陽と陰.5
ミコトから陽と陰についての話を聞きました。
話によるとこうだ。
・五行属性は陽と陰の二つで構成されており、陽のタイプの属性者と陰のタイプの属性者が存在する。
・陽のタイプは、炎、水、風の五行属性者。陰のタイプは雷、土の五行属性者である。
・陽の属性を持つ者は陰の属性を使用できない。その逆も然り。
・特異属性者にも陽と陰が存在するが、特異属性者は通常とは異なる。
だそうだ。
とまぁ、教えてくれたのはいいが、一つ気になるよな。
特異属性者は通常とは異なるってどういう事だ?
今ミコトに聞きたいけど、どうせ面倒くさがる可能性もあるよな。
ただ、今は前とは違いナッグ先生もいる訳だし、ダメ元で聞いてみるかな。
「なぁ、一つ気になってるんだけど特異属性者が通常とは異なるってどういう意味だ?」
俺がミコトにそう聞いてみると、ミコトはグイーっと俺に近づいてきて俺に言った。
「特異属性者に限り、陽と陰が揃う時その属性は完全になるんじゃ。」
(ん?冷静に聞いたけど、意味が分からん・・・)
「お?珍しく何も言い返さんの?もしかして今のを聞いて驚いたか?フフフ。」
(いやマジで理解できていないだけだって・・・)
「いや、意味が分からん。」
あ、しまった。ミコトがすごくシュンって不満な顔になってしまった。
コイツ、顔は美女なのに、感じがこれだから、何だかなぁ。
「ふむ。」
ちょっと、面倒くさそうな顔になってきたのがすごくよく分かる。
っていうか、先生も何か言えよ。ミコトが現れてからメチャクチャ大人しい人だなおい。
「はぁ。仕方ないの。例えばお前の特異属性の五行紋が陽の属性としよう。すると、この世界ではキョウの属性だけが陽なのじゃ。」
その言葉を聞いて俺はやっと理解した。
「なるほどな、意味が分かった。」
ミコトは言いたいのはこうだろう。
俺の五行紋は「全」の特異属性。そして闘技場での手合わせで俺は雷属性を使用できなかった。
だが、炎や水のスキルは使える。
それを踏まえると俺は陽の特異属性者だって事だろう。
さらには、「全」の特異属性者で陽のタイプはこの世界で俺だけだって事だ。
だがそれなら、この世界のどこかに同じ「全」の特異属性を持つ陰のタイプが存在するって事だ。
俺とその人物が揃えば「全」の属性は陽と陰の対極が揃い完全な「全」になるって事だろうな。
(まぁ、ミコトの言葉からの俺の推測だから合ってるかは分からんけど。)
とりあえず俺はミコトに俺の推測で考えた事を話してみた。
「おぉ!その通りじゃ!相変わらず理解力があるの!」
「理解力があるかないかは俺自身分からないけど、合ってるならよかった。」
あとは、ナッグ先生の件だ。
俺はミコトにナッグ先生の事も聞いてみた。
「なぁ、さっき俺がナッグ先生に何者か聞いた時、答えれないってミコトは言ったよな?何でだ?」
俺的には現状一番気になってる部分だからな。
ミコトはナッグの方へ寄り添い、頭をナデナデしながら言った。
「それはの、私との契約があるからじゃ。」
「契約?」
「もう分かると思うがナッグは転生者・・・そうキョウと同じ世界から転生した人物じゃ。」
「ナッグよ、私がいる間だけ契約を一時的に解除したから、喋っても大丈夫じゃぞ。」
「有難うございます。ミコト様。」
ようやくナッグ先生から話がまともに聞けるって訳だ。




