増えました
「お願いします! 私のことを買ってください!」
「・・・」
反応に困ってしまう。
恐らく俺と同じようにして育ってきた俺と同じくらいの年の人だったら誰だって困ってしまうと思う。
何に困っているかって・・・それは目の前にいる三人の女の子の頼み事だ。
初めての出会いをやり直し、屋敷に帰り、いい雰囲気のまま屋敷で幸せな気分で一夜を明かし、そして朝が訪れた・・・ところで互いに冷静になって昨日のことを思い出し、赤面した。
そして朝餉を食べる前に、あまりの恥ずかしさから互いに目を合わせられないどころか、近くにいると思っただけでも心の臓が五月蠅くなってしまってしまうがために、景虎の命令によって草履取りになれと言う命令を撤回され、朝早くに長屋に帰って来た。
そして帰って来た長屋の前にいたのがこの三人だ。
話したいことがある、そう言われたからとりあえずと思って中に招き入れたのだが、いきなり女の子を三人も連れて帰ってきた俺を見た向日葵の攻撃をさんざんに受けた後、三人の中で一番年上と思われる女の子が最初に発した言葉、頼み事がこれだった。
「あれ、本当に貴久が垂らしたわけじゃなかった」
「だから、さっきからそう言っていただろうが」
散々なことを言ってくれた向日葵さんは、怒っているからという理由で、三人の話を聞こうと三人の正面に座った俺の膝の上に座り込んでいる。
「君たち・・・を、買ってくれということでいいのかな?」
とりあえず向日葵の相手をしていても話は進まないから女の子たちと話をしてみることにした。
「いえ、買っていただきたいのは私だけです。後ろの二人は私の妹達で、できることならこちらで働かせていただければと思います」
どうやら後ろにいるのは話している女の子の妹さんらしい。てことはこの三人は姉妹と言うことか。
「とりあえず、事情を聞こうか。今のところ君を買おうと言う気は全くないが」
早い段階で買う気がないことを言っておく。こうしておかないと後で話が景虎に伝わった時、あと今この時に向日葵が怖いからな。あとこうして買わないと言っておけば、どうしても買ってもらわないといけない理由があるのならそれを話すだろうしな。
「・・・お金に・・・困っていまして」
理由は単純にお金に困っているから、と。
「言いたくないのなら言わなくてもいいが、どうしてお金に困っているのか、それとそれは今俺が君を買うことで解決できいるくらいの金額で困っているのか、教えてくれないかな?」
「・・・」
これはどうやら言いにくいことらしい。
女の子、名前を聞いてしまうとずるずると買う流れになってしまいそうだから、話している女の子は長女と考えておこう。
「さっきも言ったように、無理に言ってもらわなくても構わない。ただし、その場合はもちろん君を買うことはできない」
これで言わずに立ち去ってくれればいいのだが・・・。
「・・・父が・・・亡くなりました」
答えられてしまった。
父が死んだ、恐らくはすでに母親も死んでしまっているのだろう。働けないだけとかならこの子は自分一人でここに来ただろうからな。
「父親が亡くなって、生きるために・・・いや、生かすために自分を買ってくれってことか?」
「はい」
自分はいいから、とにかく下の妹達を何とかしたい、そんなところだろうか?
まあたいそうな考えだとは思うが・・・何か働くとかそういうことでは解決できないものだろうか? それこそまずは「ここで働かせてください!」と言う神隠しにあった女の子と同じ言葉を叫んでみるとか。
「君はいきなり買ってくれと言ってきたが、君も含めて三人で働かせてくださいと言う考えはなかったのか?」
「・・・」
うーん、この考えを考え付かなかったからこの考えに驚いているとかそんな感じではない、なんかそうしなかった理由がちゃんとありそうな感じだ。
「何かそうしたくない理由があるのか?」
「・・・怒ったりしませんか? この答えで私を買わないと言う判断をしないと約束してくださいますか?」
それはつまり俺が機嫌を損ねる可能性のある解答と言うことだな、いいじゃないか聞こうじゃないか。
「約束しよう」
「・・・私よりも、妹たちの方が好みなのではないかと思いまして」
「犯人はお前か~~~」
「ひがうひがうひがう!」
とりあえず怪しい感じがしたから膝の上にいた向日葵のほっぺをみよ~んと伸ばしてみた。やーらかくて幸せな感触です。
と言うかつまり女の子のお願いは自分のことは好きにしていいから妹たちに手を出すな、と言うことで、さっきの解答は俺が小さい子が好きだという認識を持っていると言うことだよな?
「とりあえずどうしてそう思っているのか聞こうじゃないか」
「・・・」
女の子が無言で向日葵のことを見た。
「向日葵、話が終わるまで部屋の外にいなさい」
「貴久、あの女殺していい?」
いったいどうしてそんなことを考えたのだろうか? ここまでの流れの中に向日葵が女の子のことを殺したいとか思えるような要素はなかったような気がするのだが?
「だめ、とにかく出て行きなさい」
「いや、とにかくここにいる。具体的には貴久にくっついている」
「こら、この子たちの前で変なことを言うな、誤解されたら」
「あの~」
ここで口をはさんできたのは今まで黙っていた残りの二人の女の子の内の一人。なんとなく身長から考えて次女ではないだろうか?
「その・・・加藤様が・・・そう言う好みだと言う話は、すでに巷では当たり前になっていますけど」
「・・・」
これはしばらく町中を歩くのは控えよう。そしてしばらくは町中でみんなと仲良くするのも控えよう。
みんなのことは好きだ、それは嘘偽りなどではないが、俺がロリコンだと言うのは間違いである。ただ小さい子も可愛いと、それだけである。
「違う、貴久は私みたいな子が好きなんじゃなくて、私のことが好きなの」
向日葵さんや、大きく間違っていないうえに否定すると完全に誰でもいいと言う意味にとられてしまうような回答はやめてくれませんかね?
「あ、あの・・・それで・・・私のことなら、好きにしていただいて構いませんので、どうか妹たちのことだけでもなんとかしていただけないでしょうか!」
俺と向日葵の話などどうでもいいと言わんばかりに再び頭を畳に擦りつけてお願いをしてくる女の子。
「・・・買いはしない。これは絶対だな」
だが、なんだかんだと話をしたが、結局のところ俺には最初からこの子を買おうと言う気はみじんもない。
「ここは広い。正直、俺たちだけでは使っていない部屋だってあるくらいだからな。そこなら、壊したりとかしない限りは自由に使ってもらって構わない」
だがなにも助けないわけではない、困っている人がいて、俺がそれを助けられるのなら助けようではないか。まあ限度ってものがあることは一応頭の中にいれてはあるが。
「・・・その・・・それは、つまり」
女の子が悔しそうな声を出した。なんとなくだが内容は分かっているから話しておこう。
「もちろん、君が心配しているようなことはしない。君たちが嫌だと言うのなら話しかけたりもしないと約束しよう。ここの決まりさえ守ってくれれば、こっちは構わないからな」
決まりって言っても明文化しているわけでもなければ、周知の暗黙の了解だってありはしない。要はそれなりに普通の生活をしてくださいと言うことだ。
「どうして・・・そのようなことを、言って下さるのですか」
「どうして・・・う~ん・・・できるから? したいから?」
これ以外にどう答えればいいのだろうか? 他に理由も思いつかないし、上手い言い方なんて言うものも見つからない。
「あ~、あと強いて言うなら、自分も同じだからかな」
「同じ?」
「ああ、俺もこうなる前、景虎に偶然出会わなければ、金もないし頼れる親族もいないしで死ぬこと確定だったからな」
こっちに来たあの日、もし景虎に出会わなければ、あのまま山の中で死んでいたか、幸運なことに町までたどり着けたとしても、その後は身ぐるみはがされて結局死んでいたことだろう。本当に、運がよかったのだ。
「・・・では、そのお言葉に甘えさせていただきます。ただ、せめて家事のお手伝いくらいはさせていただきます」
どこか感じるところでもあったのか、先ほどまでよりは幾分敵意みたいなものをおさめて女の子が提案を受け入れてくれた。
でも家事となると・・・。
「あー・・・それは・・・」
家事、かー・・・これは相談しないといけない。
「家事については、別の人と話してくれ。俺は家事については全く権限を持っていないからな」
家事はな、家事は全部おまかせだからな。
「分かりました、ではどなたに聞けばよろしいですか?」
「ああ、たぶんそろそろ準備もできたころだろうし、会いに行くか」
と言うわけで、俺と向日葵、三人の女の子を合わせた五人で、あの人のところに行くことにした。
「・・・家事の・・・お手伝い・・・ですか・・・」
我が家の家事担当、家事についてのすべての権限を持っているのはもちのろんでとら様でございます。
そして朝餉の用意が終わって、俺たちの話が終わるまで待っていたとらに早速、この子たちがこれからこの長屋に住むこと、そして家事を手伝いたいと言っていることを伝えると・・・。
「何か・・・ご不満がありましたか? 至らないところがありましたか?」
このしょげ具合である。なんかもう捨てられそうな子犬みたいな感じなんだよ、とらなのに、りすっぽかったのに、猫っぽくなったのに。
「まさか、そんなわけないだろ。とらの家事ならここにいる誰も文句なんて言わないよ、もちろん俺もな」
そしてそのままよしよしと頭をなでる。とらの方も心配がなくなったからかとても晴れやかな笑顔で笑ってくれている。
「・・・」
なんだか後ろから危険なものを見ているような視線を感じたのでとらから手を離した。
そして振り返ってみれば、長女が二人を守るように一歩下がって両手を広げていた。
「・・・だから、君たちからの許しがなければ触ったりしないから」
「・・・本当に、二人に触ったりしたら・・・いくら恩人とは言えども容赦はできませんからね」
手を出す気なんて、ないのになー。
「で、どうするの? こいつらに家事をさせられないなら何をさせる? 働かざるもの食うべからず。貴久が言ったこと」
「そうは言ってもなー」
正直家事以外に何かさせようにも、そもそも何もしていないからさせるようなことがない。ない袖は振れないのだ。
「・・・やっぱり買ってもらうしか」
「だから、それはない」
この子もなんだか極端な思考の持ち主だな、そのあたりは景虎たちと近いところがある。
「なら・・・」
声を発したのは次女。何か代案でもあるのだろうか? あるのならぜひとも聞かせていただきたい。そして私にもそのお仕事を分けて下さい。
「飼っていただきましょう!」
「だから、それは・・・」
駄目だと言おうとしたのだが・・・女の子が手に持っている物を見て言葉がつっかえてしまった。
「・・・とりあえず、それで何をしようとしたのか、あとどこからそんなものを用意したのか聞こうじゃないか」
「この縄はですね、もともと私が持っていたもので、使い方は・・・」
そう言って縄の片方を自分の首にゆるく縛ると、もう片方を俺に手渡してきた。
「こうやって、お散歩のときに逃げられないように使います!」
「・・・」
ここにきてようやく次女の言っていた言葉の意味が分かった。
次女は買ってほしいと言ったのではない、飼ってほしい、と言ってきたのだ。
「お前、意味は分かっていて言っているんだろうな?」
「はい! やはりお金の絡むこととなると誰でもしり込みしてしまうものです。ですがこれならお金は関係ありませんし、私たちは家事のお手伝いとかをしなくても、ご主人様に癒しを提供することで住まわせていただくことに報いることができます!」
この子はあれか? Mなのか? マゾなのか? 被虐性思考なのか?
「ふざけているんだよな?」
ふざけていてほしい、冗談であってくれ、どうか面倒くさそうな人は増えないでくれ。
「あ! すみません、飼われるんですものね、さすがに泣き声だけじゃ生きていくのに問題が出てくるので、最後に付けるだけでお許しくださいワン!」
おおおおおおおおっと、今のは結構な攻撃力を持っていた。
て言うか可愛いな~この子、何だか目がとっても真ん丸でくりくりしている気がする、と言うかしている。俗にいうつぶらな瞳と言うやつだろうか?
「あんた何言ってるのよ! こんな人に飼われたりしたら、欲望のままにもてあそばれて、散々に遊ばれた後は飽きられて捨てられるか売られちゃうのよ! あんたがそんな目に合うなんて、お姉ちゃんは耐えられないから!」
「お姉ちゃん・・・」
次女の方が困っている、だがそんなことはどうでもいい、今は俺に突き刺さったロンギヌ〇の槍を抜いてほしい。あとホイ〇あたりもお願いします。
「貴久、貴久」
おお、なんか知らないが向日葵がきらきらした目で俺のことを見上げてきている。その目からホイ〇が発動したりするのだろうか?
「傷ついた? 傷ついたんでしょ? 大丈夫、私が癒してあげるから。だから早速お布団に」
とりあえずでこぴんをして黙らせた。たぶん向日葵からしたら痛くはないだろうが、やめろと言う意思は伝わったみたいで、黙って抱き付いてきた。・・・こうしていれば十分に癒されると言うのに。
「・・・」
そして向日葵にホイ〇をかけてもらったところに長女からのザ〇である、即死級である。
たぶん俺が自分の次女くらい、もしくはそれよりも年下の女の子を抱きしめていることに危機感とか嫌悪感とかその辺を抱いているのだろう。
「・・・とりあえず、好きにしていいから」
それだけ言って、俺は立ちあがる。目的はとらの用意してくれている朝餉ことポーションを摂取するためである。
「・・・では、遠慮なく」
女の子たちも他に行くところがないからなのか、不満そうな顔をした長女に連れられてどこかに行ってしまった。まだ案内も何もしていないのに大丈夫だろうか?
べつにいかれて困る部屋も特にないし、まあ俺たちが使っていた部屋に行かれても俺たちが移動したっていいから全く問題ない。
「あんたって人はーーーーーー!」
長女が、まさしく怒髪天を突くとでも言わんがごとくお怒りのご様子で戻って来た。
「あ・・・ああああの二人は何なのよ!」
はて、あの二人とはいったいどの二人のことだろうか?
「何のことだ?」
分からなければ聞いてみる、さっさと済ませるのならこれしかないな。
「あ、あああ、あの! 部屋に寝てる二人の子どものことよ! なんて格好で寝かせてるのよ!」
ああ~、あの二人とはりょうとイリスのことかな? でもなんて格好とはいったいどんな格好なのだろうか?
「よくわからんが、とりあえず行ってみるか」
「駄目に決まってるでしょうが!」
つまり俺が見ていいような格好ではないと言うことですね、たぶんすっぽんぽんで寝ているとかそんな感じなんですね。
「あの二人にはちゃんとお腹を隠して寝るように言い聞かせているんだけどな~」
「悪いのは貴久」
「やっぱり」
おいおい向日葵さんや、いかにも俺が今嘘をついて、常日頃はすっぽんぽんで寝るように言っているような言い方はやめてもらおうじゃないか。
「貴久は温かいから、一緒に寝ていると裸くらいがちょうどいい」
「それは旅に出る前までの話だろ、今はそんな恰好で寝ていたら風邪ひくぞ」
「風邪なんて引かない」
「どうしてそんなに自信満々に言えるんだ」
「馬鹿は風邪をひかない」
堂々と胸を張ってりょうのことを馬鹿だと言っているのか? りょうは天然なのであって馬鹿ではない。
「りょうに謝りなさい」
「馬鹿はりょうじゃない、私」
向日葵が自分のことを馬鹿と言うとは、いったいどういう風の吹きまわしだろうか?
「貴久の前だと貴久のことしか考えられない。まさしく馬鹿」
「・・・まあ馬鹿でも構わないが、ほどほどにな」
ちょっと妖艶に笑いやがる向日葵にドキリとしてしまったから、ほっぺたをぐにぐにして気を紛らわすついでに向日葵曰く御褒美をあげておく。
「じゃあ向日葵、もうそろそろ起こしてきてくれ」
ぐにぐにを中止して向日葵に二人を起こしに行かせる。俺は行ってはいけないみたいだからな。
「はーい」
向日葵に二人を起こしに行かせ、俺はとらと一緒に膳を運んでくる。このくらいは手伝わせてもらえるからやっておく。本当にやることがないからな。
「そういえば貴久様、あの方たちもこれからは一緒にここに住むんですよね?」
「そうだと思うぞ」
「なら今ももう三人分用意しないといけなかったですかね?」
あ、そうか、三人増えたもんな、そりゃ食事も三人分増やさないといけないよな。
「とりあえず、今すぐ何か用意できる?」
「貴久様のお替りの分を使ってしまえば何とか」
まあ今回は仕方がないか。
「とりあえず用意だけしておこうか。たとえ食べないと言われても俺が食べるだけだし」
「分かりました。じゃあ膳を置いたらもう三人分用意してきますね」
「頼むな」
そんなことを話しているうちにお食事をする部屋に着いた。
そして何にも考えないで部屋に入ったことをちょっと後悔した。
「兄ちゃん見っけ!」
「パパみっけ!」
りょうとイリスが飛びついてきた。膳を取り落さなかったのは食事への執着が呼んだ奇跡だろうか?
もちろんだが二人ともしっかりと服を着ている。
そして今気がついたが、ちゃっかりあの三人も部屋に来て食事を待っていた。
「・・・働けるようになったら、返すから」
返さなくてもいいと言いたいが、こういう子にそんなことを言っても面倒くさいだけだから言わない。まあ気のすむようにやらせよう。
「やっぱり飼ってもらうのが一番・・・」
「「それは駄目」」
長女と声が被った。
「よければでいいんだが、名前くらい教えてもらえないか?」
これで断られたりしたらちょっと残念ではあるが、まあ嫌なら仕方がない、そう割り切っているからいいか。
「・・・りん」
「りん、って言うのか?」
「そうだよ、何か悪い?」
なんだか長女・・・ではなくてりんが不機嫌そうだ。
「わかった、これからよろしくな、りん」
この名前を嫌っているのだろうか? なんかついと顔を逸らされてしまった。
「で、そっちの二人は」
「二人に手を出すな!」
出してねえよ、名前も駄目なんですかこの野郎。
まさか名前を知る事さえ許可されないとは・・・そこまで信用ありませんか。
「私の名前ははなって言います!」
「ちょっとはな!」
この子はこういう子なんだな、姉の努力などお構いなしの自由人なのだろう。
「はちの間違いではなく?」
なんとなく犬っぽいから言ってみた。
「はち? ですか?」
だが当然のことながらこの時代の人にははちなどと言う犬のことなど知る由もないわけで、こんな反応を返されるのは仕方がないことだ。
「はなになにかしたら、絶対に許さないから!」
だからしないって、そん怖い顔しなさんな。
「私はねねと言います」
そしてここにもう一人、姉の努力を何とも思っていない妹がいた。
「ねね、これからよろしく」
「はい」
「・・・」
「・・・」
「おい半ちゃん」
ここでさっきから一言も話さないで、食事はまだかと目で訴えてきていた半ちゃんに声をかけた。
「・・・」
しかし半ちゃんからは何も帰ってこなかった。
「まさかこの子たちは駄目なのか?」
「・・・」
無言で首を縦に振る半ちゃん。
「残念、無口と言う半ちゃんの唯一のとりえを取られたのかと思ったんだが、まだ半ちゃんも無口なままだったのか」
なんだか半ちゃんがとってもひきつったような笑みを向けてくるが、喋らないから何を言っているのかわかりません。分からないと言ったら分かりません。
「お待たせしましたー!」
と、ここで三人の分の食事を取りに行っていたとらのお帰りだ。
「じゃあ、食べますか」
そんなわけで、我が家に新しい家族が増えました。




