転生者ナッグ.1
さて、ミコトとナッグ先生との契約詳細に関しては不明だが、そこは俺が割り込んで自分から聞く訳にもいかない訳で。
メッチャ気になるけど、あえて黙ってとりあえずナッグ先生の話を聞いてみようか。
「ふう。そうだね。どこから話そうか・・・。」
(いや、そんな深刻な表情にならなくてもいいと思うんだけど・・・)
「僕の前世での名前は、義堂与一、享年25歳。僕がこの世界に転生する前のキョウ君と同じ世界にいた時は、日本が戦争に敗れてやっと落ち着いてきた頃だったかな。」
「え・・・。」
(かなり昭和の人って事じゃんよ。ある意味レアな状況だぞこれ。)
「戦争が終わったけど、街々は粉々で僕達も食べる物も満足にない状態でね。生きるのに精一杯だった。正直、悪い事もたくさんしてきたよ。」
ふむ。俺はその時代の人間ではないから実際にどれだけ苦しかったとか分からないけど、悲惨だったってのは分かる。
「キョウ君の転生する前の時代じゃ考えられないくらいだと思うよ。君の生きていた時代のホームレスの方がまだマシだったんだと思える程にね。とにかく生きるのに必死である日、僕は東京のある組の人間の女から金を奪い、殺してしまったんだ。」
「・・・・。」
「その時代は、日本の刑も色々軽視されてたし厳しくもなかった。戦争が終わった後だから、人が亡くなった状態でそこら辺にいても誰も気に止めない状況だったからね。悪人には持ってこいの状況だっただろうね。」
ナッグ先生の話はさらに続いた。
「だが、長くは続かなかったよ。僕が20歳なる頃かな。少しだけ街も復旧しつつ、天皇様は助けてくれないと理解したんだ。その時僕はこの戦争に敗れた日本なんて無くなって当然だと考え、自分なりにアメリカ軍が開発したのに近い原子爆弾を作る事ができたんだ。」
(うん?原子爆弾?そんなに早く簡単に作れるのか?)
「えっと、爆弾ってそんなに早く作れるものなんですか?」
「ちょっと語弊があったかな。悲惨な目に合わせた日本の上の奴らに復讐したくて自分なりに色々調べたり、色々な所から情報を集めたりして材料を集めたりしてね。実際に出来上がったのは25歳くらいなんだよね。」
「え、もしかして亡くなった原因って原子爆弾が関係してるとか?」
「ハハ。実はそうなんだ。25歳になった頃には日本もだいたいよくなってきてね。と言っても憎い気持ちだけはどうしようもなく実行しようとしたんだけど、僕が作った原子爆弾が持ち歩ける重さじゃなくて、台車で運んでたら運悪く警官隊に発見されてしまってね。逃げてる内に拳銃で撃たれてお陀仏さ。」
なるほどな。
様は、最初はアメリカを憎んでたけど、20歳の頃に日本を恨む様になって、そこから25歳に爆弾を完成させたけど、運んでる最中に警察に見つかって銃殺されてしまったって訳か。
まぁ、俺のいた前世の時代でもテロ行為や国に反旗を翻す人間は死刑が当然みたいな感じだったしな。
ってか、改めて考えると、ナッグ先生の前世の時ってかなり恐ろしい人だったんだなぁ。
同じ転生者じゃなければまず関わりを持つ事はなかっただろうな。
(あれ?そういえば契約がどうこうとか言ってたな。)
契約内容を俺が聞くのも野暮かとも思ったけど、正直気にもなる。
って事で、俺はあえてナッグ先生に聞いてみる事にした。




