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ピアレスアドベンチャー  作者: 竜夜
序章 物語の始まり編
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僕だけ魔力0

やっと異世界での話が少し書けました。

 気がついたとき僕らは見たこと無いような場所に立っていた。


 見上げると天井を覆うステンドグラスが陽光を神秘的に散乱させ左右の壁には壮大な抽象画が彫りぬかれている。振り返ると祈りをささげるようなポーズの少女像がある。僕らは地面から幾段かの階段がある正方形の台の上にいた。四隅の燭台に火がともされ祭壇という表現がしっくりくる。


 目の前には大勢の人が祈りを捧げるようなポーズで膝まずいている。


 訳が分からず困惑していると、他の人よりもいくらか風格があり格好も豪華な金髪碧眼の壮年の男と神官のような格好の銀髪の女性が進み出てきた。そして金髪の男が僕らに向かって問う。


「もしかして、あなた方は神の使徒ですか?」


 うん、意味不明。


「え、え~と、その・・・・」


 教員の一人が代表になって答えようとするが、何しろ初対面でいきなり神の使徒ですか?だ。なんと答えたらいいか分からないだろうな。


 新たな困惑に陥る僕らの中から、生徒の中では人一倍カリスマ性とリーダーシップのある男、一之瀬優真が前に出る。そして胸に手を当て、大仰な仕草でこう叫んだ。


「そうです。我らは神に遣わされし者です。」


 オーと、人々の間にざわめきが走る。なに言ってんのこいつ。僕らはそんな大層なものじゃないだろ。


「い、一之瀬くん!?」


 先生も同じことを思ったようで、いきなりの一之瀬の奇行に驚いている。


 そんな先生の耳に一之瀬は口を寄せて小声で答える。


「この意味不明な状況の中、俺達が頼れるのはこの人たちだけです。ここは話を合わせましょう。」


 言ってること分かるけどすぐばれるだろ。考えろよ。




 僕らは神の使徒ととして歓迎され先程の神殿から近くの王城に招かれた。ドラマでたまに見る金持ちの家にあるようなものすごく長い机を囲んで待っていると10分ほどで豪勢な料理が運ばれ来る。


 暫くしてさっきの壮年の男が占いに使う水晶みたいなのをもって現れた。傍らには銀髪の神官女もいる。


「先ほどは突然の事態に戸惑ってしまい大変失礼しました。セルド・エルシアナと申します。僭越ながらこのエルシアナの君主を務めております。以後お見知りおきを。あり合わせで申し訳ありませんが我々からのささやかな心遣いです。どうぞご自由に召し上がってください。」

「セラです。セレス教会エルシアナ支部の大司教を務めています。」


 金髪の男が名乗る。君主だというのに随分と慇懃な態度だ。


 続いて銀髪の神官女が簡素に自己紹介した。セラとだけ名乗ったがその宗教は役職に就く際に姓を捨てる決まりでもあるのだろうか。


「お食事しながらで構いませんが、皆さんの魔力を測らせてください。神の使徒のお力を疑うわけではありませんがある程度はお力を把握しておきたいもので。」


 セルドは水晶を置き、ゴマをするように手をもみもみさせながら言ってきた。だんだんこの丁寧さがうさん臭く感じてきた。


 僕らは数秒顔を見合わせた後、


「よし、まず俺からやってやるよ」


 速水先輩が半袖なのにうでまくりをしながら立ち上がった。あんた魔力なんて使えるのか!?。


 と思ったら案外出来るものらしく、速水先輩が水晶に手をかざして力をこめると水晶は濃い緑色の光を放つ。汚ない色だ。


「さすがは神の使徒。我々とは桁が違いますか。」


 セルドさんは若干苦笑いぎみにそう呟いた。どうやら速水先輩の魔力はすごいらしい。


 速水先輩が出来たことで勢いづいた生徒たちが次々と水晶に手をかざしては水晶が強く発光する。特に一之瀬の魔力はすさまじくてちょっとした閃光手榴弾みたいになってた。


 いつのまにか座ってる順番という暗黙の了解ができ、隅っこの方に座っていた静乃が一之瀬ほどでないにせよそれなりに強く水晶を光らせて、本当の端っこに座っていた僕の番がきた。


 僕はこれまでみんなのを見た感じから適当にやってればそれなりに光るだろうと水晶に手をかざす。しかしいっこうに水晶は光らない。ウーンおかしいな?


「先輩、もっと自分の内側から力を汲み出す感じでやるんです。」


 暫くして見かねた静乃がコツを教えに来た。僕は言われた通りにやってみるけど全然水晶は光らない。その後何回か静乃のアドバイスを受けながら色々試し、最後には両手を鶴のように広げ片膝をあげながら「アチョォォォーー」とか言ってみたけどダメだった。


 そこから導き出せる答えは一つ。


「僕、魔力ないみたいだ。」


 しばらくの沈黙。そして、


「ぎゃははは!如月、お前魔力ないの?可哀想だな。お前だけ神に見放されてんじゃねぇの?まあ安心しろ。お前の分もこの俺が頑張ってやるからよ。」

「ちょっと何言ってるんですか!先輩だけ魔力がないなんてあり得ません。先輩、僕もお手伝いするんでなんとか魔力を絞り出しましょう。」


 まず、沈黙を破ったのは速水先輩。次に静乃が対抗するように僕に無茶ぶりをして来た。無いもんはないんだって。


 次に一之瀬が歩み寄ってきて、僕と水晶を一瞬ずつ見たあと、


「フッ。」


 あ、こいつ今鼻で笑った。

お読み下さりありがとうございます。次回もよろしくお願いします。

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