生と死の大会.4
朝までゆっくり休んでやれるだけやってみますか。
朝になり準備も万端だ。体調も良好だし後は気合だな。
「さて行くか。」
俺は部屋を出て歩いて闘技場へと向かった。
そこまで遠い距離じゃないけど変に緊張するせいか感覚的に長く感じるな。
いや、っていうか俺が無意識にゆっくりと歩いてるせいかもしれん。
「はぁ。やっぱり前世で普通に生きてきたオッサンが転生していきなり戦うとかそりゃ覚悟しても緊張するし怖いわな。」
「ほう。君は転生者でしたか。」
「え!」
周りに人の気配がなかったせいもあり、つい独り言を言ってると後ろから聞き覚えのある声がして俺は焦ってすぐに振り返った。
「ギ、ギルド=リィン先生!」
(大会始まる前に何てタイミングだ。ここは何とか話しをはぐらかそう。)
「お、おはようございます。今日もいい天気ですね。試合前だっていうのにどうしてここに?」
「偶然ですよ。でも私の存在に気付かなかったなんて、よっぽど考え事をしていたんですね。」
「え、えぇ。まぁ。」
(そりゃ初めての経験だからな。)
「まぁ、キョウ君の実力なら大丈夫だと思いますし頑張って下さいね。」
「あ、はい。」
そう言うと、リィン先生はテクテクと俺とは反対の通路を歩きだした。
(あれ?てっきり俺の独り言が聞こえてたもんだと思ったんだが、もしかして気のせいか?)
っと、思ってたらリィン先生が背中を俺に向けたままの状態で立ち止まった。
「一つだけキョウ君限定でアドバイスです。転生者の特異属性者は今公けになるとこの世界全体から狙われる可能性もありますのであまりバレない様にして下さいね。」
(なっ!)
その一言を残してリィン先生は再びテクテクと歩いてあっという間に見えなくなった。
(何で俺が特異属性者って分かったんだ・・・。え?)
リィン先生のせいで試合よりも先生が何故「転生者」という言葉を知っているのかが気になるな。
落ち着いて考えたい所だが、試合に間に合わなくなる。
仕方ない。まずは試合を無事に終わらす事だけを考えよう。
俺はリィン先生との件を後回しにして試合の方に専念する事にして急ぎ足で競技場に向かった。
闘技場に着くとすでに全員が揃っていた。
「はぁはぁ。」
(つ、疲れた。試合前に何でこんなに体力を使わなきゃならないんだ。)
「時間になりました!これより本大会を開始します!試合に出る生徒は各クラスの控室へと移動して下さい!」




