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「――さあて、ここでちょっとした余興を皆に愉しんでいただこうか」
配下のものを頼らず、自ら進行役を務めてみせたのはこの城の城主――ラパロだ。
「闘技場戦争の時代が始まって、かれこれ三年か――かつて、勇者エクスたち勇敢なる冒険者パーティーを魔界の最深部へと送り出したのが、かのリュクテア聖王国だった。女神エフメローゼの恩寵を受けし勇者エクスの犠牲によって、暗黒神の完全復活は辛くも阻止されたのだ。そして邪悪なる魔王ナラクデウスは暗黒神と共倒れになり、その力を失った」
拡声器によってホール全体に轟きわたるあの男の声など、ナラクとしても決して心地いいものではない。ただ、これから火蓋が切られようとしている物語はあまりにも劇的で、だからこそ観客らとそれを繋ぎ合わせるための役割は、あの男をおいて他にいないだろうから。
「我々は勇者エクスの敗北を悲しむ必要などなかった。彼の英雄譚を機に、我々の世界が変革期へと足を踏み入れることができたからだ。かの暗黒神にもたらされた〈摂理〉――つまり闘技場戦争こそが、我々――人間を含めた生きとし生けるものたちにとって、あらたなる恩寵となりうる契機なのだと!」
熱弁が勢いづいたラパロの姿は、果たして招待客らにどう映っているのだろうか。魔工石越しに捉えた観客席の映像を眺めるが、人間たちの反応も様々だ。どのみち裏方役でしかないナラクは、潮目を見定めてミュゼを導いていくしかない。
「今日この場に招待した女神エフメローゼの信徒らにも、ぜひリュクテア本国に送り届けていただきたい芸術の形がある――――――さあ、さあ! まもなく開演の時間だ」
それまでホールの片隅で繰り返されてきた管弦楽の演奏が、そこでにわかに調を変貌させる。
旋律に交わるピアノの音色と、色調を本来のものから変え演出しだすシャンデリア――あのランプ球の一粒一粒が魔工石でできているのだろう。
趣を別世界のように変え始めたホールに、たまらず感嘆にどよめく観客ら。その宙に、蛍火のような光の奔流が舞い踊る。アイドリア・エフェクト。蒼、朱、翠――三つの色調を帯びた魔術光が重なり合い、各々が主張を激しく強めながら、次第に円を描いて収縮してゆき――最後には一点に衝突して弾け飛ぶ。
そうして眩いばかりの銀色の花火がホール中心で散華すると、
『――銀の翼 風に乗せて高く さらにとおくへ――――――』『――とおくへ――』
瞬く間に暗転したホールを照らし出したのは、そんな歌声。それもひとつきりではない。少女たちによって強く、熱く束ねられた歌が、調和し反復され、伴奏を凌駕する旋律となる。
どよめく観客席側にも異変が起こった。観客らが着座していた円卓と椅子が、床面ごと持ち上がると、それぞれ宙に浮かび上がっていったのだ。これは魔工石による浮遊術だと、追って案内音声が届けられる。ただ彼らがこの壮大な現象に心を落ち着かせる暇もなく、アイドリア・エフェクトの輝きに照らされて、さながら夜景を空から眺めるかのような未知の体験を、半ば強引に味わわされるはめになっていた。
「――そう、彼女らこそが〈銀妖精のアリア〉! 我がヴェナントを照らす、輝ける三つの星々なのでえす!」
興奮のあまり絶叫するラパロに呼応して、石床の中央が二つに割れていく。
そうして床下からせり上がってきたそれは、アゲハチョウのごとく煌びやかなドレスを纏った三人三色の少女たち――〈銀妖精のアリア〉を乗せた、真円形のステージだ。
自分たちを空中から見下ろす構図となった観客席に手を振ると、アリアのセンター――蒼穹のソシエルが、携えた魔杖を掲げ、先端の魔工石へと声を送り込む。
「遠路はるばるリュクテア聖王国よりお越しの皆様、お初にお目にかかりますの。わたくしたちはアイドリア・クラウンという戦舞台を駆けるアイドルの一翼――〈銀妖精のアリア〉!」
そこで、宙でゆっくりと円軌道を描く観客席のひとつから、野太いまでの歓声が沸き立った。ラパロの縁者たちだろうか。
「聖王国の皆様にはアイドリア・クラウンがどのような文化なのかも、まだご理解をいただけないかもしれません」
反してリュクテア使節団の白き聖女たちは、あまりの事態に正気を保てず、自分の席にしがみつくだけでやっとだった。ソシエルの演説に耳を傾ける余裕などなさそうだ。相手がこんな体たらくでは、いかに素晴らしいステージになろうとも快い返事など引き出せそうにない。
ただ、ナラクの胸にたぎりはじめたこの感情が、無心に全てを見届けたいとだけ願っていた。これほどの規模なステージだ。ナラクの夢に居座ってきたあのどす黒い呪いを、余さずに打ち払ってくれそうな希望がここにこそ在るのだと――そう、本能がたまらず訴えてきている。
「そして、今日この大切な場で、わたくしたちはもうひとつのアイドルの形をお見せしたい! ともにアイドリア・クラウンで戦う、今はまだ孤高のアイドル――かつてわたくしたちが争いあった魔王が寵愛を受けた、とっても愛らしい女の子、それが吸血鬼ミューゼタニアッ!」
アイドリア・エフェクトの花火が再び弾けた。満月を思わせる銀が、ステージの夜空をおぼろに照らし出す。ソシエルと背中合わせでいたミュゼが、彼女と同じ魔杖を手にして観客らの前に姿を現す。
伴奏が、この状況に有無を言わさず高まりだす。肩を並べたソシエルとミュゼ、そしてそれを取り巻く二色のアイドルたち。ようやく出揃ったステージの演者らを祝福するかのように、それまで《《溜め》》の演奏を繰り返していた楽師が遂に第一楽章の火蓋を切る。
『――ぜんぶ 詰めこんだ 旅かばんを乗せ しるべなき 大空へ――』
その主旋律を歌い出したのは、センターのソシエルだ。輪をなして追随する他の二人が、各々に身体表現でソシエルの歌をなぞらえていく。
ミュゼはソシエルの傍らで、どこか余裕の無さそうな顔をしながらも、必死にダンスに喰らい付いていく。何せこの曲こそは、そもそもアイドル愛好家から歩み始めたミューゼタニア自身が、誰よりも知り尽くしていた思い出の曲なのだから。
――〈銀妖精のアリア〉のデビュー曲〈旅するアリア〉を、わたくしとともに歌いませんこと?
そんな提案を唐突に受けて、当初は戸惑うほかなかったミュゼ。だが、わずかながらの心の準備だけで、彼女は決意のまなざしをソシエルに送り、その手を握り返してみせたのだ。
『――誰が空をアオだといったの? 夜のアオが くらやみ染めて――』
アリアの曲は、そのどれもが難解で不可思議なものばかりだ。匿名だった作詞・作曲家が何ものなのかナラクには知るよしもないが、いずれにせよプロデューサーであるラパロが探し出して雇った人物であることは確かで。
と、そこでソシエル自身に導かれて、ミュゼが遂にステージの最前線へと躍り出た。
スポットを浴びたミュゼが華麗にドレスを翻すと、いつの間にか宙を舞っていた魔杖が手繰り寄せられるように手元へと戻ってくる。アイドリア・エフェクトはまだ力加減できそうにないミュゼだったが、このように魔術による物体操作くらいならもうお手の物だ。
『――太陽も 月明かりも 同じ』『おんなじ かがやく 銀色のアリア――』
そうしてふたつ重なり合う歌声、ミュゼとソシエルの喉が紡ぎ出す二重斉唱。
ナラク自身は客席でもステージでもない舞台の裏方で、固唾を飲んで彼女らの背中を見守るしかない。魔工石からの映像で観客席側の視点になれても、あくまでも自分は観客たりえないはずだった。
でも何故だろう、己が立場を忘れ、つい息を飲んでしまう。ただ彼女らの歌声を聞いただけで、ここまでの情動は得られまい。ナラクの耳には、不思議とこう聞こえたのだ。アリアの歌が聞かせた〝太陽〟がヒトで、〝月〟とはきっとヒトでないものを喩えているのだと。
ホール内の招待客らは、酒場の顔ぶれに比べればうんとおとなしく上品だった。だが、この視覚と聴覚を埋め尽くすようなアリアの圧倒的ステージに、誰もが――あの白装束の女神教徒たちですら、さっきまでの現実からアイドリア・クラウンの幻想へと引き込まれたかのような感覚に浸っていたことだろう。
彼女らを知るナラク自身ですら、心を丸裸にされた気分だった。かつて魔界を統べた己が、ここまで無邪気で無防備になれるステージがあったのかと悦び、そして口惜しくなるくらいに。
『――――――――〈意志をこの手に〉!』
だから気付けなかったのだろうか、ミュゼが歌い上げたこの一節が、〈旅するアリア〉本来のものと異なっていたことに。
挑発的なポーズを決めて観客に手を差し伸べるソシエル――その前に躍り出たミュゼが膝折ると、何のつもりなのか彼女は唐突にアイドリア・エフェクトを発動した。
――なっ………………まだそいつは無理だ、気持ちが先走っちまったのか、ミュゼよ……。
魔界のもの固有の、茜染めの赤で描かれた魔法円――それを巨大な雨傘状に展開してみせたミュゼは、それですっぽりと円形ステージを覆ってしまったのだ。
美しく煌めく雨傘に心奪われた観客らが、おぉ……と一斉に感嘆の声を上げる。
だが、そもそも全ての思惑が噛み合っていなかったことを、ナラクは直後に思い知る。
ミュゼの描いた雨傘が瞬間、脆きガラスのごとく砕け散った。魔力の加減を誤ったわけでも、アイドリア・エフェクトを制御しきれなかったわけでもない――彼女らアイドルだけが支配してきたこのステージに、視認しきれないほどの速度で襲いかかった影がいたのだ。
真っ先に意識が向いた、リュクテア聖王国の使節団――あの白装束たちのうちのひとりが、いつの間にか席から姿を消していた。それに気付いたナラクが今、ステージ上で乱入者と鍔迫り合いするミュゼの背中を目のあたりにしている。
「――ミュゼッ!? チッ、やられた――――――――!!」
既に伴奏も途絶えていた。聞こえてくるこの悲鳴は招待客たちのものか、それともアリアのメンバーの誰かなのか。客席監視用の魔工石を投げ捨て、ナラクはステージ側へと飛びだす。
カーテン裏の暗がりから眩いばかりの照明下へと躍り出たときには、ここに飛び入った輩がただの乱入者ではなく、正真正銘の刺客だとナラクは確信していた。
ようやく全ての辻褄が合ったのだ。ミュゼが歌った〈意志をこの手に〉という一節は、魔術発動を促す呪文の詠唱だったのだ。そして雨傘状に展開した魔力の塊はアイドリア・エフェクトなどではなく、王級吸血鬼たるミュゼ固有の防御魔術障壁――〈血潮の天蓋〉だったことに。
その〈血潮の天蓋〉すら、いともたやすく打ち破ってみせたほどの刺客。
真紅の爪を伸ばし、硬化させた前腕そのものを刃と化したミュゼが、その刺客と切り結んでいる。先鋒に立った彼女が食い止めていたそいつは、白装束の女――否、あれはいつだったか自分たちを付きまとってきた、〝はぐれ狩り〟の仮面の剣士だった。
――くそっ、よりによってあいつか! まさか、おれたちは最初からハメられてたのか!?
そもそも今回の商談自体が聖王国側の謀略――あの仮面の剣士の正体が、魔王暗殺を狙って送り込まれた刺客だとしたら。元より女神エフメローゼの名の下に、魔王討伐の先陣に立ってきた聖王国だ。いくら終戦したところで、自分を物理排除したがる理由はごまんとあろう。
――いいや、おれさまの暗殺目的ならば、このステージを選ぶ必要性がねえな。むしろ芸術王ラパロが魔王加担者だってことを大義名分にして、ヴェナントそのもののを潰すくらいの所業を聖王国ならやってのけるに違いねえ。
何より、護身用の短剣すら携帯を禁じられたナラクだ。だからこそ、裏方に控えていたはずの憲兵らが全員姿を消していたこの状況にも、陰謀の可能性を感じて。
「おのれッ、貴様何者だ、名を名乗るがよい! 我は王級吸血鬼が一柱――ミューゼタニア・ブルタラク! 我らアイドルが神聖なるステージに踏み入りながら、歌ではなく刃を抜いたことを、あらゆる聴き手たちが赦すと思ってか!」
そう凄んでみせたミューゼタニアは、すでに王級吸血鬼としての枷を完全に解き放っていた。漏れ出るような真紅に瞳を輝かせ、仮面の剣士を睨め付けてやり一歩も退かず。
だが、そんなミュゼの本性を前にしても、仮面の剣士は微塵にも怯まなかった。
「……アイドル? 悪いけどキミたち相手に名乗ってどうするの? いいからさ、はやくそこをどいてくれないかな」
涼しげな声で、ミュゼの爪をじりじりと押し戻していく。完全に力尽くで押しているのに、少しもぶれない力がそのしなやかな肩からもうかがい知れて。
必死で矢面に立ってみせたミュゼの傍らで、ソシエルが腰を抜かしたのか身動きが取れなくなっていた。他のメンバー二人も、逃げ出すどころかソシエルを見捨てられず、でもどうすることもできなくて泣き顔になっていて。
魔力の圧によって生み出された風に、仮面の剣士のフードが外れた。煽られて舞い上がった長い髪は、濡れ烏めいた黒。髪色に生白い肌の色からして、聖王国側に固有の人種であることは読み取れるが、今のナラクにとっては賊の素性などどうでもよかった。
それよりも、彼女の剣だ。いつだったか携えていたあの大剣どころか、ただのダガー一本きりでミュゼを押していた。ナラクの護衛役となり得る戦闘力のミュゼを相手に、である。
「出て行け、出て行け――でてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけミュゼたちの大切なステージをぶちこわすなですこのばか――――ッ!!」
もはや泣きじゃくりの勢いで、仮面の剣士と張り合うミュゼ。その鍔迫り合いに、溢れ出ては拮抗する両者の魔力の波動。そんなミュゼをも圧倒しつつある様を見ても、やはりあれがただの旅の剣士などではなかったことは明らかだ。
「くそっ――――ミュゼ、一旦退け! そいつの目的はこの魔王だ! そいつはおれが引き付ける。だからお前は歌え、ステージに歌を絶やすな! 最後まで歌い続けるんだッ――」
思わずナラクは叫んでいた。
どうしてなのか、声を張り上げてからようやく思い知る。ステージ側から一望できる観客席の有り様――アイドルたちに分け隔てなく熱狂してみせたあの貴族たちの顔が、今は動揺と恐怖に歪んでいることが耐えがたくて。
なのに、ナラク一人がどれほど喉を張り上げようと、命がけで切り結ぶ両者に声は届かない。
「おい、貴様ッ――この魔王の命を望むなら、いつでも相手になってやる。今はその剣を収め、ステージを去れ! 魔王を倒したいというくだらぬ思惑ごときで、彼女たちのかけがえのない戦場を穢すな!」
と、そう張り上げたナラクの声すら上回るほどの〝音〟が、剣によって蹂躙されかけていたこのステージに再び蜂起した。
『――銀の翼 風に乗せて高く さらにとおくへ――――――』
倒れ伏したままのソシエルが、あの歌をもう一度絞り出すように喉を張り上げて。
『――ぜんぶ 詰めこんだ 旅かばんを乗せ しるべなき 大空へ――』
伴奏はもう途絶えている。それでも、静まり返った観客席の果てまで響き続けるソシエルの独唱。
それを耳にしたせいなのか。仮面から覗く剣士の口もとが、どこか不快さに歪んだような気がした。
「……こっちが用があるのは、アイツだ。こうやって女の子に戦わせるだけで自分じゃ何もしようとしない、そこにいるアイツだけなんだ。なのにまだ邪魔するなら、キミみたいなか弱い女の子相手でも容赦なんてしてあげないよ――ほら!」
そう、不敵に微笑んで、ちっぽけな短剣一つでさらにミュゼを押す仮面の剣士。
「くっ……おのれ、偉大なる我が王に指一本触れさせるものか! ――ま、まおーさま、はやく、に……にげてぇ!」
仮面の剣士に抗えず、遂には悲鳴のような声を上げるミュゼ。
だが、ミュゼの元へと一歩踏み出したナラクは、思わぬ光景を目のあたりにしていた。
『――太陽も 月明かりも 同じ――』
ソシエルだ。歌を絶やさなかったソシエル・アッチェラムが、鍔迫り合いを続けるミュゼと仮面の剣士の間に立ちふさがったのだ。
ミュゼを庇ったのだと、強靱な意志の籠もったソシエル目つきを見てわかった。
「このっ――アイツ以外の誰も怪我なんてさせたくないんだ、そこをどきなよ! あなたみたいなひとが魔物を庇ったって知られたら、もうみんなのアイドルだなんて言ってられなくなるよ!」
ソシエルは応じない。この歌が全ての答えなのだと、その瞳を、歌声を鋭い切っ先に変えて。
「お…………おんなじ……かがやく、銀色の……アリ……ア…………」
返す言葉もなく、ただ守られたミュゼの喉からこぼれ出てきたのは、歌のわずかな欠けら。それでも、ソシエルが答えた歌に繋がる詩の一篇には違いなくて。
「――だったら、なんなんだよ……どうしてぼくたちはそういうのを、三年前に、ちゃんとできなかったんだよッ!」
苦しげに歪んだ声が、何故か仮面の剣士から吐き出されてきて。
「ふぐぅ……にゅにゅっ――――――――もぅ……むり、げんかい、なのです――――」
直後、ミュゼの体が弾け飛んだ。真っ赤な血煙が舞い上がり、その中から小さなコウモリが羽ばたいて――すぐにステージ床へと墜落する。
力尽きて気絶したらしいミュゼの傍らで、その返り血を浴びたソシエルが茫然と仮面の剣士を見上げる。わななく喉。遅れてアリアのうちの誰かが、金切り声のような悲鳴を上げた。
「――魔王ナラクデウス、お前はこの舞台に立つべきじゃない」
刃の血糊を振り払った剣士が、項垂れていた顔をゆっくりと上げる。いかなる思いからそんな台詞を吐きすてたのか。こちらに向けたまなざしがそんなにも悲痛なものなら、その切っ先に今さら何の正義があるというのか。
だが、剣士の思惑がいかなるものであろうとも、ナラクはこの窮地にどうすべきかをもう決めていた。
「ああ、いいぜ、こいよ。どこの馬の骨だか知らねえが、この魔王ナラクデウス直々に相手してやる。さあ――おれさまにかかってきやがれッ!!」
安い挑発なのも織り込み済み。声を張り上げ、仮面の剣士に向けて叫んでいた。




