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割とどうでもいい世界で  作者: くまじ
13/40

13 ある日の休日

奈津希が朝から今日は休日にすると言ってきた、昨日ギルドを出る前に受け取った報酬が予想外に良かったのだ、センマイの葉とサミの葉は一枚2リギルを保存状態が良いと3リギルに、カブト草は一つ3リギルを4リギルで買い取って貰えた、二人とも薬草をそれぞれ10束づつ納品したので一人1,000リギルは10ネラで、茸は一つ1ネラ、5個づつの納品したので合計銀貨1枚白銅貨5枚の15ネラの収入になった。


薬草採取って儲かるんだなと思ったが、鑑定が生えたお陰で採取する時間が短く済んだのと、あのペースで採取をすれば自生している薬草の乱獲になるなと思って頻繁に使える手じゃないなと思い直したのと、パーティで活動はしてるけど事実上はソロ活動の収入だから、他のパーティは報酬をメンバーで割って、更にパーティの運転資金を別に残さないといけない訳だから、他のフリーランサーの収入は厳しいんだろうなと思った。


それでなぜ奈津希は今日を休日宣言したかというと


「今日は休日にすんで」

「あっはいっ、で、突然なんでまた?」

「今日でこっちに拉致られて2週間目くらいになるじゃろ?」

「そうね、それくらいかね?」

「あんね、服も洗濯できる時には洗濯しとるけど、基本これ一着しかないやん」

「だから今日は服買いに行くよ、上下セットで三着は欲しいねぇ」

「ラノベの定番は?主人公とか一生同じ服着てたり、世紀末の人なんてロクに物資もないのに、服がボロボロに何度破れても同じ服が再生されてたり」

「そのとおりなんじゃけど、この服な、ぶちええ生地なんじゃけど再生せんのんよ、あとな、世紀末の人はラノベじゃないじゃろ」


遇の音も出なかった。


オイは奈津希の正論パンチに弱いのだ、一撃でかろうじて致命傷で済む程度に弱いのだ。


服屋にきてシャツとズボンを選んだ、服は茶色系の色の前開きシャツを選びズボンは紺か濃い青にした、あとジャケットっぽい上着を一着選んだ。


奈津希は色々悩んでいたが、お洒落より今の生活やフリーランサーとしての実用性を優先したらしい、アイボリー系の色をした前開きシャツを三着とスカートを三着、カーディガンっぽい上着を一着選んでいた、なんか現実的というか割り切りが凄いなと思った、もっとお洒落してもいいのに。


「もっとお洒落しても良かっちゃない?」

「良いんよ、今お洒落に気を配っても意味ないし、それより女物のパンツがないんがなぁ、森の中とかはスカート動きにくいんよ、男もんのズボン買うしかないかなぁ」

「折角見た目の素材は良かとに」

「そりゃアンタもやろ?」


取り敢えず服は空間収納にしまった、人前で使う時は空間収納にしている、どうやらインベントリは都市伝説か空想の産物扱いらしい、そんなものを人前で使うのは流石にマズイだろう、空間収納はそこそこ使い手が居るらしい、こっちも容量無制限なんだが荷馬車三台分くらいと言っている、荷馬車三台でだいたい10tトラック一台分かなとどんぶり勘定した。


屋台で果汁を買って魔法で作った氷を落として、屋台広場のベンチで一休みした。


干城は思い立った事を話した。


「実はさ、前世自分の名前も歳も覚えとる、独身だった事も覚えとる、ばってん未婚なのか死別なのか覚えとらん、家族構成も、何の仕事ばしとったのかも、どこに住んどったのかも、召喚される時どこで何をしとったんかも覚えてない、忘れていっとるのか、召喚された時点で忘れたんかも分からん。」


「あ〜…それね、ウチも分からんのよ。分かるのはね、ウチの名前な、最初は『夏姫』って字にしようとしとったらしいんよ、それを知った時に、もしその字じゃったら、歳を取るごとに書類に名前を書くんが精神的にぶち大変じゃったろうなぁって思った事くらいかねぇ」

「でもね、そんなくだらんことでも、今になると幸せなことじゃったんじゃなぁって思ったんよ」

「…どうしてこんなことになってしもうたんじゃろうね」


「どうしてか…原因は分かるけど理解も納得もしとうなかね、ばってん、奈津希は一人称がウチやったら広島か中国地方じゃない?」

「そいじゃったら、干城は九州地方じゃないんの?他の人には九州弁では話さんみたいじゃけど」

「奈津希は色々混ざっとりそうだよね」


笑いながらそんな話をしていると甲冑を身に着けた騎士三人が近付いてきた。


「お前達が召喚者か?」

「そうですが」

「では城まで付いてこい」

「誰が何の用で呼んでるんでしょうか?」

「宰相様がお呼びだ、用は知らん」

いきなり人を呼びつけ、用件すら分からない事に、干城もそろそろ我慢の限界だった。


「ガキの使いか?何の用かも分からんのに街の中を探し回ってたのか?そんなガキみたいな輩にノコノコ付いて行かないといけない理由はなんだ?」

一人の騎士が剣に手を掛けた

「キサンその剣を抜いたら死ぬと思え」

二人が行った、王も王族も宰相も多くの貴族や騎士を斬殺した城の惨劇を知っている騎士は剣から手を離した


「人を呼び出すなら、先に相手がいつなら都合がつくか確認してからにしろ、アポイントの常識だ、それと用件くらい伝えられるようになってからこい」

騎士達は何も言わずに帰っていった。


「全く、なんで奴らは人を苛つかせる事しかせんのかね?」

「さっきの干城は怖かったわ〜、ゴブリン相手に戦うか悩んどった同一人物とは思えんわ」

「そういやそうやったな、あいつらはオイの中ではゴブリン以下なんかな?斟酌する必要をまるで感じない」

「また来ると思う?」

「間違いなく来るやろうね、次はもうちっとマシな奴に来て貰いたいもんやね」


二人は果汁を飲み干して立ち上がり、カップを屋台に返却に向かう


「屋台の串肉を食べに行かん?こっちで初日食べさせて貰うた思い出の味じゃ」

「よかね、あの時はあのいい匂いが暴力的だったのと荒鷲のパーティに食べさせて貰った串肉が美味しかった思い出」

「ほんの2週間前の事なんやけどねぇ」

「そうなんだよな〜、まだ2週間なのに結構前の事のように思うよ」

「初めはぶち大変やったからねぇ~、一文無し、食べ物なし、仕事なし、知り合いもツテもアテなし、何をどうすればええのか、誰に相談すればええのか、手探りどころじゃなかったし」

「ギルドマスターとソフィアさんには頭が上がらんよね、特にソフィアさんは面倒がらずに、常識相談役受付嬢としていつも丁寧に対応してくれらすし」

「ソフィアさんね、そうやね、毎度ウチらが知らん常識を懇切丁寧に教えてくれはるからね」


それから二人は数件の屋台を食べ歩き、腹一杯になるまで屋台の食べ比べを楽しんだ、いつも腹八分以下だったのが腹一杯食べたのは初めての事だった、屋台の安い食事が二人にはとても美味しかった。








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