レンガ道計画は失敗だったかな、しかし舗装はしないといけないし諦めないで改善しつつ舗装は続けよう
さて、七輪職人に頼んでいた焼きレンガが焼きあがってきた。
「どうぞ確かめてください」
「おお、ちゃんと焼き上げてくるとはすげえな。
助かったぜ」
「まあ、金をもらっている以上は受けた仕事はちゃんとやらないと信用に関わるからな」
「また、何かあったら頼むぜ」
「あんま無茶ばっかりいわれちゃ困るが仕事は受けるぜ、あんたは人使いは荒いが金払いはいいからな」
吉原の中央の大通りである仲通りの舗装がこれでできるな。
しかし俺は道路の舗装なんてしたことはないので施工の方法はわからない。
とりあえずレンガの厚み分だけ土をほってその上にレンガを敷き詰めていけばいいか?
「とりあえず三河屋と揚屋の間で試してみよう」
俺は口入れ屋経由で人足を集めて仲通りの三河屋から揚屋の前、普通に歩けば10分ほどの距離の道のど真ん中に3人ほどが並んで歩ける程度の幅をレンガの厚み分だけ土をほってそこを突き固めた後で、レンガをぴっちり隙間なく敷き詰めていくように指示する。
「大丈夫かな?」
「へえ、任せてくだせえ」
人足達はいわれたとおりに土を浅くほり返してそれを丸太で突き固めた後にレンガを隙間なく敷き詰めていってくれた。
「おう、見た目悪くないしいいんじゃねえかなこれ」
綺麗なレンガ道ができたと喜んだのもつかの間、雨が降った時に問題点が浮き彫りになった。
「若旦那あれはあきまへんわ」
雨降りの中を太夫行列を行った藤乃が苦笑しながら俺にいった。
「あれを踏むと隙間から泥水がでてきて裾が汚れますし、そのせいで凸凹しててなんども転びそうになりましたわ」
「そ、そうだったか」
そう言えば江戸幕府が道路を整備するときに道の脇に溝を設けて、水がちゃんと流れるようにしろと指示してたっけ、それなのに穴をほって排水を考えなかったらそうなるのも当たり前だったな。
「すまんな、藤乃」
「まあ、若旦那にしては珍しく大失敗でっけどそういうこともたまにはありんしょう」
「ああ、もうちょっと考えてやり直すとするぜ」
最初から仲通り全部を舗装しようとか考えなくてよかったぜ。
とりあえず舗装のために基礎づくりと排水をしっかりしないといけないのはわかった。
「こうなったら手間と金を惜しむのはかえって傷を広めるだけだな。
徹底的にやり直すとするか」
まず基礎から作り直すために、房州の鋸山から砕石を運んできてもらい、道を深めにほってそこに路盤として砕石を敷き詰めて丸太で突き固めさせた。
それからそこから排水がしっかりできるように木で作った樋を作りそれを下水の樋につなげて、大きな木の板を砂利の上に乗せて凸凹ができないように、その上を木枠で覆って煉瓦がずれないように寸法をとって、その上に煉瓦を密着させて並べ、煉瓦の間を砂で埋めてずれないようにしてから人が歩いて踏み固めた。
「まあ、これでだいぶましになるだろう」
そのかわり舗装の費用が馬鹿みたいに跳ね上がったが。
本当は砕石の上に薄くでもいいので鉄筋を入れたコンクリートを入れたほうが煉瓦の浮き沈みが完全に防げるとは思うが、排水用の木樋や凸凹防止用の板は定期的に新しいものと入れ直さないといけないしちょっと難しいな。
もっとも21世紀のように重い車が頻繁に走るわけではないし、そこまで摩耗はしないと思う。
石畳の石塊舗装、木のブロックの木塊舗装、煉瓦舗装等のブロック系の舗装は不陸、要はまっ平らではなくなり凸凹が発生しやすい上に、煉瓦は割れやすいのだが、木塊舗装に比べると手入れが少なくて済むし、石塊舗装に比べると吸水性が良いので、夏涼しくなるらしい。
「まあとりあえずこれで様子を見るか」
雨の日に煉瓦を踏むと煉瓦の間からドロ水が吹き出したり、すぐに煉瓦が凸凹になって、つまずいたりすることはないように見えるが、一年ほど様子を見ないと、どうなるかはわからないからな。




