プロローグ2
今回はちょっと長めにしたつもりです。
スイマセン、まだ異世界行きません。
翌日、成田空港にて。
僕は集合時間の30分前に来るという優等生ぶりを発揮したのにそこには既に先客がいた。
「あ、先輩、おはようございます。」
僕が少し近づくと向こうはペコリとお辞儀をして礼儀正しく挨拶をしてきた。まだ30メートル位距離があるのに。
この距離で相手に聞こえるように挨拶しようと思えばそれなりに大きな声を出さないといけない。実際アイツのでかい声に空港にいる人の3人に1人位が注目している。
僕は一瞬、他人のふりをしようかと本気で考えたが、アイツが声をかけてくるだろうから無理だしむしろややこしくなるだけなのでやめた。
でも僕まで大声を出したくはないので小走りで近づいてから声をかける。
「よ、静乃、早いな。僕もだいぶ早く来たつもりなんだけど。」
「はい、僕は方向音痴なんで早めに家を出たら案外迷わなくて早くついちゃったんです。」
「ふーん、ちなみになにできたの?」
「タクシーを喚びました。」
「それなら百パーセント迷わないことに気づけ。」
「はっ、確かに。」
僕の指摘にこいつは本気で驚いた顔をする。本気で気づいてなかったのかよ。
こいつの名前は結城静乃。小柄な体躯からは可愛らしい雰囲気だが、ポニーテールに結わえられた髪と引き締まったスレンダーな肢体からは活発な印象を受ける。珍しく僕っ娘キャラが似合うタイプの美少女だ。
それなりに優秀なんだがどこか抜けてるところがある。頭はいいのにテストでは毎回どれか一つは名前を書き忘れて0点になるからそこそこの成績にしかならない。逆に言えば一科目0点になってもそこそこの成績を維持できる静乃はすごいのだろう。頭がいいのか悪いのか分からん奴だ。
4月の半ばにチンピラから助けて以来やけに僕を尊敬している。僕も、気兼ねなく話せる数少ない女子であること、低身長と若干女の子みたいな顔つきのせいでなかなか先輩扱いされない僕を先輩扱いしてくれる貴重な後輩であること、そして何より僕より身長が低いことから特に可愛がってやってる。
それにしてもなんで静乃は僕にきづいたんだろう?背後から近づいた筈だし、家にいるときはなにもなくてもフミ姉が唐突に襲撃してくるので無意識のうちに気配を消す癖がついてしまってる筈なのに。もし僕の気配遮断に欠点があるなら、そしてそれをフミ姉に看破されたら襲撃の頻度が高まるだろう。そうなれば命に関わる問題なので結構切実に気になる。なのでその辺りを訪ねてみると、
「なんとなく、先輩が来た気がしたんで。」
と、非常になおざりなこたえがかえってきた。いや、なおざり見えて静乃は結構本気で答えてるらしい。なんかこれまでにもそんなことがあった気がするし、こいつのテレパシー的な能力ってことで納得しておこう。
僕たちは集合時間よりだいぶ早く来たのでまだ引率の教員すら来ていない。なので二人で会話するくらいしかやることはない。
会話といえば兵器か戦闘なフミ姉や、母親の性か未だに僕を子供扱いする母さんとは違って、趣味もそれなりに合うし天然ボケな所もある静乃となら話していて普通に楽しい。なんかこうして二人で並んで話してるとカップルみたいだな。そう思ったので、
「なんかこうして二人で並んで話してるとカップルみたいだな。」
と、思ったことを口に出すと、
「ふぇぇ、そんな、カップルだなんて…」
静乃は予想外に狼狽えた。まあ、こいつがかなりウブなのは知ってたけど、なんとなく傷つくな、その反応。
10分ほど経って3人の引率の教員が来て、そこから更に5分ほどしたらチラホラと研修旅行に参加する生徒たちも来はじめる。
そうなれば当然、僕らに声をかける生徒もいる。僕、ボッチじゃないし。
そのなかでも特に僕がうざいと感じ・・・印象に残ったものをピックアップしよう。
エントリーナンバー1番、チンピラっぽいのに地味に真面目な先輩方。
「よぉ、如月久しぶりだな。」
「あれ?昨日会いませんでした?」
「お前はノリってもんが分からねぇのかよ。ソコは一度ボロ負けしたライバルに久々にあった少年漫画の主人公のように、久しぶりだなでいいだろ!!」
なに言ってんだよ。て言うか僕が主人公でいいのかよ。
と、突っ込みどころ満載な挨拶をしてきたのは、3年の速水毅。去年までは不良だったひとだ。
パット見は女の子みたいで弱そうな僕から金をたかろうとして返り討ちにあい、それ以来、僕に対抗しようとして真面目に勉強して成績をあげ、授業にもちゃんと出るようになったらしい。いやぁ、努力の方向を間違えない人でほんとに良かった。
というわけで僕は図らずもヤンキー更正させたのだ。速水先輩の母親や、担任の教師にはものすごく感謝された。僕はなにもしてないけど。
ただ僕にライバル心でも持っているのかこうしてことあるごとに謎な突っかかりをしてくる。
そして速水先輩の後ろには、子分っぽい感じの男子が立っていた。茶道部の健堂と剣道部の佐藤というややこしい、二人だ。本名は健堂櫂と佐藤翔太。聞く話によると二人は小学校時代からの親友らしい。
厨二が入っている速水先輩とは違いこの二人は普通に冷やかしてくる。
「よぉ、如月、朝っぱらから彼女連れていいご身分だな。」
「けっ、若くして童貞卒業ってか。」
前言撤回、この人達も充分意味不明だ。
それはともかく、彼女と誤解されたままだと静乃はが可哀想なのでそこはきっぱり否定しておこう。
「ああ、こいつは…」
「ち、ち、ち、違います!私と先輩はそんななかじゃありません!」
と、思ったら静乃に先を越された。分かっちゃいたけどそこまで全力で拒否られると傷つくな。男として。
お読み下さりありがとうございます。プロローグに何話かけるんだよと思われた方本当にスイマセン。次回には必ずプロローグを終わらせたいと思いますので、飽きずに読んでくださるとありがたいです。




