29 エルサル正教国8
※R-15くらいの話が出てくるので注意してください。
改稿してもここは難しいですねぇ。
ひょっとしたら今後修正が入るかもです
29 エルサル正教国8
また馬車に乗ったわけだが、さて次はどこに止まろうかと悩む。まぁ外を眺めながら、ビビっとキタ所で下車してみよう。
古い、礼拝堂……かな?何回か改修したのだろうか、とても古く壁面が溶けているような部分と、補修で加えられた建材の色が混ざり合っている。継ぎ目は馴染んで消えて見えないほど古く、改修も昔である事が分かる。この雰囲気は良い。よし、ここにしよう。
ここで降りる人間は私とシエラだけのようだ。礼拝堂はそこそこの大きさで、建物の形状は維持されているようだが、信徒に忘れられて久しい、といった風情だ。歴史的に価値があるから保存されているが、誰も来ない場所に見える。
扉を開ける。
中には男が一人。黒髪の幸薄そうな風体の若い細マッチョが、こちらに背を向けて跪いて佇んでいた。
背には長剣、腰に反りのある刀が一振り。面白い取り合わせの武装の男、そしてこのシチュエーション。RPGで言うところの、三番目の町あたりにいる、イベントをこなすと戦いになるラスボスみたいな空気を感じる。深淵を覗く者はうんたらかんたら。真理の魔眼で見るのはちょっと控えよう。
慌てず騒がず礼拝堂に立ち寄った一般人してるのがいいだろう。トコトコと歩いて最前列の長椅子に座る。
「この邂逅に祝福と感謝を」
なんか喋り出した。声量は独り言に思えなくもない。私に向けてだろうか、この男の知る誰かへの祈りを口に出したのだろうか。
ええわ。
礼拝堂の正面を見ると、大きいレリーフにデカデカと木が描かれ、その枝先に単語が書かれている。架空の生き物で進化系統図を木に準えて彫り込んだような代物である。
こっちもよく分からんな。
こういうファンタジー世界で潰えた枝、その生物はほんとに存在した生き物なのか、誰かの創作なのか分からんね。現代の地球であれば、恐竜が居たらしいのは誰もが認識している事であり、創作ではない事になっている。
どちらも等しく過去の事であり、また、その生き物にとって、未来にその存在が認識されようが忘れられようがどうでも良いことである。
メメント・モリ。私は過去の者を精一杯忘れない。だから、どうか私を忘れないで。私を無かった事にしないで。
いずれ訪れる個人の死と種族の滅びは避け得ない。しかしまだ希望はある。その生きた証が残ることは生の代償であり、永遠の可能性でもある。その意味では恐竜でさえまだ残っている。
そんな感じなんだろうね~と考えながら最前列の長椅子に座ってレリーフを眺める。
人らしい系統の前には巨人が、人が滅んだ後に続くのは小人や獣人が残る。ほんとかよ。私では事実と創作との区別が付かんな。
話しかけてみるか。
「お兄さん、誰かにお祈りしてるの?」
「そうだね。あの人はどう思っていたんだろうか、幸せだったのだろうか、幸せに思ってたらいいなって祈っているんだ」
む、やはり意味ありげな奴の様だ。直視はせずにまずはジャブからだ。魔眼で選択的に情報を読み取る。
名前はノイル、種族は人間、性別は勿論男、歳は測定不能、ん~、出てきたな、測定不能。つまりこいつは天界、ないし魔界の関係者の可能性がある。あとは状態を読み取ってみるか。
「それ以上私を魔眼で見ない方が良い」
「あ、はい」
止められてしまった。あれか、これでもう二回ほど真理の魔眼で見ようとすると戦闘になるパターンだな。素直に従っておこう。じゃあ魔法で鑑定してみるか。
が、他の情報は何もわからなかった。未確定 となっていた。決まっていない、という事だろうか。
「君は確か、シュレディンガーの理論を知っていたよね。この世界でもあの理論は有効なんだ」
こいつは何を言っているんだ。
「ごめん、混乱しちゃうよね。でもこれは仕方のない事なんだ、許してほしい。僕を端的に表すなら時間をテープレコーダを巻き戻すように遡れる能力を持つ日本人の転生者、かな」
「それで、私に何か用があるの?」
「今日は僕のこれまでの人生について話すから、それを聞いて欲しいんだ」
なんか凄く胡散臭いやつだ。隣を見ると、シエラの瞳が人形の様になっていた。時間が止められているようだ。
よしコイツは殺そう。と思ったが、まぁ話だけでも聞いてみようという気になった。ここで祈っていた真摯な姿は、私にそう思わせるだけのフェイクでは無い気がしたのだ。
「シエラの時間を止めたね?まぁ確かにシエラが動いていればお前もう死んでると思うからしょうが無いけど」
「そういうことだね。今、この建物内での時間の速さの流れは、僕の自由にできる。君と君に関わる人達の未来がどうなるのかは僕にも分からない。けど、僕は全面的に君に協力するつもりだよ。
僕も君と生き方が似ている。いや、日本人的な思考パターンだとでも言うべきか。僕と僕の周囲の人たちの為に、より良い未来を選び取りたい
僕の話を聞いてもらえれば色々分かると思うよ」
寒かったので時空間からローブを取り出して羽織った。天界通販やその他の、外に繋がる連絡手段は不通の様だ。これ幼女監禁だよ。犯罪だよ。
「僕の最初の人生の時、まぁ一週目とでも言うべきかな、その時に、あと…4か月くらいかな、この辺り半径数キロくらいにわたって悪魔の軍勢が押し寄せて来て、僕の町が飲み込まれてしまった。
数万人くらいの魂がその時奪われる。僕は丁度その時町を離れていてそれに居合せなかった。その後、僕は人生を掛けて時空魔法の研究をした。
あー、僕はここで赤ちゃんから人生を開始している。君とも、今こっちに沢山来ている転生者とも違うタイプだね。
それで僕はその事件後数十年かけてある魔法を開発した。その時は君に手伝ってもらった。君は覚えていないかもしれないけど、ありがとう、エレナ先生」
なんかよくありがちな話だな。眼を見ると赤い眼をしている。日本人じゃないのか。こっちで赤ちゃんから人生始めてるなら不思議じゃないけど。
「ああ、この目?いつだったか先生が僕にこう言ったんだ。『その不景気な目を私に見せるな』ってね」
どうやら赤色はコンタクトレンズの様な物だったらしい、ノイルがそれを外して私の方をみる。特濃の絶望ジュースを飲んだ主人公の目をしている。漆黒。あー、コイツの話聞きたくないわ~。ノイルがカラコンを再び装着する。あれは誰が作ったんだろうか…。
「どこまで話したっけ、魔法を開発したあたりか…それで、僕の開発した魔法はしょぼくてね。普通の時間が進むのを一倍速とすると、僕の頭の意識、正確には僕の頭の中で隠蔽された状態で発動する魔法の記憶の蓄積はマイナス一倍速で巻き戻る。
連続性を保ったまま頭の時間を逆再生することで時間を遡り、記憶を過去に運ぶことができた。
でもこれは相当に不便でね。逆再生中は何一つ僕は世界に干渉できないんだ。未来を変えられないとも言っていい。逆再生で周囲の人が、自分も何言ってるかわからない、雨は上に上がって雲になる物なんだ。正直頭がおかしくなるよ。
そうして戻ってみて、さて僕の町を救おうかと思ったんだけどね。ほとんど何もできなかったんだ。僕の家族だけなら避難させられたんだけど、それまでだった。悪魔が来る、なんて誰も信じない。そのままこの町が滅ぶのを黙って見てるしかなかった。
悪魔の軍勢は非常に強くて、僕一人じゃ何もできなかった。僕は色々と情報収集と準備、根回しなんかも考えてみたんだ。
まずはこのエルサル教の星字軍に頼ってみた。でも弱くてね。時間稼ぎの壁にもならなず、餌になっただけだった。
エレナ先生に相談してみた。そうすると、エレナ先生に話したとおりにならなかった。4か月後だ、と言えば5か月後、5カ月後だと言えば6カ月後、一年以内と言えば二年後、数年以内と言えば十年以内、十年以内というとエレナ先生は信じないようで4カ月後、と言った感じで回避されてしまう。悪魔の虐殺という事象は変更できない。どうしようもなくこの世界の猫は死ぬ運命なんだと考えた。ただ、悪魔はエレナ先生との接触は避けた。鍵はエレナ先生にある気がした。この時間の魔法も先生を起点に発動しているんだ。
その後、未来のエレナ先生に勧められて、今のエレナちゃんに会って詳しく話してみろと言われた。その通りにしようと思ってエレナ先生に会おうと思ったけど、なぜか事件前にエレナ先生に会えなくなってしまった。どうやっても会えない、どう先回りしても遭遇できない。
少し頭を冷やしてみたんだ。そしてもう一度色々と調査をしてみた。神々の事、悪魔の事、この世界の事なんかをね。
色々と調べた結果、この世界は優先順位の様なものが決まっていて、その順番で物事が決まっていくんだ。因果の決定権とでも言い換えられる。例えば丸いパイがあったとするね。一番力のある神々がまず、パイから好きな部分を切り取る。次に力のある天界と魔界の存在が残りのパイから、最後に力の無い物が残りを分け合う。
悪魔の軍勢が魂を強奪する事件を神々は許さず、魂は全て神々が奪還する事がわかった。これも覆らない。
しかしそれではこの町の人々の肉体は滅びたままなんだ。何とか未然に防ぎたい。色々調べて方策を練ってみた。
その結果、この教会…礼拝堂か、ここの存在はなぜか未来にわたって、僕の知る限りにおいて不変である事がわかった。ここは悪魔の軍勢にも破壊することはできない。おそらくは強い神々の意志が介在していると思う。それを依代にして、僕は今こうしてエレナ先生にある程度の話をすることがなんとかできている」
話が長いよぉ…。
「お願いエレナ先生、寝ないで、もうちょっとはしょるから。
エレナ先生は不思議存在で、エレナ先生なら悪魔の軍勢が用意した『魂の強奪』という結果すら無かった事に出来ると思う。
エレナ先生の知り合いに居る神様、僕にはどうしても何の神様かわからないけど、その神様に悪魔の軍勢が攻めてくる事を伝えてほしい。この建物を出たらね」
「わかったよ。町が滅びるのは忍びないからな。それで、もうちょっとわかりやすく直接的に解決できないの?」
「僕はエレナ先生のおかげで時間を遡れるけど、力は全然ないんだ。世界のVIPの方々の邪魔をしないように様子を見ながら回り道していかなきゃいけない」
「難儀だな~」
頭でも撫でてやろうかと思ったら、ノイルが目の前に来ていた。コンタクトを外し、死んだ魚のような目で泣いていた。表情筋は一切動かさずに涙だけが流れている。あーこりゃ酷いツラだ。
「隣に座れ」
ノイルが長い武器を足元に置いて座る。よしよし、とりあえず頭を撫でてやる。撫でながら、ノイルから聞いた話を整理している。ふーむ、なんとなくは分かった。つまり私には何かご都合主義的な因果の操作の主体ないし近しい所に居るんだろう。それは心に留めておくくらいでいいだろう。害は無い様だしな。
つまり、さっき助けた母娘は私が出会ったから幸せになった。ないし、幸せになるから私に出会えた。という可能性があるわけか。
「ねぇ、この建物内でのお前の優先度は私より上か?」
「短期的にはね。でも、エレナ先生が心身ともに健全な状態で外に出る結果になるようにしか行動できない」
色々調べているんだな、いやはやご苦労な事だ。
「私を性的に、あるいは肉体的に襲うことは恐らくできないんだな?」
「そういう事になるね。そう思った時は、つまりエレナ先生に遭遇することができない。先生の不利益になる事全般ができない」
私の人生はなんだか面白くないな。釈迦の少年時代の様に、変な物は見れないというわけか。
「例えば私は、魔物の軍勢が人間の村を蹂躙する場面を傍観する事はできるとおもうか?」
「一応出来ると思うよ、先生がその光景を見て、心身ともにダメージを負わないならば」
「なるほどね~。つまり私の主観で今、ここでお前と会っている時点で私の未来は保証されている。ここには私がこの建物を出る二つのルートがある。エッチなことをするルートと、エッチなことをしないルートだ!」
「エレナ先生ちょっとうるさい」
抱きかかえられて膝の上に乗せられた。私は前を向いている形だ。
「僕はさっきの話の途中で何度か発狂したんだ。求めた結果に全然到達出来なくて、どうしようもなくなってね。・・・・・・。
殺した、沢山殺したよ。魔物と魔族を殺せる奴だけ、できる限り殺した。一時期の憂さ晴らしにはなったけど、何も解決しなかったしそれだけだった。
次に発狂した時は魔族の女を捕まえて犯した。それはもう死ぬまで犯した。監禁してみたり、妊娠したら切り殺したり蹴ったりしたよ。後には虚無だけが残った。
そういう時は絶対に先生には会わなかった。ついには僕は頭がおかしくなった。先生に似ている小さな女の子を攫ってきて、それで…それで……。
無限に続く試行錯誤と悪逆の中で、ある時この礼拝堂を見つけたんだ。物理的にでは無い霊妙な気配があり、神を見た。
神は僕の罪の意識を背負い、初心を思い起こさせ『泥に塗れし迷い子よ、世界を旅せよ』それだけ告げた。まるで悪夢から醒めるかの様に意識が戻ってきた。
…その後、悪魔の事件の事を忘れて暫く旅をして、世界を見て、それで落ち着いた。先生とも会えた。また頑張る気力が湧いてきた。だから先生……」
ノイルの手がブルブル震えている。知的好奇心は引っ込んでしまった。頭にはポタポタとノイルの涙が落ちてきている。傷心の少年につけ込みつつ、あるいは癒しつつ、私の小目標も達成できるかと思ったが、地雷を踏み抜いてしまったようだ。
ここを出て理の神に悪魔軍襲撃の事を知らせればノイルの件は解決するだろう。後は大人しくノイルの抱き枕になってやるか。
「僕は、この罪と苦悩を誰かに伝えたかった。分かって欲しかったんだ。そうだったんだ。ありがとう。エレナちゃんが神様だったんだ。あぁああああああああぁあああ~~~」
ノイルはぶるぶると震えながら私の前に土下座して腕を上げたりして泣きながら奇声を上げながら跪拝した。
「……」
え、いや、え?ガチもんの狂信者に神輿にされている。パない。しかもこいつマジキチの畜生でしょ?時間停止AVモノみたいに何度も犯されるひえぇ……。こちとら6歳やぞ。
その危機感が作用したのか、ノイルを無力化した手応えを得た。この感覚は特殊であった。探すとノイルの忌まわしき苦悩の記憶があった。私の記憶の中にあるのか、ノイルの身体に付随するデータとして概念が浮いているのか分からないが。確かに。
これは無かった事にしてはいけない。
『赦す。泥を祓い、進むが善い』
無限に広がる報いが訪れた。光輝く羽が無数に吹き抜け、目に見える汚れを拭い去っていく。泥は大樹の梺へ、大樹は生長し、その証を記す。
ここはデバックの世界であるらしい。時空が流れていないのは勿論、あらゆる物は停滞しているにも関わらず、光を発している。
長椅子の横の方にはほんのり光る積み木が無造作に転がっている。これなんか弄ればええんじゃろ。酷く汚れた積み木を脇に避け、綺麗な積み木を積んでみた。汚れた積み木はそれはそれで味がある。何かに使うかも知れないから取っておこう。
よし。
音が戻ってくる。
見ると正面のレリーフが少し変形している。
「落ち着いたか?ノイルよ。私としてはあまりお前の話を聞いてしまうとつまらん。くだらん話はまた今度にして飯にしよう。あと、私のことは朧と呼べ」
「わかったよ、朧先生。じゃあシエラさんの時間を進めるから、そっちに行ってくれる?そうそうそのあたり」
ノイルから漂っていた陰気な気配は薄くなり、狂信者みたいな態度も引っ込んでいる。正常な時間に戻る。
「シエラ。飯にするか」
不審な物を見る目で臨戦態勢だったシエラがこちらを向く、目が、コイツは危険ですぜ!っと訴えてくる。
「おい、我が弟子ノイルよ、貴様もそんな所でとぼけてないで飯にしないか?」
「朧先生、わかりました。あちらにテーブルがあります」
「お嬢様、お知合いですか?」
「ああ、私の弟子だ。短い期間だったがな。悪い奴ではないから心配しなくていい」
天界通販と念話が使えるようになっていた。天界通販でサンドイッチセットと紅茶セットを注文してテーブルに置く。
「朧先生、懐かしいです…」
ノイルがまた泣き出してサンドイッチを食べている。こいつ本当に大丈夫だろうか…。
シエラは少しむっとしている。いきなり出て来た師弟の感動の再開の場面に当てられているんだろう。シエラの膝の上に乗る。アーンしてもらう。やっぱりシエラだなぁ~。
「泣くな、飯が不味くなるだろう」
昼食を済ませた。
「朧先生、僕は大抵ここに居ますので、何かあったら来てください」
「ああ、お前の顔を立ててやれそうな事があったらな。あ、そうだお前は小太刀の類を持ってないな、こいつをやろう」
聖剣ヒノキボルグを取り出す。
「そ、それは、聖剣ヒノキボルグ!」
「!、知っているのかノイル! …まぁお前が一本持っておくのが良いだろう。どうせ何本でも作れるからな」
さて、礼拝堂を無事に出て、馬車を待つ。あー、理の神と念話をせねばなるまい。
……知的生命体の世話をする神と世界はどこまでも広く長く在る。それらに休息や報いは与えられるのだろうか。
ふえぇ、疲れた。
noirでノイル、です。フランス語でノワールですが、英語読みしてノイルという感じです。
シュレディンガーの下りについて。
作者的にもここは頭が痛いところですか、簡単に整理します。
量子論の、例えば右スピンと左スピンは観測するまで重ね合わせの状態である。という理論に対してシュレディンガーは、じゃあそれ猫と毒ガスに繋いで箱に入れたら猫死ぬのと生きるのは重ね合わさってんの?クソワロ、そんな事ないやろって話ですね。たぶん。
ハイ。じゃ次に二重スリット実験と量子もつれです。
二重スリット実験ではマクロの視点では光子は波として観測出来るのに、ミクロの視点で測定すると光子が粒子として振る舞い始めるとする理論です。今の所、観測する時に光子、あるいは電子はその瞬間に波と粒子の性質を物理法則に矛盾無く示しています。観測そのものの作用の影響などもあってこれはなんだかなってなりました。
カンニングしてる疑惑の生徒光ちゃんや電ちゃんに抜き打ちで色々調べてつつテストしてるんだけど、決定的な証拠は出さないで乗り切っている感じですね。カンニング監視の影響も無視できない。むむむって感じです。ただこの子らは致命的なボロを出さずに回答しています。
なんかよく分からんけど調べても波であり粒子であって、観測してもなんか……ピンとこないなー、保留ってな感じです。
次に量子もつれですね。
世の中電子の回転スピンが右と左一つずつでセットの物が存在します。量子論ではスピンは観測するまで分からないって事になってますから。どちらかが決まったらどちらかが決まります。この情報のやりとりはどれほど遠隔であっても瞬時に行われて光速を超えます。これも実験で確かめられていて、この瞬間的なあれこれを上手く使おうというのが量子コンピューターですね。
双子の兄弟が居たとしましょう。兄弟は10年後に北極と南極にそれぞれ居ました。北極の少年を調べたら兄だと分かりました。ハイ、この瞬間南の方は弟となります。この因果関係が発生したのは瞬間的です。でもよく考えると腹から最初に出てきた方が弟って思いました。逆になります。やっぱ区別するのめんどくさいから諦めました。どっちが兄か弟か分からない、それは二重に存在しています。そしてそれは南極の片割れと連動しています。ハイw量子もつれはそんな感じです。
本文でのシュレディンガーの理論とは誤用に恣意的な解釈ですが、皮肉では無く、観測による物理現象への干渉の事を示しています。
本作で言うところの神が大人、モブキャラが子共としましょう。先程の話に出てきた双子の片割れを見て、大人がこうこうだからコイツが兄だと言います。子どもがなんか分からんけどふいんきが弟と言います。現実世界では大人の言い分が通り、その片割れは兄で、もう片方は弟となります。これが本作で言うところのパイを取るチカラ、運命の決定力みたいな物です。




