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割とどうでもいい世界で  作者: くまじ
22/40

22 素直に喜べない

二人はそのまま夕食にし、風呂に入り、ベッドで寝た、12歳の身体にダブルのベッドは広々だったし、前世基準のベッドと羽毛布団はとても心地良く眠れた。


翌日街道の少し手前の位置を思い出しながらドアを開けた、ドアを開けたい場所周辺に人や魔物が居るとそれもドアを開ける前に感じ取れるようだが、何れにしても人が居る場所では使わないのが無難だろう。


身体強化で街道を走り、渡し船で川を渡りラエスタの街へ入ってギルドに完了報告をしてベリリュートの素材8頭を提出した。


素材鑑定の間はギルドの食堂で果汁を飲みながら待つ事にした、受付け付近が俄に騒がしくなり、何やらこっちを指差されてるようだった。


「私は素材鑑定係のタルバ・アネアレスという者だが、リベルグリズリーとベリリュート8頭を納品したのは君達かい?」

「はい、そうです」

「買取について相談したい、来て貰えないだろうか?」

「承知しました」


二人は果汁を飲み干して、カップを返却口に置き、アネアレスに付いていった。


「子供じゃないか、子供があれほど見事な討伐をし、あの解体処置をしたのか?」


鑑定課に行くといきなりこう言われ、干城は多少戸惑った


「あの、この方は?」

「こちらは素材鑑定課長のラルド・オリベルトだ、課長この二人がディタルスブレゲギルドのタテキ・ハヤサカとナツキ・サクラですよ」

「ああ、最近王都の逸材と耳にする。そうか君達だったのか、済まない、失礼な事を言ってしまったね」

「いえ、とんでもないことでございます」

「それで、アネアレスさん、私共はなぜ呼ばれたのでしょう?」

「そうだったな、依頼ではベリリュート1頭につき50ネラだったんだが、減点するべき要素がなかったんだよ」

「あの状態と処置であればベリリュート1頭あたり200ネラ、リベルグリズリーを400ネラ、計2,000ネラで買取をお願いしたい」

「50ネラが4倍ですか?そんなに値が跳ね上がるものなんですか?」

「そうだ、今回の依頼主も狙いはベリリュートの尾羽根だった、ベリリュートの尾羽根の内、色違いの4本は状態次第では100ネラ前後の値が付くんだよ、勿論あの尾羽根は100ネラは付く状態だし、他に値の付く部分はある、肉に爪や嘴、風切り羽などだな、我々としては尾羽根の1本か2本も依頼主に提供すれば面目は立つ」

「だが君達は今回尾羽根ばかりか、全てが完璧と言っていい状態で討伐してくれている、しかも魔石や血抜きの傷も最小限だ、剥製にだってできるだろうし、もし剥製にしてオークションに出品すれば1頭600ネラが最低額になるだろう、値崩れしないよう工夫はいるがね」


「普通空を飛ぶ魔物の場合は矢や魔法で、もっとボロボロになっていて、素材として値の付く部分が余り残らないのだよ」

「リベルグリズリーも同様だ、傷が少なく処置が素晴らしいのでどんな取り引きの仕方もできる」

「それは…ランクDの稼ぎではなさそうですね」

「そうだな、これに更に魔石を提出すれば、その買取額も加わる、ランクA冒険者並の稼ぎになるだろう」

「そこまでとんでもない稼ぎですか」

「そうだ、だがそれが君達の実力だ、それにランクDは通過点であって限界点ではないだろう?」


「分かりました、それで買取をお願いします、魔石は考えて後日にします」

「解った、手続きを進めよう、報酬は口座に振り込んでおけばいいかね」

「口座とは?」

「ギルドカードに口座を紐付けてないか?」

「今回がランクDになっての初依頼でした、これまで口座を必要とする程の報酬はありませんでしたので」


「そうだったんだな、口座はどこのギルドででも開設できて、ギルドカードに紐付けする事ができる、今回の報酬にしてもそうだが、今後を見据えれば口座は開設した方がいい、君達は将来間違いなく冒険者となるだろうからね」

「そうですね、口座開設の手続きはどちらで行えば良いでしょうか?」

「金銭出納の窓口があるから、そちらにギルドカードを提出して、手続きを申し出ればいい」

「わかりました、そうします」


一礼して退席したタテキとナツキを見送ったオリベルトとアネアレスは、12歳であの物腰と言葉遣い、礼儀正しさと立ち居振る舞い?その上ランクDになって初依頼でこの結果?何もかも規格外に思えて、冒険者どころか、将来はランクSの英雄じゃないだろかと思っていた。


受付けが並ぶ端に金銭出納の窓口があった、口座へ入出金する際やペナルティーを支払う場合に使うらしい、本来は報酬の受け取りもこちらだそうだ、とは言えだいたいは受付で一括処理するし、口座の入出金も申し出れは受付けで処理してくれる、なのでこの窓口を利用するのは実質的には口座の開設かペナルティーの支払いのようだ。


席は空いていたがカウンターに立つと、手空きの受付嬢が対応してくれた。


「すみません、私と奈津希の口座開設をお願いします」

「はい、ギルドカードの提出をお願いします」

「はい、こちらです」

「こちらもお願いします」

「はい、タテキ・ハヤサカさんとナツキ・サクラさんですね、暫くお待ちください」

…………

「はい、手続き終了しました、ギルドカードをお返しします」

「はい、ありがとうございます」

「ありがとうございます」

……

「口座も開設したし、依頼完了手続きをしようか」

「そやね」

……

「すみません依頼完了手続きをお願いします」

「はい、ギルドカードの提出をお願いします」

「はい、お願いします」

「お願いします」

「はい、お預かりはします」

……!

「はい、依頼は完了ですね、今回報酬は口座へ振り込まれますか?」

「はい、そのようにお願いします、金額は二人半々でお願いします」

「はい、承知しました、では、今回の報酬をお二人の口座に、報酬の半分づつの振り込み手続き致します」

「はい、手続き完了しました、ギルドカードをお返しします」

「はい、ありがとうございます」

「ありがとうございます」


二人はギルドの食堂で紅茶を頼み一休みすして心を落ち着かせる事にした。


「1頭50ネラで8頭の400ネラで目標貯金額を達成でるとは思ったんやけどなぁ」

「でも200ネラは大金やけど、ウチらから200ネラで買い取って、最低600ネラで売るか、仕入れ値としては妥当かな」

「まあね、捕まえて買取りに出すより、保管や売り捌くルートを維持する方が時間も労力も経費も掛かるだろうからね」


今回の報酬額に干城は些か複雑な思いがあった。



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