9.看病をしましょう。
駄目だ。
鼻血が出る。
「優、大丈夫?」
くすんと涙を浮かべてこちらを伺うまどかはやっぱり可愛い。
素肌を撫でくり回された俺としてはもう自分の変態具合を呪うしかない。
「だ、だいじょうぶ…だか、ら」
自分でも気持ち悪いと思うくらいだったが、まどかは差して気にした風はなかった。だから、大丈夫だ。俺は嫌われてない。
空気を読んで二匹はどこ吹く風のごとくじゃれて遊んでいる。少しは助けてほしいくらいだ。
「ちょっと、その…」
近い。
これはイケない。俺だってもう健康な男児であってこの状況はマズい。
「なぁに、優?」
ピタリと俺に引っ付いたまどかだ。しかもベッドの中で、人の大きさなまどかが、俺にピタリと張り付いているんだ。
大きなまどかも可愛い。
可愛いんだが、これだと色々とアレがコレでソレなんだ。
本当に可愛い。
まあ、この原因を作ったのも俺の不用意な発言だったんだが。
まどかはちっちゃくても大きくても可愛い。
まどかは最高に可愛いから。
「うっ、な…何でもない」
火傷はまどかによって綺麗に治ったが、看病といってまどかが俺から離れない。それは嬉しいんだがやっぱり、襲いそうだ。
「優、どこか痛いの?」
ゴクリと喉が鳴るし、息は荒くなるし、ムラムラする。やっぱり女の子の身体をギュッと抱き締めると酷く柔らかい。
「顔真っ赤、息荒いよ。熱ある、辛い」
ムムッとしたまどかはパァと顔を明るくしてベッドからスルリと抜け出した。その際にちゃんと布団をかけ直しす。
「待っててね」
うん、ごめんなさい。
この隙に風呂行って冷たいシャワーを浴びて頭を冷やして着替えよう。
まどかに叱られるな。
小さくても大きくても気にしなかったんだが、まあ、大きいと色々とあるけどな。
いや、あったんだ。
誤解が溶けて良かった。
でも、小さいままだと力は制御できなくなるのか。覚えておこう。
色々と考えて風呂から出てきた俺を待ちかまえていたのは両手を腰に置いてムスッとしたまどかだ。いかにも怒ってますといった形をしていた。
うん、可愛い。
「優、めっ!」
か、可愛いっ!
もう駄目だ。
「っ、血、優、血っ!?」
とりあえず、本当に可愛い。
とっさに鼻を押さえたがまどかはぐるぐると回って泣きそうになっている。
「だ、大丈夫だ」
ちょっと、興奮しただけだから。などと言えるはずがない。
「ほ、本当に?」
「平気だ」
うん、まだ止まらなさそうだ。
押し倒してしまいたい。
涙が浮かんだ上目遣いをカシャッと撮ったのはもう許して欲しい。
まどかはマジ俺の天使。
「ほら、けがわとけだまがお腹減らしてるからご飯上げないとな」
いつもは俺が手伝っていたが、まどかに一人でやるように促す。
まどかに格好悪いとこを見られたな。
他で名誉挽回しよう。
あと、正しい看病の仕方も教えよう。
俺を見本にしたらイケない。
自分の欲に走った俺では駄目だ。もしも他人にそんなことをしたら発狂する、俺が。