20 突撃、川岸のオーク宅
20 突撃、川岸のオーク宅
オークの偵察の仕事を受注して、冒険者ギルドを出た。先ほどの転生者の青年君は立ち上がったようだ。がんばれよ。
普通は先程のベテランパーティーの様に街の門を通って豚討伐に出かけるのがセオリーだと思うが、そのまま学園へ帰る。幼女は長く歩けないからな!
「あ、お嬢ちゃんか、おかえり」
まぁ覚えられてるよね。カードをしっかり見せて銀の塔10階へ。新たに揃えるものは無いだろうが荷物を軽くチェックする。
なんか入れる為の空間魔法の家一軒分くらいの容量のアイテムボックスのポーチをおなじみ天界通販で取り寄せる。めっちゃ安かった。イメージ的にお菓子屋さんでそこそこ買うとちょっと良い袋に包んでくれるじゃん。あれを単品で買った感じ。感覚としては100円よ。
……ほら、異世界だとすげーアイテムボックス持ってると狙われちゃうじゃん?だから量販品で目立たないようにするんだ。いやー、目立たないように気をつけてたんだけどなー、分かっちゃう奴は分かっちゃうかもなー、ふへへぇ。
さてオークでも一狩りいくか~と実験フロアに移動して、まずはオークの発見情報があったという村と川を時空魔法と光魔法、隠蔽魔法とかを複合しつつ、こちらからは千里眼、向こうからは何もないよ状態のチート魔法で目の前にファンタジー御用達の宙に浮く遠見の魔法鏡っぽいものを現出させる。
自分の位置で相対的に座標を決めているため、最初はかなり変な所を映してしまう。その映した位置の座標を中心に新たに移動、と言うように見えない覗き穴を移動させていき…目的の村と川を特定した。そこに座標を固定する。そのまま向こう側の周辺に誰も居ないことを確認し、村側の川の岸辺に受付用転移魔方陣、こちら側で出力用の転移魔方陣を構築する。これで万に一つも失敗はなくなる。適当な転移だと『*石の中に居る*』の可能性があるので注意が必要だ。
よーし、シエラと一緒に転移した。
無事到着。学園にこ籠りつつオーク殲滅という離れ業もできるだろうが、魔力消費が多すぎてスマートでないので転移でこちらに来た。今の転移でもそこそこ魔力が減った。
一応、再度周辺を見回してから、天界ネクターとアムリタンZを注文して飲む。アムリタンZとはチート回復アイテムである。インド神話のチート神飲料『アムリタ』と栄養ドリンクのZが融合した全く新しいジャンルの飲み物なんだねー。
チート飲料といえば、ネクタル(ネクター、ただの果汁ジュース。日本神話最強の投擲果物【桃】で更に効果マシマシ)、エリクシル(エリクサー、賢者の石らしい。錬金術で金も生み出せないのに賢者の石とか夢見すぎやねん)、ソーマ、などなど。チート飲料を飲むと不老不死でサイキョーになるのは万国共通である。
天界通販探せば他にもすげー飲み物がある、あるが…必用に迫られるまでは放置しておくことも可能だと言うこと……!
ゲームとかで例えばポーションあるのに、バグ技かなんかでゴミみたいにエリクサーx99とか手に入っちゃったらもう全部エリクサーで良いんじゃ無いかなってなっちゃうよね。それはなんだか悲しいなって。倉庫の奥深く、ポーションx99となって、手に入れる端から所持数上限で消えていくポーションちゃん。売っても捨て値なのでその手間すら惜しまれる。「ぼく、なんのために生まれてくるの?」かなしいなぁ。
そしてシエラにだっこしてもらってから魔法で対岸に渡った。
目の前には森。広域探知魔法を使用する。オークの集落を補足。私は以前ダンジョンでやった移動要塞、朧ちゃんの陣になる。盾四枚に障壁のアレである。シエラにそこらへんにあったヒノキの木からまっすぐな棒を折り取って貰い、アムリタンZをちびちび飲みつつ、……ねんがんの!聖剣ヒノキボルグを作ったぁ!三本くらい作っておいた。一本はシエラにあげる。そこに求めたのは硬さ、ただひたすら硬さである。あと振ると光る。さらに!振ると先端から風の刃が飛ぶ。カマイタチな感じである。スパスパいくのは怖いので実際に飛ぶのは空気の塊みたいなものである。二本を私の前方にクロスさせて浮かせる。念動で動く状態である。フフフ、今宵のヒノキボルグは血に飢えておる。要塞は進軍を開始した。
盾の上に女の子座りしながら進んでいる。別にあざとくポイントを稼いでるわけではなく、面に対して安定だからである。厳ついデューク東郷みたいなスナイパーでさえ、地面に座して狙撃するときは女の子座りするんやで~。……たぶんな!
獲物によっては片足を女の子座りで脚を後ろに、もう片足を前に三角で立てて銃を持った腕を膝の上に乗せるパンモロ撃ちの構えもあるよ。立て膝の安定感、反動をがっぷり受け止める女の子の脚、サバゲーで向かい合う相手の思考力を一瞬奪うパンモロ、究極の構えである。もし履いてなかったら?死ななきゃ安い。なーに、目撃者は消せば良い。いいね?
……わ、私はちゃんと脚閉じてるし。履いてるし~。
そんな事を考えながら進軍してると第一豚人発見。が、既にシエラに首を撥ねられた後だった。音速を超えていたんだろう。達磨落としの要領で撥ねられた首の断面が綺麗だった。だばーっと血が出ている。死体を回収しながら進もうと思っていたが躊躇う。後でまとめて血を抜けばいい事に気づき、一旦時空アイテムボックスに念動で豚肉をしまう。
集落にいくとそこは屠殺場になっていた。広場の様に開けた場所で、血塗れの棒キレ片手にシエラが待っていた。
こっちを見ている。あっあっ、怖い。
豚さんの悲鳴も聞こえなかったな……速すぎ怖すぎワロエナイ。
「お嬢様、この棒、良い武器ですね。軽い、硬い、壊れない。素晴らしいです」
シエラはあれだな、鉄の剣で敵をミンチにしつつ、素手の方が早い、とか言ってボロクソになった剣を捨てるタイプだ。
オークの死体を回収して回る。良く分からん宝物?ゴミ山も回収する。捕虜は居なかった。あったら依頼が近隣から出るだろうし当然か。
人間の死体はあった。山賊らしいのが三人である。死後一か月ってところかな。一緒に回収する。心配になって来たのでかなり広い範囲の探知魔法を発動する。野生動物、ゴブリン、ウルフ、スライム、村の人も補足してしまったか。…大丈夫そうだな。
川まで引き返して、豚を逆さ吊りにして川の上に浮かせて血抜きを10分ほどする。空間アイテムボックスに入れてたら血がグチャドパしてたところだったな。と考えつつ数えてみると22匹、全員成体のオスであった。首の無い二足歩行の茶褐色のでかい豚が22匹も逆さに万歳をしながら川の上で空中浮遊しつつ血を流すという地獄の光景であった。一見すると完全にそういう邪神の召喚方法である。
今回の戦利品を先ほど新調した空間アイテムボックスに詰めなおす。ちなみに入れる物が、入れ物の口より大きくても収容できる。押し付けるとシュッと入る。シエラはヒノキボルグを川でバチャバチャと洗っていた。振り向きざまにシュッと水を払う動作が、ヒノキの棒切れなのに実に堂に入っている。見える木々に衝撃波が叩きつけられていた。
うっ、シエラ見た時にちびってる……。女の子座りしてたから咄嗟にぎゅって出来なくてさぁ。
対岸に渡り、今度は両方の座標が分かっているので転移門を生成して手早く帰る。
さてさっさと報告にいくか。はい、さっきの受付嬢の前です。
「ぶたさん、やっつけてきたよ~」
「え~、流石に早すぎですよ。…3時間しか経ってないじゃないですか!街の中で飛ぶのは申請が無いとダメなんですよ?飛ぶと下からパンツ見えちゃうんですよ?わかってます?」
「パンツなんて見えてないもん!」
そーやってちょっとちびったくらいでさぁ、はぁ~ちゃんとトイレ行ける幼女だぞ。まずはそれ褒めなくちゃ。もーやな女!
ママはちゃんとやってくれるもん!シエラは、たぶんやってくれるもん!
グダグダやってギルドの奥の解体場兼倉庫までやってきた。戦利品を出す為だ。中がかなり広い建物で、町工場の様になっている。離れでは何かの魔物が解体されている。
「じゃあ、ここにお願いします」
オークだった肉、盗賊の亡骸、ゴミ山を出す。
「話には聞いてたけど、確かに」
説明はシエラがした。元、いや今でも冒険者か、慣れていた様でテキパキと説明していた。
「お疲れさまでした、こちらが依頼達成報酬と討伐報酬、素材売却報酬、特別手当となります。お確かめください」
特別手当というのは、依頼に含まれないがギルドに利する仕事をした対価としての報酬である。今回で言うとオークの殲滅、盗賊の死体の回収、ゴミ山の回収、偵察以上の情報提供などがこれにあたる。たぶんどんぶり勘定だと思うけど。合計で白金貨122枚になった。オークの解体手間賃は抜いてある。これでも安い方だと思う。
未探査討伐依頼なら300枚くらい行くだろうな。未探査討伐というのは、『ここにドラゴンが住んでいるらしいから殲滅してきて』という感じの、死亡フラグ乱立の依頼の事である。前金が欲しいような鉄砲玉依頼です。
今回のケースでは、順当に処理するならば、偵察依頼にオークと遭遇しても撤退戦ができるだけのパーティを使い所要期間は3日~1週間くらいか、報酬に白金貨20枚前後。情報が不足と思われる時は、もっと手練れをまた送り込むことになるだろう。敵の情報が粗方判明したら、次に討伐隊を編成して殲滅しに行かなければならない。「数十体程居て、集落を形成している。」ということでそれを掃討できる戦力がもちろん必要である。奇襲であっても対オーク数十体だと死人が出やすいと言える。白金貨を一人あたり30-50枚は欲しいと思う。
素材を全部売却したとして、ギルドからの払いは白金貨で300-500枚くらいになったんじゃなかろうか。時間も人件費もかかって、である。
ちなみに、白金貨10枚=ミスリル貨1枚 ミスリル貨10枚=アダマン貨1枚 なので それぞれ大きくして受け取る。どちらの貨幣も精巧な造りをしていて魔法刻印がしてあり、大きい所でしか扱ってない。貨幣というか小切手に近い代物だ。
受付嬢と別れ帰路へつく受付嬢は分かれてすぐに階段を昇って行ったのが見えた。オークのこと、それよりも盗賊…山賊か、それらについて情報をギルマスに挙げにいったんだろう。
せっかくなので、取り置きしておいた串焼きはそのままに、帰りに串焼きを2本買い食いして学園へと戻った。
塔に帰ってきて。
「しえら、わたしトイレいきたい」
ふいぃ、……え、なに。シエラは新しいパンツを出してきた。
「べつにわたっ…」
気づいたらパンツが交換されていた。言い訳も、イヤイヤする動作もまるで意味が無い。くっ、わたしはなんて無力なんだ。なすがままにパンツを交換されてしまうか弱い存在なのだ。
「ん?」
1/64フレームくらいシエラが変態みたいに私のパンツの臭いをがっつり嗅いでいたイメージが見えた様なきがしたが、気のせいだろうと思ったが、なんかもう一回嗅いだような?
「……お嬢様、お手を洗いましょう」
この仏頂面、いつも通りのシエラだな。ん?このパターンは……でもわたしは考えるのを止めた。それ以上は誰も幸せにならない気がしたのだ。
自分で読んでて面白いんですが、みなさんにはどうなんでしょうかw
ご意見ご感想等々ありましたらどうぞ~




