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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
75/346

手の平の上

 空間魔法で城の中へと入る。

 一部は防犯の為、牢と同じ空間魔法阻害エリアとなっている。

 もちろん阻害エリアになっているのは王室だ。

 だが俺はそこに用があるため、わざわざ歩かねばならない。

 面倒だが仕方ない。

 何しに来たのかって? あれだよあれ、娘さんを僕に下さいって奴。

 うん。あながち間違ってない。

 

「久しぶりだな。初日依頼顔を合わせてないから10日振りか? グリオス国王」

「貴様は鑑定の……他勇者三名と一緒に行方不明になったと聞いていたが……」

「あぁ、無駄だ無駄。あんたが今考えてる捕縛方法は全部回避できる。あんたがマグオートを呼ぶよりも早く、俺は逃げ切ってみせるぞ?」


 日坂と共に居たという情報からそこまで辿り着くんだから大したもんだ。

 

「俺の鑑定には全てが見えている、お前の考えや過去なんかもな。優秀な兄と比べられて劣等感を抱き、兄を超そうと努力したが、その兄は超える前に病死。目標を失ったにも拘らず、立場は次期国王へ上がったのか。そして王妃とは……へぇ、以外にロマンチストなんだな」

「貴様っ!」

「ちょっとは信じて貰えたか? ああ、止めておけ。俺の前では策など意味をなさない。全て――俺の手の平の上だ」

「…………貴様、何が目的だ」

「うん、諦めは肝心だ。俺に目的なんか無い。妹たちが無事であればそれでいい。だが、国王。あんたの政権が崩れるのは俺としてはあまり嬉しくない」

「政権が崩れるだと……?」

「20日後、参謀リコリスが主導でクーデターを起こすつもりだ。主犯格に近衛騎士団副団長ダリアと宮廷魔術師筆頭サーシスが加わっている。現状、あんたの強力な手駒はマグオートだけだ」

「……それを信じろと言うのか?」

「信じろとは言わないさ。俺を100%信用したらあんたは俺の傀儡になる。むしろ信用するな。ただ、どちらが本当で(・・・・・・・)あったとしても(・・・・・・・)対応できるようにはして置け。20日後、マグオートは休暇の予定だろ? こっそり日にちずらして置いた方がいいぜ」


 王には死なれちゃ困る。

 それに王に騎士団長を張り付かせた方が、俺らが動きやすい。

 

「ああ、俺にとってクラスの奴らは人質に成り得ない。俺の大事な者は既に手の中にある。他は死にさえしなければそれで良い。ただでさえ戦闘員組から3人抜けたのに、魔王に対する戦力を減らすのは、そちらとしても望むところでは無いだろう?」

「……本当に手の平の上という訳か……」

「奴隷強化の日坂、後ついでにロータスとフィサリスも貰って行くが問題ないな?」

「厄介な者ばかりだ……」

「後――こいつもな」


 待機させていたラミウムを部屋に入らせる。

 

「ラミウム!? 貴様! 人質のつもりか!」

「人聞きの悪い事言わないでくれ。こいつが自ら俺の奴隷になる事を希望したんだ」

「氷河様のおっしゃる通りです、お父上。私はロータスと、そして氷河様と共に歩みます」

「ロータスっ! またあの男か!」

「お父上はリコリスに騙され、私の言葉を信用せず無実のロータスを牢へと入れた。私を信用しないお父上に対し、私も信用を置くなど不可能です」

「そういう事だから、ラミウムも貰って行くな?」

「…………『鑑定(極)』次の召喚がある際は迷わず牢にぶち込む様言い伝えよう!」

「止めておけ。牢に入れられると分かれば、知った事実をある事無い事言い喚きかけないぞ? その上で牢に入れて見かけ無くなれば勇者達に不信感がわく。『鑑定(極)』が再び現れた時は排除では無く、どうにか味方につけるよう誠意を示す事をお奨めする。こいつみたいにな……それじゃあ、お前の考えている捕縛策が実行されてなければ、また来るよ」

「『サンドボール』」「『ウインドボール』」


 王の放ったサンドボールをウインドボールで相殺した。

 

「速度、威力ともに申し分ないが、俺に不意打ちは通用しない。まあただの腹癒せみたいだけどな」

「……月島氷河……貴様の名前、覚えておこう」

「そいつは光栄だ」


 ラミウムを連れて王の部屋から出る。

 空間魔法阻害エリアを抜け、洞窟へと戻った。

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