もうすぐ着くぞ、軽トラ女子
夜、鹿の鳴き声が聴こえてきます。
朝は白鳥の声も聴こえます。
そんなド田舎に住んでます。
ジリアさんと別れ宿泊した広場を出発したのが日の出後。
今はすっかりお天道様が真上に移動してきた頃合い。
「ん?ところで、この世界でも東西南北とか太陽は東から昇って西に沈むってのが常識で良いのかな?」
《はい。その認識で間違い無いかと。基本的に北上すれば寒く、南下すれば暑いようです》
「そかそっか。そういえば、軽トラちゃんの機能で寒冷地用とかも有ったもんね。」
《はい。戸倉様の行動範囲を広める為にも、しっかりと魔物を退治して技術点を取得するべきです》
「はーい。」
カジキマグロと、……えーと、昨日ジリアさんを襲ってた魔物はどんなヤツだったっけ?
《鑑定はしておりませんが、稲妻鹿の変異種かと思われます》
「あぁそうそう、角がスパークする鹿ね。」
スパーディア……まんまだね。
鹿肉食べたいなぁ。
秋冬の鹿は青臭く無いから美味しいんだよねぇ。
唐揚げ、味噌漬け、紅葉鍋。
とくに、ルイベを生姜醤油で食べるのが好き。
《戸倉様、涎は下品です。》
「おっと。」
鹿の脚なら私でもギリギリ捌ける。
伯父が鹿撃ちしてたから毎年お裾分けを頂いていた。
もし私が軽トラックの魅力に目覚めていなかったら、多分伯父に頼み込んでハンターの資格を取る勉強をしていたに違いない。
「熊もたまに出たからなぁ……。」
ハンター女子も最近は増えてきて、ジビエの加工工場も出来たらしい。
《戸倉様、約3キロメートル先にルーゼンの外門が有ります。》
故郷の害獣駆除と食肉加工事情を思い出しているとナビちゃんのナビゲーションが始まった。
「もう着いたんだ。んじゃあ、そろそろ歩こうかな?」
《畏まりました》
「あ、いまいちハッキリと軽トラちゃんの召喚方法を聞いてないんだけど……。」
《問題ありません。必要な時に自動で姿を現します。》
「リョーカイ。」
軽トラちゃんを停止してダッシュボードからジリアさんに書いて貰ったメモと、ターンさんから預かった手紙を出してポケットに入れた。
《戸倉様、ゴローダイさんより頂いた背負子に軽トラさんの無限収納の出入口を繋げておきました。》
「え、んなこと出来るの!?」
《はい。戸倉様と軽トラさんのシンクロ指数が一定値を越えましたので可能です》
私、聞いてなかったんですけど……
シンクロ指数って、そういうもんなの?
まぁ、便利になるなら良いや。
「あぁ、でも急に収納とかしたら危なくない?主に回りが。」
物を収納しようとしたら、他の人や物も巻き込んだらシャレにならない。
《問題ありません。戸倉様の魔力次第です》
「まさかの、自己責任!?」
……無限収納機能を使うの、必要最低限にしよう。
軽トラちゃん「行ってらっしゃい、ご主人。」
ナビちゃん《出来れば私も付いていて差し上げたいのですが……》
軽トラ女子「何気にナビちゃんって毒デレ属性だよね。」
軽トラちゃん「うん、さらっと毒吐くけど過保護。」
ナビちゃん《し、失礼ですよ!!……明日は更新しませんから、お休みしますよ》
軽トラ女子「……木曜日だから普通にお休み予定だよ。」
軽トラちゃん「ご主人、しーーー!」




