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江戸時代の遊郭の楼主に生まれ変わったので遊女の待遇改善に努めつつ吉原遊廓の未来も変えようと思う  作者: 水源
万治4年、寛文元年(1661年)

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伊勢の古市遊郭に行くついでに伊勢詣もしようか、希望者を募ってみよう

 さて、伊勢での遊郭対抗戦の準備に向けて室内遊戯場では代表となった6人が三組で入れ替わりながら盤双六をしながら腕を磨いて当日まで万全に過ごしていたが、どうせ伊勢に行くならといっしょに伊勢参りが目的の人間も行かないかと声をかけることにしてみた。


 ちょうど今年は江戸からのお伊勢参りが流行らしい。


 明暦の大火の復興需要もそろそろなくなってきたからか、その復興需要でお金が貯まっているけど仕事が落ち着いてきたからなのかはよくわからないが。


「どうせ、伊勢に行くなら伊勢詣に行きたいっていう人間もいっしょに行くとしようか」


 妙がコクっとうなずいて言った。


「それは良いことだと思います、商家でも行きたいものは多いと思いますし」


 伊勢詣はお蔭詣で(おかげもうで)ともいわれ、江戸時代初期からすでに行われてもいる。


 江戸から伊勢までは京までと同じ程度の時間がかかり江戸からは女子供でおよそ片道15日間くらいだ。


 そして伊勢の神宮は天照大神の神社として皇室を中心に公家や武家が信奉しており、最初期には八咫鏡(やたのかがみ)が安置されていたというが第10代崇神天皇の治世に大和の笠縫邑(かさぬいむら)に移されたとされる。


 しかしながら応仁の乱以降の戦乱の影響で社領地を荒らされ、一時期は式年遷宮が行えないほど荒廃していたともいう。


 そのために神宮で祭司を執り行っていた御師(おんし)が外宮に祀られている農業の神である豊受大御神を広めるため、農民に伊勢神宮へ参詣してもらうように農事暦でもある伊勢暦を配るなど各地へ赴いて布教をするようになって、日本各地で豊作祈願を行い初穂料を受け取ったりしていたわけだが、それにより伊勢の神宮には全国から初穂料として稲の種が集まってきたからそれらをかけ合わせて品種改良もすすめられた。


 そして伊勢参りをした農民には品種改良された新種の種、例えば収穫量が多いとか、美味しいとかのメリットのある米を“神の恵みを受けた米”として与えることで伊勢神宮への信仰が実際に利益があるようにしたわけだ。


 また商家の間では、伊勢神宮に祭られている天照大神は現世救済を唱え善人悪人にかかわらず太陽は照らして救うという題目を唱え商売繁盛神ともされていたから、子供や奉公人が伊勢神宮参詣の旅をしたいと言い出した場合には、親や主人はこれを止めてはならないとされており、さらには親や主人に無断でこっそり旅に出ても、伊勢神宮参詣をしてきた証拠の品物を持ち帰れば、おとがめは受けないことになっていたので抜け参りともいわれたいたりする。


 この時代の百姓の地元以外への場所への移動には結構厳しい制限があったが、寺社詣での名目で通行手形さえ貰えれば意外と行動は自由だったりもする。


 ただ同様に農業技術の提供と現世利益をといた浄土真宗の信徒とはとても相性が悪く、その信徒が伊勢参りをすることはほぼなかったために、伊勢参りを拒んだ真宗教徒が神罰を受けるという話も結構あったりするのだが。


 あと武士は百姓以上に移動制限や時間制限が厳しかったので伊勢参りは基本的にできなかったようだ。


 ちなみに一番近い伊勢詣が流行した年は慶安3年(1650年)でこの時は農民ではなく江戸の商人が中心だったという話で最も参拝客が多かった3月中旬から5月までは平均で一日2100人が箱根を越えて伊勢に詣でて参詣したという話だからかなりの数だな。


 “今回の伊勢での遊郭対抗戦に合わせて伊勢詣と勝負の見物を希望するものは吉原の総会まで”


 というふうに予めまず吉原の中での参加者などを集いつつ、かわら版で町人地にもそれも告知することで同行するものにそれを伝えるようにしてみた。


 流石に同行するやつの金は自腹だけどそれなりに参加したいというやつはいるんじゃないかな。


 そういえば今年である寛文元年(1661年)は伊勢参りの小規模流行の年でもあったっけ。


 結構参加人数は増えるかもしれないな。

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