生と死の大会.1
さぁここからが本番の試合だな。
「キョウ君、こっち。」
ペンの呼んでいる方を見てみるとすでにSクラスの生徒とAクラスの生徒が待機している。
っが、さっきよりも全員が緊張した感じで真剣な表情そのものだな。
もちろん先に競技場にいたDクラスの俺以外のメンバーもだ。
(まだ若いのにこんな真剣な重い空気になるなんてどうしたんだ?)
とてつもなく気になったのでとりあえずペンに聞いてみる事にした。
「何だか、さっきの予選よりも空気が重いというか真剣な表情だね。」
っと、俺がペンに聞くとペンは「え・・・。」って感じの表情で俺に言ってきた。
「キョウ君、エメルド先輩から聞いてないの?」
「え?何も聞いてないけど。」
もしかして重要な内容なのか。
いや、三か月一緒にいて分かったがユナの性格上、重要な内容ならきちんと俺に共有してくれるはずだ。
「僕はベルド先輩に教えてもらったんだけど、これから始まる試合は予選とは違い命の危険性もあるみたい。」
命の危険性?って事は、死ぬ可能性があるって事なのか?
まさか命懸けで大会の試合をさせるなんて事はないと思うんだが。
しばらく色々考えてたら俺とペンの前に立っていたセナがボソリと話しかけてきた。
「二人共前を向いて。セリア様がこっちに来るわ。」
「あ、本当だ。」
(って、まさかセナもファンなのか・・・。様って言ったよな。様って・・・。)
ま、まぁいいか。冷静に考えるとセナも年頃の娘だし、そういう憧れもあるのは至極当然なのかもしれないな。
「予選通過生徒にSクラス、Aクラスの生徒・・・全員いますね。」
(ゾロゾロ)
「キョウ君、あっちからゾロゾロと先生達がこっちに来るね。」
っとペンが俺に言ってきた。
「本当だね。どうしたんだろう?」
っと、ペンに言葉を返したが、どう考えてもこれからが大会の本番だからだろうな。
それよりも俺的にはナッグ先生がいないのが気になるな。
大会前日の最終日に教室で会ったがそれ以降全く見ていない。
予選前に実は、範囲魔力感知を使ってナッグ先生を指定して探ってみたんだが見当たらない。
って事は単純に考えると学園の中にはいなくて外にいると言う訳だ。
ちなみに範囲魔力感知も三か月の鍛錬で、初めは違和感のある魔力感知を感じるだけだったが、探したい人物、物、空間等などを指定して探れる事もできる様になったんだなこれが。
まぁ魔力量が異なる特異属性者だからこそ、経った三か月でスキルの質を上げる事ができたってユナに言われたが、それに関しては俺も同感だ。
「今から始まる大会より新たなルールを設けさせてもらいます。またランダムによりSクラス、Aクラス、予選通過生徒の対戦を決めさせて頂き、後ろに見える画面に表示します。」
(ふむ。)
「さて諸君!こっちを向け!」
(この馬鹿デカイ声・・・ゲール=ゴーラン先生だったか?)
「以降の大会の審判を担当する事になった。」
(まぁ、別にそれはかまわんけど。)
まず何よりも予選と一体何が違うのか。どういったルールを設けるのか。
正直腹が減ったから早く話を終わらせて欲しい。
何故なら予選が終ってそのまま控室に行って、俺はもちろん他の生徒もおそらくだが昼食を食べていないいだろうからな。
「ルールの前に一つお前達に聞きたい。今から始める大会に参加するか否かだ。」
(はい?)
突然の言い回しに俺は頭の中が「?」って感じで理解が追い付かない状態になってしまった。




