28 ポーション作りの新発見
ポーション作りは午後という事で、協会の食堂でお昼を食べた、委託されてる店で値段が安い、協会が補填する事でこちらは安く提供を受けられるみたいだ。
「タロスさん、ここ委託された店ですよね?なんでこんな安くてこの味が出せて、経営が成り立つんですか?」
「ほんに、寧ろ街の店より量も多いで、経営が成り立つ要素が見えんで?」
「二人とも子供らしくない着眼点だな、商人じゃなくてフリーランサーだよな?安い理由は値下げ分は協会が補填してるから、店は定価の利益は出てるのさ」
そういえば世間的にフリーランサーは、学がないとか育ちが悪いって認識だった、だからこそ冒険者は別格扱いなんだが。
(口には出せないが見た目12歳でも中味は57歳と55歳だから仕方ない)
「ライフワークに商人もあるんですよ、色々手伝って教えて貰ったりしたら発現したみたいなんです」
「そうなのか?それにしても、相当地が良いんだろうな」
デマカセで凌げたらしいとホッとする
「午後はポーション作りを見学したあと、実際に作ってみるか?ちゃんと監督はするし、場所もここ以上条件がいい所もない」
「良いんですか?」
「良いさ、君達はダレスを救ってくれた俺達の恩人だそれくらいで誰も文句は言わん」
「ありがとうございます、是非お願いします」
干城にはひとつ心当りがあった、バーチャルエリアの鍛冶部屋と錬金部屋、なんの素養もなしにあるとは思えなかった、奈津希も思案顔だったので同じ事を考えているんだろう。
下級ポーション作りの見学になった。
必要な薬草はセンマイ、サミの葉、カブト草、ミレアの実で、三つの葉は以前下級ポーション用の採取依頼を受けたなと思い出した。
「ミレアの実とは普通の木の実なんですか?」
「違う、ミレアの木は魔樹だ、薬草だけではポーションにはならない、薬草から抽出した成分にすり潰したミレアの実を合わせ、ミレアの実の残留魔力を媒介にして、魔力を流す事でポーションとして完成する」
「つまり、薬草の薬効成分と水に魔力を流してもポーションにならないという事ですね」
「ほぼ正解だ、今言った状態で一応ポーションにはなる、但し品質は低級だ、下級程の効果もなく、ポーションとしての効果は作って5分程で失う」
「ミレアの実を使う事で効能が安定し、薬効の日持ちもするという事ですね」
「そういう事だ」
薬草と水を錬金釜にいれ魔力を流せばポーションの出来上がりなイメージだったが、流す魔力を受け止める媒介がなければポーションにはならないようだ。
「以前採取依頼でセンマイ、サミの葉、カブト草の採取依頼は受けた事がありますが、ミレアの実の採取依頼は見た事がありません」
「それはそうだろう、ミレアの木はセージ協会が管理していて、ミレアの実は錬金職以外への販売はされていない」
「それで、低級が出回ってもポーションと呼べないものなんですね」
「そうだ」
「それでは上級でも中級でもポーション作りにミレアの実は必須の素材という事なんですね」
ミレアの実を鑑定してみる
〈ミレアの実、聖属性(調和)の特性を持つ実〉
残留魔力は40分程で消失するが、調和させたものは性質を保つ
自分のステータスから聖属性をタップすると調和があった。
「あの、タロスさん、宗教勢力もポーションは作っているんでしょうか?」
「いや、ミレアの木は我々が管理しているし、聖属性魔法もあるから作ってはいない、ただポーションは売り物としては魅力があるらしく、度々ミレアの木を寄越せとは言ってくるらしい、上の事は噂程度しか知らん」
「そうですか、あの、ポーションを作らせて貰っても良いでしょうか?」
「勿論構わないぞ」
奈津希と二人でポーション作りを始める、鑑定結果を奈津希にも話し、同じ作り方でポーションを作る。
薬草から効能成分の分離をし、蒸留水に僅かに塩を混ぜて効能成分と混合し、湯煎で温めながら調和の魔法を流しつつゆっくり撹拌する。
「ミレアの実を入れ忘れている、それではポーションにならないぞ」
そう言われたが、氷はないが水で氷煎するように冷やしつつ、出来上がった物を鑑定してみた。
[下級ポーション]
出来上がっていた。
タロスさんは信じられない物をみる目でポーションを見ていた
「どういう事だ、ミレアの実を使わずになぜポーションが出来る」
「ミレアの実は聖属性魔法、調和の効果があります」
「調和は同じ対象に二人以上でヒールを使う時の補助魔法じゃないのか?」
「すみません、それは分かりませんが、兎に角ミレアの実には調和の効果があり、先程は調和の魔法を流しながらポーション作成をしました」
奈津希も同じように作って完成品は二つある。
「実際二つも出来上がっているから事実なんだろう、これは大変だぞ」
「済まない、ここで待っててくれ部長に知らせてくる」
暫く待つ事タロスさんが戻ってきた。
「度々済まない、一緒に部長の所へ来てくれないか」
「はい、分かりました」
案内された部屋には金髪で30代くらいの男がいた。
「可愛らしい二人だね、こんにちは、私はアスベリア・ランツィア、錬金部門長をしているよ」
「はい、はじめまして、タテキ・ハヤサカと申します、こちらはナツキ・サクラです」
「はじめまして、昨日はダレスを助けてくれたそうだねありがとう」
「いえ、とんでもないことでございます、私達は依頼を受けたから現場に向かっただけです」
「そうなんだね、それで、早速で申し訳ないけど、ミレアの実を使わずにポーションを作る方法を見つけたと」
「はい、ミレアの実には調和の特性があります、ですので調和の魔法を使えばミレアの実は不要になります」
ランツィア部長は少し考えていた。
「タロス、この事は他に誰が知っている、誰かに見られたりは?」
「いえ、私の研究室でしたので他に見聞きした者は居ません」
「一旦この件は箝口令とする」
「タテキとナツキの二人はいつまでこの街に滞在する予定なのかな?」
「はい、明朝出発する予定でした」
「済まないが滞在を延長しては貰えないかい?宿泊費はこちらで用意するよ、宿はどこに?」
「滞在延長は構いません、宿は湖畔の宿り木です」
「ああ、あの宿か、眺めがいい宿だね」
「はい、料理もとても美味しいです」
「そうだったね、あの宿は料理も絶品だった、そうかあの宿に泊まれるとなると、宿代の他に拘束費として一人1日5ネラ払おう」
「今日はこんなところかな?取り敢えず宿は5日程延長しておいてくれないかな」
「承知しました、そのように手続きします」
「ありがとう、迷惑をかけて済まないね」
「いえ、それでは失礼します」
ランツィアは二人とタロスが退出したあとやっと一息ついた、タロスは気付いてないようだが。
今日初めてここへ来て、軽く話を聞いて錬金術を行使して成功させ、今まで長年基礎の基礎のような部分に新発見を齎した?全てが冗談じゃなければ化け物だろうと思った、協会長への報告は荒れそうだ。




