表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

著者 フォード・ナイガード

これは私が全力を尽くして積み上げてきた職を手放し、自由気ままに生きていたときの日記をもとに書いた話である。私は交際している女性もいなければ、友人と呼べる者すらいなかった。金ばかり持て余しやることがない。どこにいても同じ、ならどこへでも行けると思った私は数々の街を転々としてきた。その中で私の人生を大きく変えることになった2006年の田舎町での話である。


「すみません、ここらで一番安い住宅はどこですか?」

「少々お待ちください」長い髪を揺らしながら女性は下へ引っ込んでいった。

「こちらでございます。アパートもございますが、もうそろそろで築古と言える程です。ですのでアパートよりも住み込みの仕事の方を皆さんよく選んでいかれます」

「どんな仕事です?」

「今ですと、新聞配達か海辺の宿の仕事か探偵のほうですかね」

「なるほど、探偵について少し詳しく聞きたい。どのようなかたですか?」

「長らく一人で働いております不思議な方です。この町では困ったことがあるとそこへ相談しに行く人も少なくありません、腕がものすごく良いのでね。ぜひ一度お話を伺って見てはいかがです?」

「ぜひそうさせていただきたいです」

 彼女は紙に住所を書き留めると私に教えてくれた。「そこに行ってもいないかもしれませんよ。彼、この町を離れていることのほうが多いですから」

私は感謝を伝えまっすぐその住所に向かった。でも、あたりはもう暗くなりかけていて、星がちらちらし始めた時間だったので、危うく道に迷いかけたすえ断念した。とりあえず海辺の宿で一泊し、朝食に海鮮を堪能したあとすぐに行ったみた。

 昨日はたどり着けなかった道の終わりに大きな二階建ての家があった。ノックをしてみると中から声がした。

「どうぞお上がりください」

言われたとおり中へ入ると玄関の前にある階段から二段とばしで男が降りてきた。私より10センチ程高いかと思われる黒髪の細身の男優しく招き入れてくれた。

「荷物はその棚の上にどうぞ。何かお困りごとで?」

「いえ、ここで住み込みの仕事をやりたいと思っていて…」

「ほう! それは珍しいお客様だね。お名前は?」

「フォード・ナイガードです」

「ナイガード君よくおいでになった。僕は新しい事件を頼まれているんだ、ぜひ手伝ってもらおうかな」彼はすぐに奥の居間へ案内してくれた。「さぁそこの椅子に腰をかけてくれたまえ、僕の名はクリストファー・フォーサイス、簡単にクリストファーと呼んでくれ」彼は棚に手を伸ばし腕いっぱいに書類を抱え始めた。探偵といえばもっと秘密めいたものだと思っていたがずっとにこにこしているクリストファーはまるでごっこ遊びを楽しむ子供のようにまで見えてきていた。

「金髪混じりの君を見れば僕の好きな物語の人物を思い出させるよ」

「それは私にとって嬉しいことばだね」

笑いながらクリストファーは手の中にあった書類やら新聞やらを目の前の机にぶちまけた。

「この家には良い話が入ってくるほうが珍しいですよ? 少なくとの数カ月はここにとどまっていただきたい。衣食住は僕が保証するからね」

「それなら何でもお手伝いさせていただきます」

 クリストファーは咳払いをした。「さっそく事件の話をさせてもらおう。この写真を見てわかるように男女。一組の恋人が殺された。男のアルバートと女のローズはそれぞれの自宅で発見者が来る頃には冷たくなっていた。二人とも抵抗したあとはない。ということは油断したすきにやったか近づいても警戒されない人かになるわけだ」

「なるほど」

「事件が起こったのは昨日の夜で、一日中つよい雨の降っていて視界がかなり悪かったらしい。男の部屋から出てきたのはローズ宛の手紙とタバコの吸い殻だけ。女の方はいろんなアクセサリーと出かけて買ってきたと思われる本と菓子ぐらいだった。僕はそこに行ったわけじゃないから詳しいことはこれからだが、被害者と知り合いの警察から聞いたことだから知っていること全て話してくれたと思う。

 それと面白いことに女のお友達がその夜三名やってきてね、警察より先に犯人が知りたいからと僕のところに来ていろいろ言いたい放題して満足したら帰っていったんだ。ちょいと聞いてくれ」

「もちろんだ」

「被害者の男には二児の母をしている二つ上の姉ベティがいる。そして女の方には三つ上のよくできた兄のヘンリー。お友達はこの二人のうちのどちらかが犯人だと言い争っていたんだ。緑の髪飾りをしたエリカは兄がやったと言っていた。理由をきくと感情任せに話してくれた。

『兄はいつも笑顔で楽しそうなローズを憎んでいらしたのよ。きっと自分より先に結婚した二人が許せなかったのよ!』

『アルバートさんとローズさんはいつご結婚されたのですか?』

『去年結婚したばかりよ、なのにこんな仕打ちないわ』

対立の姉派、きれいな服を身にまとったディアナは黙ってはいなかったね。

『姉のベティのほうが怪しいわ、いつもコソコソしていてここ一週間ほとんど家を留守にしているじゃありませんか。今頃逃げているのよ』

『二児の母ですよね?』

『そうよ。でも夫は働き詰めで家にはいないのだから、子供に旅行とでも嘘をつけばどこへでも逃げられるわ』

『そうですね…二人はそれぞれ違う家で亡くなったとおききしましたが、一緒にお住まいではなかったのですね?』

僕はどちらにも属さない長い金髪のチェルシーとやらに向けて質問していたかもしれないな。でもそれだけ落ち着きをはらった冷静な方だった。

『そろそろ一緒に暮らせるとローズの方は私たちに喜んで知らせにまいりましたわ。つい先月のことですの。ローズとは長い付き合いですので彼女の喜びは私のものとまで感じていました。それに二人とも家族とはとてもいい関係を築いていると私は思いますね』

『あなたは兄も姉もやっていないと申すのですね?』

『ええ、そうです』

こんな会話をしている間も後ろのニ人は口が止まることなく言いたい放題だったよ。僕はチェルシーのいうとおりの場合だったら誰がなんのためにと考えるのに必死だったけどね」

「これがすべてですか?」

「そうだ。今のところはね」

 クリストファーは事件のまとめられたきれいなノートの一ページを右にきて見せてくれた。「こんな死体とタバコやら本やら食べ物やらの写真だけじゃ僕は事件をファンタジーに想像することしかできないよ。今すぐ準備したまえ。町をすぐに出てこの家と警察署まで飛んで行くぞ」

「いますぐに?」

「もちろんさ。何も持たなくていい」

車の助手席に半ば強引に押し込まれると彼はすぐに車をかっとばした。もし私のつよい精神力と体を持っていなかったら車の中が爆音の音楽と共に大惨事になるところだった。やっと町外れの一角に止まったときの私といえば感情がまるっきりそのまま顔に出ていただろう。

二人三脚

最後まで書きます絶対

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ