陽と陰.4
ナッグ先生の口から、あり得ない言葉が聞こえた気がしたんですけども・・・。
っと先生は俺にある物を見せてきた。
「え!」
先生が俺に見せてきたのはどこからどう見ても、前世で生きてきた風景写真だった。
俺がいた時代よりも古い感じだが、間違いなく日本の風景だ。
だけど、おかしいだろ。何でこの人がこの写真を持ってるのか・・・。
っと冷静に俺は考えた訳だ。
ただ一つ気になってるのは先生のさっきの言葉だ。
「コンクリート」っていう言葉。
この世界にコンクリートという名前の物質は存在しないって事だろうか。
もし存在しないとして、何故ナッグ先生は知ってるんだ?
どういう事だ?意味が分からん。
これは本人に直接聞くしかないな。
「ナッグ先生、教えて下さい。貴方は一体何者なんですか。」
「・・・・・」
どうした?さっきまでのテンションはどこに行ったんだろう。
(いやマジ喋ってくれよ。話が進まん)
「残念ながら、ナッグは自分から答える事ができんのじゃ。」
「ん?」
はて、後ろからどこかで聞いた感じの声が・・・。
俺は声のする方をゆっくりと向いた。
「あ、ミ、ミコト!」
さすがにかなり驚いた。
声がしたと思ったら普通に俺の真後ろにいるし。
神様だからいつでもどこでも自由ってか。
正直、幽霊より達が悪いぞ。怖いわ。
まぁ、だけどミコトが現れた時点で俺の中でナッグ先生の正体が分かった気がする。
「恭一・・・いやキョウよ。久々じゃの。元気じゃったか?」
「いやいやいや、久々って事でもないだろ。」
(いやマジで)
「とりあえず、ミコトが出てきたって事はナッグ先生も転生者って事でいいのか?」
「まぁ、そうじゃな。」
(ふ、やはりな)
「だろうとは思ったけど、何でナッグ先生から答える事ができないんだ?」
「ふむ、それには陽と陰について説明しなくてはな。」
「いやそれはさっき聞いたぞ。ナッグ先生本人から。」
(何回も同じ内容は聞きたくないしな)
「あれだろ?五行属性は陽と陰の二つの性質で構成されていて、属性によってどちらかに分類されてって話だよな。」
「う~ん。」
ミコトが腕を組んで首を傾けた。
あれ?違うのか?
だが、確かに俺はついさっきナッグ先生から聞いた話だぞ。
意味わからん。
っと思ってたらミコトがナッグ先生の方を向いて話し出した。
「もしかして五行属性の陽と陰だけを教えたのか?ナッグよ。」
「はい。その通りです。ミコト様。」
先生は先程までのあっさりとした感じの喋り方ではなく、とても丁寧な話し方に変わった。
まぁ、ミコトは仮にも神様だしな。
それを考えるとミコトに対する俺って非常識すぎるかもしれないが・・・。
まぁ、今は13歳だしミコトが気にしてなさそうだし問題ないだろう。
とりあえず俺はそのまま二人の会話を聞く事にした。
「その言い回しじゃと、キョウは陽と陰の本当の意味を勘違いしてしまうぞ。お前はこの世界に転生してから長いから分かるじゃろが、特異属性者は特殊だと言う事をきちんと説明してやらんとな。」
「申し訳ありません。ただそれには理由がありまして。」
「なんじゃ?」
「実は先程までキョウ君が転生者なのか疑っていましたのでなかなか言い出せず。」
「いや・・・まぁそれは分かるがのぉ。」
俺が転生者か疑う?
まぁ俺が逆の立場ならもちろん同じ転生者だと考えても明確な証拠もないのに断定はできんからな。
疑うのは至極当然の事だ。
でも、現時点では俺が転生者だって事は分かっただろうし、早く陽と陰の事を教えて欲しいな。
(正直、腹も減ってるし・・・)
「まぁよい。私から説明しよう。」
(やっとか・・・)
そして俺はようやくミコト経由で陽と陰について話を聞く事ができた。




