?それとも……』
「噛ませ犬だっけ?」
柴犬なら大歓迎だな。絶対可愛がる。
昨日、今日と速足で素通りした冒険者ギルドの前に来た。
この時間、人はまばらだ。
「変なのに絡まれる前に、さっさと用事済ませよう。」
木製の両開きの重い扉を開いて中に入る。
パンパカパーン!
パチパチパチパチパチパチ……
「何、これ?」
咄嗟のことに身動きとれず紙吹雪と紙テープの餌食になってしまった。
「おんめでとーございまぁーす!!!」
何がっ!!ソメノスケソメタロウ!?
「冒険者ギルド、ルーゼン支店。記念すべき10万人目のお客様でーす!」
多いのか少ないのか微妙だな、おい。
まぁ、銀の盾でお祝いするくらいには多いのか?
「こちら記念品のカトラリーセットでーす!」
あ、意外とセンス良いデザイン。
「はい、我ルーゼン支店のギルド長と記念撮影しまーす!にっこり笑ってぇ……3、2、1、驚天動地ぃ!」
掛け声!!!!
一通りのお祝いイベントを終えて満足したのか、制服を着た人たちは仕事に戻っていった。
「先輩冒険者じゃなくて、組織単位で絡まれたんじゃない?」
《しかも、戸倉様の強さは何1つ示すことが出来ませんでしたね》
冒険者にはならないし、示す強さなんて無いからね。
「本日はどのようなご依頼ですか?」
さっきのハイテンションとは別人の様な、落ち着いた声で受付の女性がカウンター越しに声を掛けてきた。
「こちらで魔物を買い取って欲しいんですが。出来ますか?」
「はい。お客様の冒険者登録している、していないに関わらず魔物の素材は買い取りさせて頂いております。」
「あぁ、良かった。では査定お願いします。えぇと、何処に出したら良いですか?」
「こちらで構いませんよ。因みに、どのような魔物の素材でしょうか?」
「カジキマグロの変異体?かなり大きいんですけど……」
「あぁ、収納能力をお持ちなのですね。でしたら買い取り専用の倉庫へご案内致します。」
受付のお姉さんに案内してもらい倉庫と言うか解体場に連れてこられ、ガタイの良いオジサマに応対を引き継がれた。
「仕留めて何日くらい経過した?」
「3、4日です。あ、でも……」
「それなら早く解体しねぇとな、出してくれ。」
「あの、まだ仕留めてはいないんです。」
「は?」
オジサマが目をパチパチとさせて呆けた。
「生け捕りにしたのをそのまま収納してあるんです。ですから……」
「ちょ、ちょい待ち。生け捕り?」
「はい。」
「普通の魔魚カジキマグロでも全長2メートルあるのに、変異体なんだろ?」
「そうですね。」
「………何処か大棚の収納専門師なのか?」
「勧誘はされましたが、丁重にお断りしました。」
長い沈黙………
「あの、出していいですか?」
「今は、やめてくれ。」
………ですよね。
?『いやったぁぁぁ!!!』
軽トラちゃん「うわっ、また出た。」
ナビちゃん《お化けでは無いのですから……》
?『ふふぅん。そんなこと言って良いのかね、軽トラくん?』
軽トラちゃん「な、何?」
?『実は私は、君の大切なモノを握っているのだよ。』
軽トラちゃん「ボクの大切なモノ?」
?『そうだよ。』
軽トラ「え、えー。ヤダ何かこわい。」
?「ほぉれ、ほぉれ。えぇんか?えぇのんかぁ?」
ナビちゃん《下品で卑猥です。強制遮断します》




